絡繰秘伝忍法帖
(からくり・ひでん・にんぽうちょう)
其の十四
「秘伝忍法地巻」
(ひでんにんぽう・ちのまき)
地下洞窟
呼ばれた先に居たのは、言葉を話す猪だった。
猪 「・・・・・。」
風 「なんだ、大人しく観念して牡丹鍋になるんじゃないのか?」
猪 「いやいやいや、それは無いでしょう・・・。」
風 「で?貴様か?子供達をさらった犯人は?」
猪 「子供・・・?ああ、元々あの子供達が、僕達の『秘伝忍法帖』を持ち出してしまったのが原因だよ。」
風 「何?秘伝忍法帖だと?もしや・・・『金の巻』か?」
猪 「僕達のは、『地の巻』だよ。」
風 「地・・・?」
猪 「そうそう、『地の巻』は僕達十二支を『口寄(くちよせ)』できる、召喚巻物なんだ。」
猪は語りだした。
地の巻は、十二支を呼ぶことができるが、誰を呼ぶのか決定権は無いとの事。
十二支自身の意志だったり、様々な要因で決定するらしい。
そして、呼び出したら、何か願いを叶えるか、
十二支自身が納得する理由が無いと、引っ込まないとの事である。
巻物を見つけた子供達がどこかに、その巻物を持っていったため、
どうしようもなくなっているのである。
猪 「で、『地の巻』を探して欲しいんだ。」
風 「断る。」
猪 「そんな、悪・即・斬みたいなのはだめですよっ!!」
風 「悪いがそんな暇も無いし、私になんの得があるのだ?」
猪 「ぇ━━(*´・д・)━━!!! 子供達を見つけるついででお願いしますよ。」
風 「そんな義理も無いしな・・・。」
猪 「見つけてくれたら、『地の巻』の継承者として認めますよ〜。」
風 「要らん。」
猪 「ぇ━━(*´・д・)━━!!! だから返事早いってば・・・。」
ふと、ほんわか忍者「お凛」が浮かんだ。
こういうのが好きそうではないかと、少し思った。
風 「ふむ・・・。土産にいいな。」
猪 「今なんか、とんでもない事言ったかもしれないけど・・・。
このままじゃ、他の十二支に怒られるし・・・・・。」
風 「やれやれ、願いを叶えるはずの十二支の願いをいきなり叶えさせられるとはな・・・。」
猪 「(;´・ω・`)厳しいなあ・・・。」
猪を仲間にして、さらに奥へと進んで行く。
風 「で、貴様は何か能力があるのか?」
猪 「おいしい芋を探し当てる事です♪」
風 「そんなに牡丹鍋になりたいのか?」
猪 「ひいいいいいい!!冗談ですよっ。
(うわぁ・・・この人に遣われたくない・・・。)」
風 「ふん。」
猪 「まぁ、壁位なら突撃で壊せますよ。」
風 「そうか・・・・・。まんまだな。」
猪 「厳しいっ!!厳しすぎるぅっ!!」
少し進むと、何やら部屋のような場所に出た。
風 「なんだ・・・ここは?」
猪 「どうやら・・・塔の地下室みたいですね。
この洞窟と繋がっちゃったみたいな。」
風 「なるほど、ではこの上が怪しいわけか・・・・・。」
階段を上がって行く。
数階上がった所で、子供達を発見する。
だが、縛られていた。
風 「ん?」
子 「うわあああああああああああああん!!」
風 「どうした?」
子 「うわあああああああああああああん!!」
猪 「泣いてちゃ、解らないけど、仕方ないかな・・・。」
子 「うわあああああああああああああん!!」
風 「斬るぞ?」
刀を抜いて、突き立てる。
猪 「((((;゜Д゜))))うわああああ!!」
子 「!!」
風 「もう一度だけ聞く。何があった?」
子 「ここで遊んでたら、変なおじさんが来て、僕達の巻物取っちゃった。」
子 「そうそう、あ、あのおじさん!!」
お風が視線をやった先には、悪人面のおっさんと用心棒が居た。
悪 「んん?今度は子供じゃないな。」
用 「ん、中々の女だな、どれどれ、わしが遊んでやろう。」
風 「とりあえず、巻物を出せ。」
悪 「何を馬鹿な、秘伝忍法帖を簡単に渡せるか。」
風 「ふむ、秘伝忍法帖を知っているんだな・・・。」
悪 「なに!?おまえも知っているとはっ!!
おい、斬ってしまえ!!」
用 「へい!!」
猪 「((((;゜Д゜))))うわっ!!」
と、お風は刀をすっと前に出したかと思ったら、鞘に収めた。
用 「どうやら、実力の違いが解ったようだな。」
悪 「ま、おとなしくすれば、悪い様にはせんよ。」
猪共々、縛られるか・・・・・。
それとも・・・・・遊ばれるのか・・・・・?
続く。
おまけ。
萌 「美味ぢゃ!!」
凛 「ほんとっ!!美味すぎますっ!!お舞さん!!」
舞 「これは鶏卵をまず、卵白と卵黄に分けてですね・・・。」
萌 「ええい、作り方などどうでもよい!!すぐに代わりを持て!!」
凛 「姫様のその性格、お凛は大好きで御座います。」
萌 「南蛮渡来の不思議な菓子のようぢゃな!!」
舞 「えーと、こちらもどうぞ。」
凛 「作成者を思わせるようなぷるぷる感。」
舞 「え?(汗)」
萌 「美ーーー味ーーーーぢゃーーーーー!!
このやわらかな口どけはどうぢゃ!!
さらにこの上にかかった、味噌でも醤油でもない甘いたれ・・・・・。
そしてこの冷ややかな存在はどうぢゃ!?
次を持て!!」
舞 「氷保存庫が小さいので・・・そんなにはありませんよ。」
萌 「爺!!爺!!巨大な氷保存庫をすぐに作れ!!」
蹴 「姫は・・・本能で生きている・・・。」
凛 「姫様のその性格、お凛は大好きで御座います。」