絡繰秘伝忍法帖
(からくり・ひでん・にんぽうちょう)
其の十九
「跳散水滴艶姿」
(はねるは・ちるは・みずも・したたる・あですがた)
滝の洞窟
岱 「うむ、いかにも『お宝』がありそうな感じだな。」
蘭 「まぁ、確かに・・・・・。」
わさび園を手入れする、お山を尻目に会話する二人。
岱 「で、あいつはいつまでああなんだ?依頼者さんよ。」
蘭 「ちょっとー!!日が暮れるまでに帰りたいんだけどーーー!?」
山 「あ、すみませんすみません。あ・・・怒ってます?」
蘭 「(^−^#)に゛っこり」
岱 「(^−^#)に゛っこり」
山 「((((;゜Д゜))))!!」
その笑顔の奥の黒い何かを感じ取ったので、先を急ぐ。
山 「簡単に見つかるには、見つかるんですよ。ほら。」
と、指差す先に、黄金の菩薩像はあった。
蘭 「あらー。」
まさに、外の滝へ繋がる・・・・・滝。
岱 「さらに上流から、洞窟の中にまで滝があるとはな・・・・・。」
蘭 「ご丁寧にその上の岩肌ですか・・・・・。」
岱 「飛べりゃ届くけどな。」
鳥でも無ければ絶対に届かない場所にそれはあった。
岩壁に張り付いて行ったとしても、
飛沫で濡れた岩壁は、そうとう危険。
もし、落ちようものなら、滝壺へ落ち、二度と浮かばないであろう。
岱 「ここに比べりゃ、外の滝なんざ・・・子供騙しだな・・・。」
蘭 「これは誰も狙わないわけね・・・・・。」
岱 「(*´σー`)」
蘭 「で、なにもたもたしてるのよ。」
岱 「ん?」
蘭 「あなたが腕を伸ばせば取れるでしょ?」
岱 「はいはい。」
岱は右腕の『暴王』の鎖を伸ばし、菩薩像を掴んだ。
山 「はー。噂には聞いてましたが、すごいものですね。」
岱 「((((;゜Д゜))))!!掴んだが・・・・・重いなこれ。」
山 「そうですね、米一表くらいはあるかと。」
岱 「どーすんだ?」
蘭 「そのまま引っ張れないの?」
岱 「さすがに落ちるぞ?あの激流の中で、掴み続ける自信はそんなに無いぞ?」
蘭 「落ちても死なないんじゃ?」
岱 「((((;゜Д゜))))問題そこかよ!!死ぬよ!!息できねーじゃん!!
浮かないんだよ!!重いんだよ!!」
山 「運動して痩せたらいいかと・・・。」
岱 「((((;゜Д゜))))違ぇーよ!!絡繰でできてんだよ!!」
蘭 「いいから、ちゃっちゃとやる!!」
岱 「((((;゜Д゜))))なにこの扱い!?」
とりあえず、落ちたときを考え、最悪の状態を免れるようにする。
岱 「この気体を送り込めば・・・・・。『大天空』!!」
しゅうううううううううううううううううううううううううう。
菩薩像を掴んでる拳の先から、何かが噴出し、膨らんでいく。
蘭 「な、なにあれ?」
岱 「風船っていってな、魚の浮き袋に、空気より軽い気体を入れたんだ。
菩薩像じゃなく、軽い物だったら宙に浮くぜ?」
蘭 「へぇ・・・。」
山 「便利ですねぇ・・・多くの野菜とか・・・。」
岱 「だから・・・『軽い物』って・・・言ってるんだが・・・。」
さすがに菩薩像は浮かない。
だが、仮に水に落ちても沈む事は無いだろう。
岱 「ちょっくら、引っ張りやすい場所まで行ってくる。」
岱の両足から、何かが噴射した。
圧縮した空気であろうか?
岱 「『大海王』始動!!」
なんと水に浮いたまま、進んで行った。
蘭 「もう、なんでもありなのね。」
山 「あれがあれば・・・わさび園で・・・・・。」
力任せに引っ張った。
菩薩像は音を立てて剥がれ、滝壺に落ちようとしている。
岱 「いくら浮いていても、滝壺に行かれちゃ、おしまいだな・・・・・。」
そのまま水上を高速で滑る。
浮いた菩薩像も引かれていく。
蘭 「そうそう、そのままそのまま、おいでおいで・・・・・ん?」
なにやら、水面に黒い影が・・・・・。」
岱 「お、おい、こんな滝壺に何か居るのかよ!?」
山 「あ・・・。まさか、以前逃がした金魚が、来る旅に大きくなってたんですが・・・・・。」
岱・蘭 「((((;゜Д゜))))金魚!?」
続く。
おまけ。
惑 「よ、お真さん。」
真 「あら、お惑姐さん、いらっしゃい。」
惑 「新しく布団を仕入れようと思ってるんだけど。」
真 「硬いのと、柔らかいのがありますけど?」
惑 「え・・・?」
真 「柔らかいのは羽毛仕様。
硬いのは綿をしっかり詰めるから、長持ちはするわ。」
惑 「いや〜、柔らかい方がいいんじゃないのか?」
真 「あら・・・硬くて長持ちするのに何か不満でも・・・?うふふ。」
惑 「((((;゜Д゜))))!!」
真 「あら、どうかしまして?」
惑 「((((;゜Д゜))))かたかたかたかたかた。」
真 「あら、布団も【自主規制】も、快適な夜のためには・・・・・ね?」
惑 「((((;゜Д゜))))!!放送禁止になってる!!」