第玖の箱
| ９０「歩くって事」０５０６ 忙しい日々の貴重なたった一日。 あえて、ただ歩いてみる。 あえて、無駄に過ごしてみる。 自分を縛る時計や携帯も持たず。 あえて、ただ歩いてみる。 あえて、無駄に過ごしてみる。 いつも走る道ですら、 見慣れてるようで見慣れていない。 いつも捕まる長い信号ですら、 じつはたったの３０秒。 道行く人と肩がブツかったのはいつ以来だろう。 道の石をケリ飛ばしてみたのはいつ以来だろう。 忙しい日々の貴重なたった一日。 あえて、寄り道してみる。 あえて、長く歩いてみる。 あえて、ただ歩いてみる。 無駄にしたつもりが無駄にならない、 そんな今日を私は知った。 |
| ８９「あからさまなジョーカー」０２１８ あからさまなジョーカー。 一つ頭が飛び出たあからさまなジョーカー。 固く握られたカードにすでに選択肢は無い。 誰もが嫌う死神を、当たり前のように 差し出すキミは何を思う？ 誰もが嫌う死神を、そっと受け取るボクの そんな気持ちを地に伏せ、 ただ再び死神と合い見舞えぬ事を祈り、 また二枚のカードは消えて行く。。。 あからさまなジョーカー。 今は民の中に身を潜める。 隠れ去った死神を、当たり前のように 引かせるキミは何を思う？ 隠れ去った死神を、魅入られたように 引いてしまうそんな運命。 死神に魅入られた運命。 そしてボクは一歩前に出る。 |
| ８８「都会の獅子」０１０５ 草原の王であった獅子は都会に降りた。 自分の牙を使う事もなく、 自分の爪を使う事もなく、 ただ与えられた餌だけを毎日喰らう。 自分の好みも関係なく、 自分の意思も関係なく、 ただ与えられた餌だけを毎日喰らう。 草原の王であった獅子は都会で泣いた。 自分の足を使う事もなく、 自分の目を使う事もなく、 狙う獲物すらなく、満たされない空腹に吠える。 追う獲物すらなく、足は朽ちて行く。 走る草原すらここには無く、 吠える空さえ、ここには無い。 草原の王であった獅子は都会で堕ちた。 |
| ８７「魔剣」１０１８ 血の剣。。。。。 斬り続けた返り血を吸いすぎて その刀身さえ紅く染めた魔剣。。。。。 その力に怯えつつも、その斬れ味に酔いしれ 剣を振り続ける。。。。。 その柄からも飛び出した刃が己の手を貫く。 それでも斬り続ける事で、 紅き力は同化する。。。。。 魔剣が、腕に変わる。。。。。 常に刃を剥き出しのまま。。。。。 |
| ８６「みんな」１０１６ 独りじゃない。 表向きの関係なんて、無いに等しい。 独りじゃない。 離れていても、通じ合うみんながいる。 独りじゃない。 これで孤独と言うのなら 私はみんなを裏切ることになる。 独りじゃない。 離れていると不安だけど、 近くにいないと不安だけど、 そっとそばで見ててほしいけど、 そっとそばで守ってほしいけど。 独りじゃない。 みんなが孤独にうちひしがれる時 離れていても 私はここにいる。 同じようにそこにいて。 だから私は独りじゃない。 |
| ８５「煌き」１０１２ 舞い散る黄金の粒。 色付いた仮面を被り、君は今日も笑う。 仮面の下は泣いているのかもしれない。 飛び交う黄金の粒。 色付いた装飾を纏い、君は今日も舞う。 装飾の裏は傷だらけかもしれない。 自分の意思で涙を拭い、 自分の意思で仮面を被る。 自虐とも言えるその行為は さらなる闇の進化へと通ずる。 |
| ８４「鎖と犬と犬小屋と」１０１２ 鎖に繋がれた犬。 解き放たれる「刹那」にだけ願いをこめて鳴くのか？ ただ縛られるこの時すら、 自分の束縛された意思すら、 気にならず、ただ鳴いてるのか？ 決められた時間に解き放たれ 決められた時間に食事する。 鎖に繋がれた犬。 今、なぜ鳴いている？ 悲しいか？ つらいのか？ 苦しいのか？ 痛いのか？ 鎖に繋がれた犬。 鎖に繋がれた犬。 それすら、当然だと言うのか？ |
| ８３「堕天使」１０１２ 白夜でもない、蒼く明るい夜。 私の夜。 眠れない夜。蒼い夜。 蒼い夜と白い朝をこえて、 私はまだ眠れずにいる。 黒雲でもない、黒く暗い朝。 私の朝。 全てを静寂が支配する朝。 闇しかない街に ただ堕とされた天使。。。 そして、闇の中。 さらなる闇に向けて。。。。。 黒い朝、黒い夜。 私の朝、私の夜。 |
| ８２「白い鳥」０９２０ キミは飛ぶ、白い翼のキミ。 ボクが見る事はないけれど、陸から陸へ、新しい世界のキミは飛ぶ。 ボクはここで祈る。キミが無事に飛べるように。 キミは舞う、白い翼のキミ。 ボクが見る事はないけれど、宙を空を、どんな山も越えて行く。 ボクはここで祈る。キミが華麗に舞うように。 疲れた羽を休める枝も、傷ついた羽を癒す泉も ボクが見つけてあげる事はできないけど、 ボクは祈りつづけることができる。 白い翼のキミ。 |
| ８１「欲しいもの」０９１６ 私が今欲しいもの。それは「黒い矢」 戒めのために、心に眠るものに黒き矢を。 私が今欲しいもの。それは「青い仮面」 いつだって海の様に静かに振舞う青き仮面を。 私が今欲しいもの。それは「白い風」 何もかも消す、何も考えなくていいくらいの白き風を。 私が今欲しいもの。それは「赤き拳」 全てを砕き、全てを守る、無敵の赤き拳を。 私が今欲しいもの。それは「緑の実」 心に安らぎを与え、永き命を願う緑の実を。 私が今欲しいもの。それは「銀の身体」 あらゆる害すら退ける、輝く銀色の身体を。 私が今欲しいもの。それは「金の雨」 活きる道の根本を覆すが、それが源の 金色（こんじき）の雨を。 私が今欲しいもの。それは。。。。。 |