絡繰秘伝忍法帖
(からくり・ひでん・にんぽうちょう)
其の二十八
「姫歩綴川物語」
(ひめ・あるきつづるは・かわものがたり)
黄金城
萌 「ええい!!もうよいわ!!下がれ!!」
萌姫の怒号の響き渡る朝。
そのまま、姫は怒って部屋を出た。
蹴 「やれやれ・・・。」
舞 「(`・ω・´)あれ?姫様出ていったの?」
蹴 「いつになっても、子供ですな。」
凛 「(`・ω・´;)・・・。」
今日はこっそり、城から抜け出てみた。
普段ならこっそり露店を覗いたりする。
民は姫の顔を知らない人が多いが、『まさかこんな所に。』と言った感じである。
蹴 「なに!?姫が消えた!?」
舞 「(´・ω・`)どうしましょ?」
凛 「((((;゜Д゜))))一大事じゃないですか!!」
蹴 「腹が減れば帰ってくる!!
で・・・・・済ませる問題でもないな・・・・・。」
凛 「す、すぐに探して参ります!!」
と、城では大騒ぎするが、そんな事はおかまいなし。
気がつけば、路地裏の川沿いまで歩いていた。
萌 「腹がすいたのぅ・・・。」
子 「姉ちゃん、お腹減ったのか?」
萌 「え?」
ただつぶやいただけだったが、近くに居た子供に聞かれていた。
なんだか、ぼろぼろの服を着ている。
その子供に連れられて行く。
萌 「なんぢゃなんぢゃ・・・・・ん・・・・・?ここは、兎小屋か???」
川沿いにあばら家が立ち並ぶ。
萌 「な・・・このような場所が・・・城下にあったのか・・・?」
子 「母ちゃん、おいらの団子まだある?」
萌 「団子?」
母 「あるけど・・・ごほごほ・・・・・あれ?そちらの方は?」
子 「この姉ちゃんがお腹すいたってさ。」
母 「その井出達・・・まさか、お城の方では・・・。」
姫の着物にただならぬものを感じる。
それでもまさか姫がこんな所に・・・・・ましてや腹をすかせて・・・。
萌 「あ・・・ああ・・・わらわは旅芸人でな、ひ、姫の役の練習をしておってな。」
すぐにばれそうな咄嗟の嘘。
萌 「ただ、腹が減ったとつぶやいただけだったが、この子が珍しいものがあるとか・・・。」
子 「母ちゃんの団子、うまいんだぞ!!その辺の団子とは全然違うんだぞ!!」
出されたみすぼらしい団子。
確かに団子自体の質はひどいが、たれは絶妙であった。
萌 「ふむ!!これはなかなか。」
母 「こんなものしかなくて・・・ごほごほ。」
萌 「母上殿・・・病気なのか?」
それを聞いて、一人の男が入って来た。
男 「なんてことはない・・・栄養失調さ。」
萌 「誰ぢゃ?」
男 「元医者ですぜ。まぁ、俺も銭がなくて廃業した・・・今は知識はあれど、
この長屋の民の病気も診てやれないのさ。」
川を挟んで反対にある屋敷の主が、ここの家賃と言ってはすさまじい銭を請求する。
住む場所は他になく、払えないとなると、男は鉱山へと連れられ、
若い娘は屋敷へと、それでも働けば家賃分とさらに雀の涙ほどの報酬がある。
萌 「なんと・・・。そのような愚行が・・・・・許しておけぬな・・・。」
男 「止めとけ・・・男連中が何度か申し立てに行った・・・・・結局雇われた強い剣客に斬られて・・・。
結局泣き寝入りさ・・・・・まぁ、死なないってとこだけか・・・・・。時間の問題だが・・・。
姉さんみたいなべっぴんさんは、すぐに目を付けられる、悪い事は言わないすぐにここを出るんだ。」
やはり、萌の姿は目立つらしく、すでに発見されていた。
剣 「おお、いたいた。なかなかの上物だぜ?土弦様に献上だ!!」
どうやら屋敷の主・土弦座備衛門(笑)の雇った剣客のようだ。
萌 「いつの世も・・・ふとどきものは下賎と相場が決まっておるな・・・。」
剣 「俺たちもあまり手荒な真似はしたくないんだけどよ?」
萌 「ふん・・・やれるものならやってみろ!!俗物が!!」
剣 「おもしれぇ!!ちょっと楽しませてもらうか!!」
男 「お、おい、姉さん!!」
母 「!!」
一瞬の出来事だった。
萌姫はそこから一歩も動かなかった。
萌 「いつもながら、いい腕ぢゃのう・・・・・。」
風 「いえいえ。」
萌姫はお風がずっと着けていたのを知っていた。
普段、こうして城を飛び出しても絶対安全なのは、こういうからくりである。
風 「花鳥流剣術・改 『猫じゃらし』・・・・・首が胴体と別れを告げる前に立ち去れ・・・・・。」
剣 「な、なんだこいつは!!」
剣客はそのまま逃げ帰っていった。
萌 「旅芸人・・・・・剣士役ぢゃ!!」
男 「役者にゃ勿体無い剣技だぜ?」
萌 「童!!母上の団子・・・もっともっと美味になるから待っておれ!!」
母 「え?????」
子 「約束だぞ!!姉ちゃん!!」
萌 「ああ、この団子のお礼は必ず。」
萌姫はすぐに、城へと帰った。
姫 「爺!!米はあるか!!」
蹴 「???本当に腹をすかせて帰ったのか・・・。」
舞 「(`・ω・´)お凛さんにも知らせないとね。」
萌姫は、蹴田に命を出した。
続く。
おまけ。
凛 「もし、姫様のご生誕を祝うなら何します?」
舞 「(`・ω・´)黄金!!」
凛 「((((;゜Д゜))))私たちに届く範囲で・・・・・。」
風 「名刀 『瞬火』(またたび)』
凛 「え・・・?」
風 「ならば、名刀 『門淵』 (もんふち)」
凛 「((((;゜Д゜))))そうじゃなくて、なんで刀なんですか!!」
舞 「(`・ω・´)じゃ、おいしい和菓子を作ります。」
凛 「(*´ー`)心が篭ったものが一番ですね。」
風 「ならば、我が一番の愛刀 『七代祟』(しちだいたたり)しかないのか・・・・・。」
凛 「((((;゜Д゜))))全然解ってない!!」
岱 「わしなら、姫主役の話を巻物にして送るぜ。」