W アナザー


第02話 『これが切り札』





             サナを媒体として、紫と緑で真ん中から分かれた左右非対称の姿に変身した。

サナ  「うわ・・・な・・・なにこれ?」


              サナの脳内に直接声が響く。
              耳からでなく聴こえる声に、少し驚くサナ。

ユウ  『君のガイアメモリ『ジョーカー』は、基本とも言える『格闘』を得意とする。
          そして僕のガイアメモリ『サイクロン』は、『疾風の記憶』のメモリ・・・風の属性を持つ・・・。
          ジョーカーとは相性がいいから、これが君の基本スタイルになる。」


サナ  「えーと、基本って・・・なにその『これからもやりますよ?』的な発言は・・・。」




              『ハングドマン』のドーパントが、腕を突き出す。
              その腕には、サナと同じドーパントコネクタがある。


マリ  「あっちもあのベルトで、基本の変身をするのさ。
         それがナンバリングされた22本のドーパントメモリ。
         奴はナンバー12『ハングドマン』のドーパントさ・・・・・。」


              『ハングドマン』がドーパントメモリのボタンを押す。

              『アームズ!!』

マリ  「そう、そして別のドーパントメモリで、追加するのさ・・・。」

              『ハングドマン』が、そのコネクタに別のドーパントメモリを刺した。
              その腕がライフルに変わった。



サナ  「あ、なんか絶対危ない!!」


              そのライフルの攻撃を交わすサナ。

              自分の体が物凄く軽く感じる。




サナ  「あれ?腰にも何かあるね、ここにガイアメモリ刺せるの?」

ユウ  『それは・・・マキシマムドライブスロット・・・。』

              マキシマムドライブとは、ガイアメモリの力を最大限まで引き出す事。
              むしろ、マキシマムドライブできるのがガイアメモリの特徴である。

ユウ  『ドーパントメモリは、自分の身体に直接刺す分、引き出すパワーも凄いが・・・・・暴走する。
         ガイアメモリはこのベルトを通す事を前提に、効率よくパワーを引き出すために作られたのさ。』

サナ  「安定した・・・優等生みたいなものね。」

ユウ  『ドーパントも暴走をも制御できれば、ガイアメモリ以上の力を出せるけどね。』

サナ  「じゃ、使っちゃお。」
ユウ  『ちょっと!!』


              サナはWドライバーから、『ジョーカー』を引き抜いて、腰のマキシマムドライブスロットに突き刺した。


              『ジョーカー!!マキシマムドライブ!!』

ユウ  『ああ、もうやるしかない・・・。』


              上空へと飛び上がり、『ハングドマン』に向けて飛び蹴りを放つ。

              『ハングドマン』もライフルで迎え撃つが、弾き飛ばされる。

              さらにナンバリングドーパント『ハングドマン』の能力(吊るし人の記憶)である『鎖』で、
              サナを捕らえようとするが、動きが想像以上に速い。


吊人  「・・・・・。なるほど・・・これは脅威だ・・・。」



              結局、サナのキックを交わす『ハングドマン』だが、そのまま『メイズ』に合図し、
              二体のドーパントはその場から姿を消した。

              その能力を侮ってはいけないと判断したのであろう。

              『メイズ』が立ち去る事で、周りの景色も元に戻った。




サナ  「あら?」


              両方のガイアメモリを抜き出す事で、変身を解除するサナ。

サナ  「ふぅ・・・・・。って、何なのよ・・・一体・・・。」



ユウ  「適正はOKだね。」
サナ  「あのね!!OKだねじゃなくて・・・・・なんなのよ、なんとかメモリってさ。」

ユウ  「だからさっき説明したよね?」



              メモリとは、あらゆるものの『記憶』を封印したものである。

              ドーパントメモリ

                  最初に開発された、身体のコネクタに直接刺すメモリ。
                  刺す事で異形な姿に変身するが、『メモリブレイク』という技でメモリを破壊すれば
                  メモリは破壊され、肉体は元に戻るが、この場合精神もダメージを受けるため意識不明になる。

                  引き出す能力は凄まじいが、暴走を起こす場合があり、その場合は肉体が滅ぶ。

              ドーパントメモリ・ナンバリング
                  全22種類の強化版ドーパントメモリで、ドーパントドライバーに刺すことで
                  暴走なく、基本体を形成する。
                  追加でドーパントを直接コネクタに刺す事でその効果を得れる。
                  ドーパント単体直接刺しよりはリスクは少ない。

                  

              ガイアメモリ
                  Wドライバーなどに刺すことを前提で作られたメモリで、
                  コネクタなどから直接人体に刺す事はできない。
                  『マキシマムドライブ』を発動する事で、効率よく効果を引き出せるが、
                  まだ、未知数な部分が多い。


