第拾壱の箱


110「魔法(ことば)」070525


戦いの終わりに・・・


戦いに疲れたと呟いたあなたに
あたしは言葉を止めた・・・

ただお疲れ様と・・・


あたしの心のことじゃなく

疲れたあなたの中にあたしは必要無いのかな?

あたしの魔法は要りませんか?

あたしの魔法は剣に宿りませんか?

あたしの魔法は何も癒しませんか?


あたしは共に戦えませんか?


あなたの後ろで見ているだけですか?


あたしの心のことだけど

疲れたあたしの中にあなたが必要だと


あなたの魔法が力をくれる

あなたの魔法が槍に宿る

あなたの魔法があたしを癒す


あたしは共に歩いていけますか?


あなたの後ろを見てるだけですか?
109「欠片」070303


パズルの欠片は自分の中に・・・


行く道の標は自分で決める・・・
自分の中の信念は変わらない・・・
自分の中に眠る力・・・

探すまでもなく、実は持っていた事に
私は気づかなかったもの。



パズルの欠片は自分の中に・・・


行く道の標はまだ手の中に・・・

自分の信念に今気づいた・・・

自分の中に在る力・・・

探すふりをして、実は持っていた物で
私は埋められないもの。




見えるはず、一枚だけ足りないパズルが


最後の欠片には、
何が書かれているのだろう?




手に乗った欠片をみつめていても
パズルは完成しない。
108「黒いサーカス」070109


僕は盲目の道化師。

ロープから落ちる事も、
玉から落ちる事も、与えられた事。

笑わせる事が僕の使命。


僕は盲目の道化師。

ロープに乗る練習も、
玉に乗る練習も、隠すべき事。

見せない事が僕の希望。


僕の舞台が終わった時に
そっと拍手を下さい。

光の見えない僕には
拍手しか聞こえないから。

ただ一人だけでも

音の雨が降るのなら
僕は何度でも落ちる。


僕の舞台が終わった時に
そっと拍手を下さい。

観客の見えない舞台には
僕は必要無いのだから。
107「焼き尽くす雪」061228


ただ、そこに。

ただ、この日に。

ただ、雪が降っていた。

ただ、それだけ。。。


たとえ、足の下に血の川が流れようとも・・・

たとえ、我が身を悲哀の叫びが包もうとも・・・

今、ここに。

今、この日に。

今、雪が降り積もる。

今、それだけ。。。


全ての雪よ、全てを焼き尽くせ・・・

全ての摂理を、覆すように・・・


焼きつく雪の中。

我が腕の中で・・・・・。
106「錆びたロボット」061201

錆びたロボット。

本当は動くかもしれない。

でも、動かないとコワイからスイッチは入れない。


錆びたロボット。

本当は動くかもしれない。

でも、今はただ油を注すだけ。


錆びたロボット。

本当は動くかもしれない。

でも、動くってそう思ってるだけかもしれない。


錆びたロボット。

本当は動くかもしれない。

でも、今はただ磨くだけ。


今、ここに存るという事。

錆びたロボット。

本当は動くかもしれない。
105「水」061121

流れる水に触れてみる・・・

心地よい川の水に癒される・・・

凍りついてしまう時はあるのか
干上がり尽きてしまう事はあるのか

今は考えたくも無い


流れる水に触れている・・・

心地よい川の水に

何処から流れて来ているのか
何処へ流れ着いてしまうのか

今は知りたくも無い


流れる水に触れている・・・


私の血と化した水
104「朽ちた翼」061019

私にはもう飛べない・・・

飛び方を教えていたはずの私の翼はもう開かない・・・


私のはもう聞こえない・・・

飛び方を教えてくれたはずの歌の意味ももう届かない・・・


いっそ翼を斬り落とせば
新しく生まれ変われますか?

いっそ空を見ることもなければ
新しく走りだせますか?
103「ナンバー」060718

あのナンバーを聴こう。
2人の思い出のナンバーを聴こう。
遠い場所できっとあの人も聴いている。
こんな晴れた日に聴いている。

あのナンバーが聴けない。
いつもの様にナンバーが聴けない。
遠い場所がずっと遠くに離れていく。
こんな雨の日に離れていく。

もう一度あのナンバーを聴こう。
もう一度思い出してナンバーを聴こう。
近い場所で2人で一緒に聴けるはず。
こんな雨の日だって聴けるはず。

このナンバーが終わったら電話をしよう。
初めて聴いた時のナンバーの気持ちで。
遠い場所できっとあの人も待っている。

どんな天気の日も。
102「無駄」060426

ただ繰り返す無駄な日々を『無駄だ』と言い放つ自分の言葉が
すでにサブリミナルとなり螺旋のように絡む。

繰り返されたその雑音の聞こえる交差点で道化師は声無く泣き、
冷静な法王は海へと潜って行く。
物言わぬ少女はただ、悪魔のような狼の鎖を放さない。

ただ蝕んで行く日々を『絶望だ』と言い放つ自分の意思が
聳えるいくつもの鏡に反射する。

残忍な皇帝の笑いが響く頃。
臆病な研究者は拳銃を持ち出し空に撃つ。
行き止まりに佇む男に銃声は届いただろうか?
101「好きだという事」060426

好きだという事は嬉しい事。。
好きだという事はツライ事。

ただ笑顔が見れるだけで嬉しい事。
ただ笑顔に届かない気がしてツライ事。

その笑顔見に行ってもいいですか?
目障りではと不安に思うのもツライ事。

ただメールが来るだけで嬉しい事。
ただメールが来ないだけでツライ事。

何度もメール送ってもいいですか?
鬱陶しいのではと不安に思うもツライ事。

ただ話すだけで嬉しい事。
ただ無口になるだけでツライ事。

何があったか聞いてもいいですか?
しつこいのではと不安に思うのもツライ事。

ただ傍に居てくれるだけで嬉しい事。
ただ傍に居ない不安だけでツライ事。

ずっと傍に居てくれますか?
いつか居なくなると不安に思うのもツライ事。

好きだという事は嬉しい事。
好きだという事はツライ事。
好きだという事に誇りを持つ事。

好きだという事に自信を持つ事。
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