運命案内人 ミスティシリーズ その2
「なにもしない運命」






 今回の主人公は「羽爪 朗(はねづめ あきら)」高校2年生。
 幼い頃に父親をなくしており、それ以来ひきこもった性格になり、学校へはいっているが、
 いじめられてしまうタイプである。



 放課後。

 帰宅しようと、教室を出た朗が廊下を曲がった時、人にぶつかってしまった。。。。。
 またそれもいつも朗に何かとちょっかいをかける男、
 「村崎 武道(むらさき たけみち)」と「白升 角貴(しろます かどき)」である。

村崎 「ドコ見てんだよ!!」
白升 「なんだ、羽爪じゃねぇか。。。。。ホントにオマエはトロいな。」
村崎 「カバンが汚れたじゃねぇか。。。ついでだオマエ、コレ俺の家に持っていけよ。
    俺は駅前で遊んで帰るからよ。」

 と、一方的に朗にカバンを渡していった。

白升 「汚れたっつーかオマエのカバンもうボロボロなんだよー。」
村崎 「去年死んだオヤジが入学の時買ってくれたやつだしな。はっはっは。」

 と何事もなかったかのように2人は消えていった。


朗   「またか。。。。。」

 朗の家の途中に、村崎の家はあった。
 時折顔を合わせるとカバンを家に運ばせていたのである。



 下校の途中、曲がり角でまた人にぶつかった。

女性 「いったーい。ちょっとドコみてんのよー。」
朗  「すみません、大丈夫ですか!?」

ぶつかった拍子にカバンが道路に落ちた。

女性 「気をつけてよ〜。はい。カバン、、、、?あれ?2つもある。」
朗  「あ、い、、いいんです。」

女性 「ははーん。さては、荷物持ちだな。。。。。アナタいじめられてるね?」
朗  「なんでですか?」
女性 「顔に傷できてる。」
朗  「これは違いますよ。転んだんです。」
女性 「これ? じゃあ、いつもは転んだ傷じゃないんだね。」
朗  「ほっといてください!!」

女性 「う〜ん。そういうならいいけど。アタシ運命案内人だからさ。。。
    アタシと出会ったってことは、何かあるんだよねー。」
朗  「いいから、ほっといてください。」

女性 「そう。1つ言っておくわ。
    大切なモノは「価値」そのものじゃないよ、その価値の要因だからね。」
朗  「?????」

 朗は駅へ向かった。

 そう、この女性は「ミスティ」である。
 彼女と出合ったものは、なんらかの運命の分岐に立っているか、
 なんらかの転機に来てしまってるかである。。。。。

 が、今回の青年はミスティには何も頼まなかった。。。。。



駅へ着こうと最後の曲がり角を曲がろうとした時、またしても人にぶつかった。。。。。


男子生徒 「いってぇな!! なんだよコイツ!!」

 どうみても、人のよさそうな生徒ではない。
 他校の生徒5人組である。
 実はこの辺では有名な俗に言う「ヤンキー」である。

ヤンキー 「ちょっと、慰謝料でももらおうかな。」
ヤンキー 「ついでに俺たちにも貸して欲しいな。」




と、そこに村崎と白升も駅前のゲーセンで遊ぶためにやってきた。

村崎   「おい、アレ。。。。。」
白升   「ハッハッハ!!あのバカ、捕まってやがるぜ。ほんとトロイな。」

 少し近づいて様子を見る。

 ヤンキーたちは、朗からカバンを取り上げ中を調べる。
 そして、朗のサイフを取った。そして朗のカバンを踏みつける。

ヤンキー 「なんだ、こっちの汚ぇカバンは。ほとんど何も入ってねぇじゃん!!」
 


村崎   「朗め、あの野郎、俺が預けたカバンを。。。。。
     ってまぁ、捨てるもんだからいいか。」
白升   「カバンがああなったのは朗のせいだから、アイツに買ってもらうか?」



 そして、ヤンキーは村崎のカバンを踏みつけた。

朗    「!!」

 朗は身をていしてカバンを守る。

ヤンキー 「なんだ? そっちのカバンは大事なのか?」

 それを見て村崎のカバンを取り上げようとする。

朗   「僕のカバンはどうなってもいいから!!」



白升  「アイツ、オマエのカバンを汚すとオマエに怒られるからかばってるんだぜ?」
村崎  「バカだな。何も言わなきゃ無事に帰れたかもしれないのによ。」




朗   「このカバンだけは、、、、、、大事なんだ。。。。。」
ヤンキー「何言ってんだ?コイツ?」」

 さらに朗に蹴りを加える。カバンごとやってしまうつもりだ。
 そして、数分攻撃を続けると、去って行ってしまった。



白升  「おいおい、朗、、、何してんだ?」

朗   「あ、、、村崎君、、、、ゴメン、、お父さんの買ってくれたカバン、、、、、
     少しだけ汚れちゃった。。。。。」
村崎  「オマエ、、、、、、そんな事聞いてたのか?」
朗   「僕にはまだ、カバンを買ってくれるお父さんがいる。。。。。でも、
     村崎君は。。。。。このカバンはお金じゃ買えないからね。。。。。」

白升  「・・・・・・。」
村崎  「金じゃ買えなくても、、、、金はいるんだよ!!」
朗   「どういうこと!?」

村崎  「白升!! 行くぞ!!」

 白升も、今から何をするのかを理解し村崎とともに消えた。





 朗は近くのベンチにいた。ケガが痛むのだろう。。。。。


村崎  「朗、、、、こんなとこにいたのか。。。。。」

 2人の着衣が乱れている。

白升  「ほらよ。」

 朗のサイフを渡す。

朗   「あ!! 取り返してきてくれたんだ。。。。。ありがとう。。。。。」

村崎  「勘違いするな。ソレがねぇと、オマエのカバンは買えないだろう?
     カバンくらい自分で買え。」









 次の日。

 あいかわらず、2人は朗にちょっかいを出している。


 そして、

村崎  「おい!朗、俺のカバン持てよ。」
朗    「・・・・・・・・・・・・・・・・またか。。。。。」
白升  「なんかいったか? 俺のも持ってろ。」
朗    「うわっ、なんで?白升君は道が違うじゃんか。。。。。」
白升  「ゴチャゴチャ言わずに持ってろ。」


村崎  「5人より多かったら、どうするんだよ!」













ミスティ 「さーて。今日はここで店開こうかなー。
      たまには、こんな駅前で占いやるのも面白いわね。」



ミスティ 「あれ? あの子。。。。。あいかわらずカバン1つじゃ足りない子ね。
      でも、、、、、、。顔は変わってる。。。。。」

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