サナ  「えーっと、『スパイシー』と『メイズ』がドーパントで、『ハングドマン』はドーパントメモリナンバリング・・・。
        『サイクロン』と『ジョーカー』は、ガイアメモリなのね。」


                  サナは渡されたガイアメモリを見る。

ユウ  「基本は4つづつ。」


                  サナ
                   『ジョーカー』 (切り札の記憶) 格闘能力の基本フォーム。
                   『メタル』   (鋼鉄の記憶)  棒術の基本フォーム。
                   『トリガー』  (銃撃手の記憶) 銃術の基本フォーム。
                   『アクセル』  (加速の記憶)  剣術の基本フォーム。

                  ユウマ
                   『サイクロン』 (疾風の記憶) 風の属性。
                   『ヒート』    (加熱の記憶) 熱の属性。
                   『ルナ』     (月の記憶)  不思議属性。
                   『エンジン』   (原動の記憶) 原動・電撃・蒸気の属性。


サナ  「あー、組み合わせでって事ね・・・・・って何よ、私に戦えって?」

マリ  「なんだい?結構ノリ気だったんじゃあないのかい?」

サナ  「で、でも、か弱き乙女に、あんなバケモノと戦わせるの?」

マリ  「なんだ、アタシは女じゃないっていうのかい?」

サナ  「え?アナタも変身するの・・・?」



                   マリアもドライバーを見せた。
                   ただ、サナのとは違って、片方無くなったようなデザインだ。
                   つまり、2本のメモリを刺す事は不可能である。


マリ  「コイツは、ロストドライバーアナザー・・・・・。1本で変身できる。
         ま、あいつ等のドーパントドライバと同じさ・・・・・。」

                   マリアが見せたのは、数本のドーパントメモリだった。

                   1本に、ナンバリングがしてあった。

                   サナはそれのボタンを押す。

サナ  「あれ?鳴らない・・・。」

マリ  「ガイアメモリも、ドーパントメモリも、誰でも使えるわけじゃないよ。
        使えない人間には、ボタンを押しても『ガイアウィスパー』は聴こえない。」

                   あの叫びは、ウィスパー(ささやき)なんてLVじゃなかったけど・・・と
                   突っ込みたい気持ちを抑えた。


サナ  「えーっと・・・マリアさんはドーパントなんだ?」
マリ  「そうね、ま、悪事に加担するほどバカじゃないけどね。」


                   そしてサナは自分の『スパイシー』を見ながら考えた。

                   自分のガイアメモリでなく、こっちで変身したら・・・
                   あんな怪物になってしまうんだと・・・。

サナ  「す・・・すぱいしー・・・・・。
        調味料のドーパントなの?(笑)


ユウ  「大丈夫、君はこれからは『ガイアメモリ』で変身するんだから。」

サナ  「え・・・やっぱ決定なの!? ああ・・・でも、なんかよく解らないけど・・・。
        ガイアメモリに選ばれたって事ね。」
マリ  「ああ、そしてドーパントにもね。そんなに刺激が足らないのかしら?」


                   マリアは艶っぽい目線と、怪しい舌の動きをした。

サナ  「うわわわ・・・。私はノーマルなんで・・・。」
マリ  「(笑)」

ユウ  「僕は、この街を守りたいだけなんだ・・・・・。」
マリ  「アタシは、アイツらがムカつくだけだな。(笑)」

サナ  「あいつらって・・・・・さっきの?」

マリ  「ああ、そうさ。 『ガーデン』と名乗る最低な集団さ・・・まぁ、イヤというほど顔を合わせる事になるしね。」

サナ  「で、ですね。」





ユウ  「ここまで来たら引き返せないさ・・・よろしく・・・相棒。」

サナ  「相棒とか言うな!!(笑)なんで勝手にそう話を決めるかなあ・・・。」




                 本当は怖いながらも・・・今はただ・・・

                 自分の中で何か弾ける思いが溢れてるのを感じるサナだった。






サナ  「いいんじゃない?私が正義のヒロイン!?」

マリ  「だ、大丈夫なのか・・・この子。」

サナ  「あー、子供扱いしたっ!!」

マリ  「学生だろ?充分子供だよ。」

サナ  「そんな事言ってると・・・オバサンって呼ばれますよ?」





                 マリアの腰に、ロストドライバーアナザーが巻かれた。

サナ  「え・・・?ちょ・・・ま・・・マリア・・・さん?」


                 そして、『3』のナンバリングのドーパントのボタンを押した。



                 『エンプレス!!』

サナ  「ええええええええええええ!?」


                 眩い光の後に、ドーパントに変身したマリアの姿が・・・。


                 手に持った鞭で、サナがシバかれたのかどうかは・・・・・。











                気の毒で言えない。


サナ  「ユ、ユウマ君!!マリアさんを止めて!!お願い!!」

ユウ  「ごめん・・・ガーデンより怖い・・・・・・。」










サナ  「そんなああああ!!」





                続く。

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