第拾の箱


100「カレンダーの○」060413

カレンダーの○
まだまだ遠い日。
あの人と逢える日。


だけど遠いって思うからまだいい。

多分、2〜3日前は狂ってしまいそう。
ただ、早くその日が過ぎるのをひたすら待つ私。



カレンダーの○
次の終わった日。
あの人の居ない日。

次が遠いって思うから寂しい。

多分、2〜3日の間、潰れてしまいそう。
ただ、早く次の○が来る日をひたすら待つ私。


カレンダーの○
まだまだ遠い日。
あの人と逢える日。
99「新世界」060302


降り積もる雪。

全ての物を白く『覆い隠す』


新雪を踏みしめる楽しみと、
やがて『花』へと成り行く芽生えた物を
踏み潰してしまう不安を抱え
私は一歩踏み出す。


天地の真っ白な楽しみと
やがて『無』へと成り行く積もった雪を
踏み潰してゆく覚悟を抱え
私は一歩踏み出す。


いつしか振り返れば、私の足跡すら白く覆い隠して
自分の辿った軌跡ですら見えなくなってしまう。


引き返す事を消した私は、
いつか辿り着く出あろう、白き果ての世界へ。

四肢を凍らせる冷たさと
やがて溶かすであろう炎を求め
踏み越えてゆく自信の中で
私はまた踏み出す。
98「雲」051106


あの雲が好き。

突然青い空に現れた雲。


見てるだけの雲。

ある日、届かないのかなって
手を伸ばそうとした。

それでも手の中で崩れ去るかもしれない不安と、
伸ばした手が虚しく空を掴む不安が入り混じる。



見てるだけの今日。

ある日、今日は居ないのかなって
曇った空を見た。

それでもいつか晴れ光が射す希望と、
伸ばした手に確かに存在する希望が入り混じる。


カタチを変えて行く雲。

風に吹かれ私の見た雲は変わる。

やがて雨となる雲。

雫となり私の手に降り注ぐ。


今日は晴れてますか?
97「酒」051020

酒場のオヤジが言った。

自作の酒だと。

その酒の味に惚れ酔いしれた。

数え切れない夜を酔いしれた。


酒場のオヤジは言った。

自作だが、誰かの真似であると。

オヤジの酒だと信じてた心を裏切られた気がした。

だが、そんな事はどうだってよくって

今まで楽しく酔えた日が存在したのは確かであった。


酒場のオヤジは言った。

自作の酒だと。

その酒に今日も酔いしれる人がいる。

横で黙ってグラスを傾ける。

結局はそれでいい。


「酔える」酒がそこにある。
96「平等」051013

神は10人の者に金貨を与えた。

全員に平等にと同じだけの金貨を与えた。

富と名声に囲まれた者にも。

貧困を歩む者にも。


平等に。。。。。


だが、平等と思えし者は


神自身だけなのである・・・・・。
95「流れる」0208

私の身体を包む水の衣・・・

時にはあたたかい衣のように・・・
水である事を忘れさせてくれるかのような衣

時には冷たい氷のように・・・
自分の身を貫き続ける刃のような鎧

その水の温かさ・冷たさに包まれる中で
それを感じる事の嬉しさを忘れていた。

世の海はもっと凍るような水を持ち
すれ違うだけで感じる凍るような風を持つ

そんな片隅のあたたかさを忘れない

私は纏う

たとえそれが今から私を貫くと知っていても
94「いつも、いくつも、慈しむ」0109

羽を伸ばす事、手を止める事なく、アナタは歩いていた。
ただ進む事しか許されぬと思い、とまる事がなかったのだろうか?

そんな風が過ぎて行く中で、ただボクにできる事。

瞳にはなれないけど、見つめよう。
翼にはなれないけど、手をひこう。
声にはなれないけど、奏でよう。
足にはなれないけど、前にいよう。
耳にはなれないけど、伝えよう。。。。。

雨の中でしか泣かないアナタに、
海に中でしか泣かないアナタにのみつけた意志の枠。
気が付かぬように広げよう。
いつか、鳥に触れ、詩(うた)を聴き、華を香り、天(そら)を見あげ、魂を歌う。
いつでも、慈しみをいつまでも。
93「チョコレート」0822

砕け散ったチョコレート。
バラバラになったチョコレート。

私の見てない間に踏んで粉々にされた。

踏んだのは私。

知らずに踏んだわけではない。

1つ1つの欠片を
もういちど合わせてみたかった。

でも、私は知っている。

二度と元の姿には戻らない事を。


私は知っている。

ただ合わせるだけでは
ダメだという事を。


それでも、全て溶かして
元に戻す気にはなれなかった。。。


なぜ?

踏んだのは私の知らない私だから。
92「望」0713

明かりを欲した時、月は照らしはじめた。。。

明かりを欲しつづけた時、月は雲に隠れた。。。


月の無い夜を歩くと決めた時、

自分の足元が見えなくなる。

それでも夜を歩くと決めたのに、

他人(ひと)の足元が見えなくなる。


旅人は他人(ひと)のために、
月に祈りをかける。。。。。

月が道を照らすように祈り、
夜の空を飛んだ。。。。。
91「未完成」0523

自分の描いた絵が嫌い
新しく描いた絵が嫌い

キャンバスも絵の具も新しくしてみた
デッサンも下書きもうまくいくけど

自分で塗った色が嫌い
新しく塗った色が嫌い

何度も何度も描きなおしてみた
デッサンも下書きもうまくいくけど

そこで終わる絵は誉められる
だけど自分の絵じゃない

自分の描いた絵が嫌い
新しく描いた絵が嫌い

そこで終わる絵が置かれる
自分の色を塗るだけなのに
自分の色を塗れない

それ以上
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