絡繰秘伝忍法帖
(からくり・ひでん・にんぽうちょう)


其の四
「夕茶店事件帖」

(ゆうぐれ・ちゃみせ・じけんぼ)





           茶店 『涙雫』


岱  「牛飯を!!」
蘭  「牛飯を!!」


             見事に被った。


蘭  (はっ!!仮にも女子(おなご)が・・・牛飯・・・・・。
       私の莫迦莫迦莫迦っ!!これじゃ、伝説の桃色忍者みたいじゃないの・・・って
       そーじゃなくって・・・・・。顔を覚えられてしまうと偶然を装って近づきにくい・・・。
       いや、まてよ・・・いっそ今のうちに・・・・・いやいやいや。)



岱  「( ̄- ̄ )? ぶつぶつうるさい女だな・・・ぼそっ。」


            出てきた牛飯を頬張る二人。


蘭  (はっ!!仮にも女子が・・・がっついて食べるとはっ!!
       私の莫迦莫迦莫迦っ!!これじゃ、伝説の桃色忍者みたいじゃないの・・・って
       そーじゃなくって・・・・・。あまりにもおいしくて・・・。
       ん?なにこの、『夢で見たような感』は。)



岱  「ちょいとお姉さん。」

雪  「(^−^)はいっ、なんでしょう。」

岱  「烏賊焼きそば、烏賊抜きでっ!!」(烏賊嫌い)
雪  「(^−^)烏賊抜きですね、かしこまりましたっ!!」


蘭  (烏賊抜きの烏賊焼きそばって・・・普通に焼きそば頼めばいいじゃないの・・・・・。)




            食事をしながら、岱を観察する。

            お蘭は詐欺師である。

            だが、騙すのはいつも悪徳な商売をしている者を相手である。
            今回もそんな計画に、岱のような特殊能力を持つ第三者が必要なのであろう。



雪  「(^−^)お待ちどうさまです。」

岱  「うむ。もぐもぐもぐも・・・・・ぐ・・・・・も・・・・・。
          (´゚ω゚)あで?烏賊抜きって・・・・・。」

雪  「(^−^)はい。かわりに蛸を入れておきました。」

岱  「 (:。)ミ==`;;:゙;`(;゚;ж;゚; )ぶっ!!




蘭  (天然なんだ・・・・・あの娘。)


岱  「そ、そうか・・・・・。ありがとな。ごふっ。」



蘭  (あーあー。涙目で食べてる・・・・・。
       これが『涙雫』の所以かしら?・・・って誰がうまい事言えと。)

岱  「(´うω;`)うがふっ・・・蛸・・・蛸・・・。」



              ふと、お雪の着物の模様が『椿の花』だと言う事に気付く、お蘭。


蘭  「ん???『椿の花』・・・・『お雪』・・・・・。
        まさか、行方不明の抜け忍『雪椿』な〜んて事は無いわよね・・・。」






雪  「え?お冷って・・・お水の事じゃ?」
客  「いやいや、冷酒だよ!!」
雪  「きゃあ。」




蘭  「・・・・・・・。違うわよね・・・・・。」





             焼きそばを頬張る岱。

蘭  「あいつ・・・身体に絡繰を装備して、換装してるのかしら?
        でも、伸びた『腕』や、砲台の時、『腕』は外れてたわね・・・・・。
        義手なのかしら・・・・・。」






             と、岱の横に誰かが来て座る。

             侍の女・・・・・お風である。



風  「座るぞ。」

岱  「 (´゚ω゚):;*.:;ぶっ!!な、なんのようだ。」

風  「なんのようだと、ここは茶店であろう?」

岱  「 (´゚ω゚):;*.:;ブッ なんでここに座るんだよ。」



風  「だんだん混む時間だろう? 我等二人で二机占領したら効率が悪いだろう。」

岱  「まぁな、おまえ見かけによらず考えてるんだな。」
風  「どういう意味だ・・・・・。」

岱  「いやいや、なんか、どことなくなんでも冷めた『眼』で見てやがるからな。」
風  「ふん・・・・・。」



             注文を取りに来た、お雪。


雪  「(^−^)あ、お風さん〜* いつものでよろしいですか?」
風  「ああ。」





岱  「常連かよ。」

風  「ここの女将の一族は、代々女将でな。
       どうも我が祖先はそこで仕えていたらしくてな。
       一族同士の交流が今も名残で残っているだけだ・・・・・。」

岱  「意外と・・・・・おしゃべりなんだな。」











蘭  (うーん・・・あの女侍。なかなかの実力の持ち主と見た。
        ちょっとやそっとで騙せるような気はしないな・・・・・。
        とりあえず、覚えておいて損は無し・・・と。)


             が、しばらくその二人はお互い無言で食事をしている。



蘭  (なんだ・・・なんか話するんじゃないんだ・・・・・。
        時間かかりそうだなあ・・・・・。今日は帰るかな・・・・・。)





             と、食事を終えた、お風も席を立った。


岱  「おい、女。」

風  「・・・・なんだ?」

岱  「面白い刀があるんだが・・・・・買わないか?」

風  「ふん・・・この『七代祟』(しちだいたたり)に匹敵するのか?」

岱  「だから・・・面白い刀・・・だと。」

風  「機会があったら見てやるよ・・・・・。
         



             そして、お風は店を後にした。







蘭  「ま、今日はこれくらいにしとこ。
        すみませ〜ん、お勘定〜〜〜〜〜!!」


             と、張り紙に、『おでん』の文字。


蘭  「はっ!!仮にも情報に携わる者が見落としていた・・・・・。
       私の莫迦莫迦莫迦っ!!しかも私の好きな『おでん』じゃないの・・・って
       そーじゃなくって・・・・・。なんでこの暑い時期におでんが・・・・・。
       いや、まてよ・・・逆に暑いから旨いのかな・・・・・。」
雪  「(^−^)おでん・・・・・食べますか?」










             なんとなく『奇妙な女』と呼ばれそうな、お蘭だった。





雪  「おでんでーす。」

蘭  「やっほーぃ。」


             と、おでんをはふはふ食べる。


蘭  「はっ!!仮にも女子(おなご)が・・・牛飯後におでん・・・・・。
       私の莫迦莫迦莫迦っ!!これじゃ本気で伝説の桃色忍者みたいじゃないの・・・って
       そーじゃなくって・・・・・。あいつ帰ってるし!!








             結局、情報収集はここまでだった。



             続く。












































おまけ。


星  「あ、なんか食べにいってるし。」

岱  「おまえ寝てたしな。」

星  「とかいって、町娘に手を出したり・・・・・。」

岱  「ん?スリの男なら。」

星  「((((;゜Д゜))))ついに、そっちに!!」

岱  「『手を出す』の意味が違う!!
        あ、そう言えば、茶店の娘はかわぃかったな。
        あんな娘な・・・・・」




         やっぱりか−_−)=O)X_X兄)



岱  「まだ・・・・・何も・・・・・。」

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