第弐の箱

11「オルゴール」0516

消えそうな音で、微かに曲を奏でている。

徐々に音色が遅れて行く。

もう、ネジを巻く者はいない、、、。

聞き手は聞き手に徹する。

止まりかけたオルゴール。



もう一度、その音色を。
12「仮面の下」0519

発言をする者は仮面をかぶらなくてはいけない世界。

各々のその時の、気持ちで仮面を作る。

仮面の下には「不敵な笑み」「好意の微笑み」「悪意」

さまざまな「素顔」が存在する。

仮面を楽しむなら、それもいい。

「仮面をつけし者」同士で良いから。

奥に潜みし「素顔」を知らざるを得ない時、

目は「仮面の色」に向けてはならない、

選ばれた仮面をかぶるだけなのだから、色は関係ない。

見るべきものは、仮面をかぶる「時間」と

「仮面を作る思い」「仮面の素材」

あり合わせの素材でつぎはぎして、ろくに仕上げもしない

そんな仮面に何を見る?

紙に穴を開けただけの仮面に何を思えと?

だが、知らず知らずに自分もそんな仮面をかぶってるのかもしれない。

「素顔」それでも覗きますか?
13「華」0527


いつも歩く道になにげなく咲く花。

手を伸ばさなきゃ、取れはしない。

見てるだけでは、取れはしない。

手を伸ばす勇気がないと思っている人へ。

伸ばしたからといって、花を取ったからといって、

花は萎れてしまうかもしれない。

手を伸ばすとか花を取ったとかは関係無いのかもしれない。

なぜなら、花に気づく事すらない人もいるから。

大切なのは、花に気づく事?

それは、、、、、、、、、、。

それを決めるのは、、、、、、、自分。
14「鏡」0709

鏡を一つ買った。

大きな鏡を買った。

どこで買うかは決めていなかった。

ただ、自分を写したかった。

投影された自分の存在を認識していたかった。

鏡は私を写しつづけている。

なんの意思も無く。

なぜ、写った私は笑ってないのだろう?
15「蜘蛛」0709

子供同士の争いだった。

だが、結局は親同士で謝った。

子はただ黙っている。

その場を冷静に見ている蜘蛛がいた。

蜘蛛は全て見透かした。

そして蜘蛛は巣を発った。
16「蟻」0709

限定されし食物に群がる蟻たち。

鳥は何もせず見下ろしている。

ただひたすらに群がっている蟻。

鳥は滑稽に思いつつ、ずっと眺めている。

本能のままに宴を楽しむ蟻たちを。
17「獣」0714
獅子の咆哮に恐怖は無かった。

むしろ、同じ血を自分の中に感じた。

自分の中に眠りし獅子の存在を否定するべく、

獅子の咆哮を聞くのをやめる。

獅子の目覚めを恐れているのは、

他人では無く、自分なのだから。
18「潜行者」0716

深海を潜行せし者。

潜行し続ける理由は?

あえて酸素の無い深海に潜る。

自分の限界を知るため?

極限を楽しむため?

己の手に己の命を握ってるという感覚を実感するため?

本人自身わかってないのかも知れない。
そしてまた、潜行する。
19「弱き者」0718
弱き者よ。
オマエ達の強さとは何ぞ?
仮面の強さ? 盾の強さ? 大きさの強さ?
弱き者よ。実感せよ。
その行動全てが、弱き者の証と。

全ては自分で認識している。

弱き者よ。
身の程を知れ。
所詮は壊れやすい者。
因果応報。愚は愚に返る。
20「部屋」0809

その部屋には本来独りしかいない。

確かに私はソコにいる。

でも、誰かいる。

他にも誰かの気配がする。

それも自分の気配。

自分だけど、自分じゃない。。。。。
自分じゃないと思っても自分。

本当の自分は???
それを判断する自分が自分にはわからない。

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