W アナザー


第05話 『強撃と快楽』





             町へと買い出しに出てきたマリアは、サナからの電話を受けていた。



マリ 『え?ドーパントを手に入れた???なんの?』
サナ 『そうなのよ、ウチの学校に居たの・・・・・。ドーパントメモリは『マグナム』だってさ・・・。
       ユウマ君寝てるからどうしようかと思って・・・。」

マリ 『まぁ、アタシも買出し終わったらすぐ戻るわ。』



             カブト虫のギジメモリを搭載した『ビートルフォン』を閉じ、
             一度周囲のドーパントが居ないか、センサーを確認し、ポケットに閉まった。


マリ 「ま・・・こんなに人が居れば、ドーパントが混ざっててもおかしくないわね・・・。」



             ふと、鼻を過ぎる『焼きたてのパン』の匂い。

             マリアは釣られてパン屋に入る。


             色々な種類のパンが、小さな店に所狭しと並んでいる。

マリ 「へぇ・・・小さいわりにかなりの種類だね。」


             マリアはバターロールの試食の切れ端に手を伸ばす。

             そしてそれを一つ口に入れた。



マリ 「!!これはうまい・・・。」

             ゴチャゴチャしたものより、こういう単純な味付けのものほど、真価が問われると思い口にしたが
             今まで食べた中では明らかに一番うまかった。


マリ 「よし、買っていってやるか。」



             マリアはパンをトングで掴み、トレーに乗せる。

             ちょっと横の女性とぶつかって、落ちそうになる。


マリ 「おっと・・・。」

女性 「あ、ごめんなさいっ!!」

マリ 「ああ、いいよ。パンも無事だしな。(笑)」

女性 「落としたら勿体ないので、よかったです。」




             ふと、その女性の首筋にドーパントコネクタを見た気がした。





             こうして、普通に過ごす日常の中で、どれだけのドーパントが蔓延しているのだろう。


             それでも、元々は非戦闘ドーパントメモリで、新しい『スキル』を人間に追加するのが目的だったのである。

             もちろん、それはメモリの力であり、本当の自分の力ではないかもしれないが、
             そこから始まる進化もある・・・・・マリアは少なくともそう思っていた。








マリ 「まさか・・・・・あのパン屋さんも『ベーカリー』メモリの力とか・・・言わないわよね?」


             色んな意味で怖くなったが、ここは素直においしいものに出会えた事に感謝。





           『ココに居たのか・・・・・。』


             ふと、脳に響く声に、辺りを見回すマリア。

マリ 「サイガか・・・・・!!」

サイ 『そう・・・探しても無駄だと思うが。』

マリ 「ガーデンからの追手に選ばれたのかい?」

サイ 『これは個人的に動いてるだけだ・・・・・僕の真の目的は誰も知りえない。』

マリ 「そうだったね・・・。」



             サイガ=霧隠 才我
                
             9番『ハーミット』のナンバリングドーパントメモリ所持者で、
             当然ガーデンの一人ではあるが

             マリアがガーデンに在籍していた頃から、何を考えているのか、解らない性格で
             組織に従うわけでもなく、反発するわけでもない謎の中立者だった。

             とりわけ、マリアとは仲が良かった方である。

             そのドーパントにも現れているが、『何もかも謎の中に隠す』性格であった。

             名前から『忍者の末裔では?』とよくマリアが冗談で言うほど、体術に優れていた



マリ 「で、アタシに何の用なんだい?」

サイ 「これを渡しておこうかと・・・ロストドライバーアナザーの持ち主にね。」

マリ 「これは・・・。」

             マリアは『ガイアメモリ』を一つ受け取った。

マリ 「まぁ、『エンプレス』もどれだけ持つか解らないし、助かるかも・・・・・。
      でも、いつか『敵』になるかもしれないよ・・・? アタシが。」

サイ 「できればそうならないようにしたいけど、
       マリア・・・『気をつけて』。」

マリ 「え?」



             その『気をつけて』に深い意味を感じたマリアが聞き返した時、
             すでにサイガの気配は無かった。




             直帰したマリアは、サナの持つドーパントメモリを見せて貰った。

サナ 「これです・・・。」

マリ 「『マグナムメモリ』解りやすく言えば、強攻撃なメモリだね。
      だから、壊れなかったのかしら・・・・・で?適合するの?」


             サナはドーパントのボタンを押した。

             『マグナム!!』

             サナが使用できる証明のガイアウィスパーが響いた。



マリ 「使えるなら持っておけばいいさ。」

サナ 「なんで、こんなに適合するメモリがたくさんあるの?」

マリ 「別に一人一つじゃないさ。」



             マリアはロストドライバーを巻き、『エンプレス』ともう一つ用意した。


マリ 「ちょっと危険なんだけど・・・。」


             そのもう一つのメモリのボタンを押した。

             『プレジャー!!』

             そのメモリをスカートの中へと入れる。


サナ 「ちょっ!!マリ姉、なななななななな。」

マリ 「アタシのドーパントコネクタは・・・・・変わった場所にあるのさ。」

サナ 「えええええええええええ!?

マリ 「あ・・・。」





             マリアはドーパントに変身する前に、ロストドライバーに『エンプレス』を挿した。

             不思議な光に包まれ、『エンプレス』の姿になったが、どこか色が違う感じだ。


マリ 「これが、アタシの奥の手・・・『エンプレスプレジャー』

サナ 「ぷ、プレジャーって・・・・・『快楽』よね・・・?」

マリ 「敵を殴ったり、攻撃されたりする事が全て快楽に変わるのよ。」

サナ 「そ、それがなんの得に!?」




マリ 「攻撃によるダメージを軽減する、麻薬みたいなメモリさ・・・・・。
       だから、本当は禁止されてるんだ・・・・・ユウマにね。」


ユウ 「それだけじゃない。」


             突然、帰って来ていたユウマがマリアを注意する。

             すぐに変身を解除するマリア。



ユウ 「コネクタとドライバーの両方を使うのは、身体の負担が大きすぎる。
       いつか、メモリブレイクして・・・・・死ぬよ?


マリ 「あっはっは、アタシが今更、『死ぬ事』を怖がるとでも?」

ユウ 「そんな事が問題じゃない、死なれては僕が困るから・・・・・。」




             二人のやりとりに、まだ入れない自分と、
             そのユウマの『想い』なのか、不思議な感情に、ヤキモチのような感覚に襲われたサナだった。


サナ 「あ、私だって、マリ姉に死なれたらイヤだよっ!!付き合いは短いけどさ・・・。」

マリ 「あらあら、可愛い事言ってくれて、お姉さんは嬉しいぞ?(笑)」


             ふざけて、サナの頭にヘッドロックをかけるマリア。

サナ 「ちょ、マリ姉、痛いって・・・・・。」

ユウ 「君に死なれたら、僕も死ぬだろうしね・・・。」



マリ 「おっと、それだけはさせないよ?」

サナ 「・・・・・。」


             この空気に耐えられないサナが話題を変えた。


サナ 「でも、『サイクロンジョーカーマグナム』って・・・・・名前長くない?

マリ 「大丈夫・・・・・・もっと長くなる方法あるから。(笑)」

サナ 「えええええええええええええ!?」





             そして、今日サナはまた1本のドーパントを手に入れた。

             少しだけ・・・解らないその適合に恐怖を感じたサナだった。












             続く。















































おまけ。



     「ついに出た!! Wアナザーソーセージ!!

     「カルシウム配合で、強い身体に!!
     これで君も、Wアナザーだ!!


     「1箱に1枚、プリズムカードが入ってるぜ!!
      108種類のカードに隠された謎を解き明かせ!!



     「Wアナザーソーセージ!!新発売!!
         お弁当には・・・Wアナザーウインナー。
















サナ 「魚肉ソーセージ、結構好きなんですよ〜〜〜♪もぐもぐ。」

ユウ 「た、食べてるし・・・。」

マリ 「てかさ・・・・・108種類って・・・・・多すぎね?」

ユウ 「僕もそう思った・・・・・。」




サナ 「あ、マリ姉のカードだ。」

マリ 「なんだ・・・・・エロスが足りないね・・・・・。」





ユウ 「マリア・・・・・子供ターゲットだよ・・・・・。」

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