魔術都市
129話「異空間〜唸る衝撃〜」









             異空間・城付近
               
              ただの勘か、虫の知らせか・・・。

              アイのそれは、すぐに目の当たりにする事になった。




チェ 「おのれ・・・ギュスー!!あれを出せ!!」

ギュ 「アレってなんだドン!?」

チェ 「お前に渡した魔法石だ!!」

ギュ 「アレはオイラが使うんだったドン?」

チェ 「ええい、早くよこせ!!」

             ギュスーが駆けつけてきて、何かをチェクワーに渡した。

             それが、アイの予感した凶悪な何かである。


ギュ 「チェクワー様、コレだドン。」

チェ 「貴重なこの魔法石を使う事になろうとは・・・。」




ダイ 「なんだアレは?」

テツ 「そんなに強力な魔法でも入ってるでゴザるか?」

ダイ 「攻撃魔法ではないな・・・・・。」



チェ 「フハハハハハハ、魔族の宝の1つを盗んで来たのがコレだ。
     貴様ら下等種族には、一生お目にかかれぬ、伝説の【進化魔法エボルシャス】だ。」

マナ 「伝説魔法・・・・・でも、使用者が居るなんて・・・。」

ミナ 「偽物じゃないの? そんなガムみたいな名前の魔法知らんけど?

アイ 「いや・・・・・アレは・・・・・なんとなく本物だと思う。」

リン 「えっ?」



             それはアイの過去に遡る話ではあるが、アイはこの魔法石と出会っていた。

             まだ記憶にも薄い過去であり、ただ感覚が記憶しているのである。



アイ 「あんまり、イイ気分じゃないね。」


             早めに倒そうと、チェクワーに魔法を連射するアイ。


チェ 「闇の進化の秘法を・・・・・我が手に・・・・・。」



             エボルシャスの魔法石が黒く鈍く輝きだし、そのオーラ状のものがチェクワーと、ギュスーを包み込む。

             瞬く間に体内に取り入れられ、爆発にも似た筋肉の隆起、
             正気には思えない目の色の変化。

             誰がどう見ても、「凶々しい」としかたとえようのない、悪魔のような姿に変わっていく。


テツ 「しまったでゴザる、見とれている場合ではないでゴザったな。」


             テツが高速で走り、その異形のギュスーに殴りかかる。

             が、簡単に受け止められ、殴り返されテツの身体は回転しながら叩きつけられた。

テツ 「ぐはああああああああああああああああ!!

ダイ 「テツ!!」



ギュ 「ぐふぐふぐふぐふ♪ オイラ強いドーン!!」

ミナ 「ちっきしょう、あのドンドン野郎・・・。ミナの宇宙パワーを受けてみろってんだ!!」




            特に何も起こらない。

ダイ 「お前、何してるんだ?」

ミナ 「竜魔人だかの、宇宙パワーで変身を・・・。」

ダイ 「秘めたる力ってのはな、言わばジョーカー!!
     切り札は、最後まで使わないが基本。」
ミナ 「そんなん、意味ないじゃんさ!!」

ダイ 「それでも、本当に死の淵まで取っておくものだ。
     お前は今、【とっておき】みたいな頼りと、驕りがある。そんな状態に真の力は応えてくれない。
     自分でできる事を全てやりきってないだろう?」

ミナ 「・・・・・。せんせ、めんごっ!!アタシまだ、やってないよね。」

リン 「ミ、ミナさん、リンのパンダさん、どこまで援護できるか解りませんが・・・・・。」

ミナ 「うん、行くよっ!!」




星兎 「な・・・・・なんなの・・・・・アレは・・・・・。」


             マナは星兎を連れ、後ろに下がり、テツを救出する。


マナ 「一体どうすれば・・・・。」

ダイ 「マナ、それでいい。一番まずいのは、【全員が同時にやられる事】、ここで一歩引く事は戦闘において大事だ。」


             ダイは前進する、ミナとリンを追う。

ダイ 「テツを頼んだぞ!!」





チェ 「キフェフェフェフェフェフェフェ!!おおおおお、これが魔法の力か!!
      封印爆発魔法イオラーーーーーガ!!

ダイ 「こういうタイプは、否定していた力でも・・・・・関係ないんだよな。」


リン 「パンダさん、フバーハ!!」

ダイ 「ダメだ・・・・・。くそっ!!高等氷撃魔法ヒャダルコ!!


             光幕魔法フバーハでは、爆発魔法は防げない。
             爆熱から身を守るだけである。

             完全な対策が無いために、せめて【ヤケド】だけは避けようというのだ。
             行動そのものが制限されるからである。

ダイ 「おい、二人とも下がれっ!!」


             巨大な爆発が着弾した!!


リン 「あああああ!!パンダさんが燃えちゃうっ!!」

ミナ 「ちくしょう、近づけない・・・・・。」

ダイ 「おい、あまり前に出すぎ・・・・・ぐはあああ!!」



             高速で回転しながら、ギュスーが飛んできた。
             ヘタしたら、数トンの衝撃があるだろう体当たりを喰らった。


ダイ 「し、しまった・・・・・。」

             身体から鈍い音がした。


ミナ 「(。`・д・´)・・・・・。」



             ミナは、大きな声で叫びだした。


ミナ 「(。`・д・´)この、ギュスーだか、牛スジだから知らないけど、かかってこいよ、牛野郎〜〜〜!!

ギュ 「それはオイラの事なのかドン?」

ミナ 「(。`・д・´)お前以外に居るか!!このバーカバーカバーーカだドン!!


リン 「ミ、ミナさん?」

ミナ 「(。`・д・´)へへーーんだ、お尻ぺんぺんぺーーん♪」


             そのまま、走り出す。

ギュ 「むぬぬぬぬぬぬ!!なんか、むかつくんだドン!!」


             ギュスーが追いかけていく。

             完全に遠くまで逃げていくミナ。



マナ 「引き離したのね・・・・・。」

アイ 「でも、やられちゃうんじゃないの? ちょっと私追いかけてくる。」

マナ 「ええ、気をつけて・・・・・。」

アイ 「なんだ、アンタ気の利いた事も言えるんじゃん。」

マナ 「な・・・。」

アイ 「テツ先生頼むよ。」



             マナはテツに回復魔法を唱える。
             が、打撃のダメージが大きく、脳震盪を起こしている感じである。





ダイ 「敵を離したはいいが、どうするか・・・・・。
     リン、攻撃魔法を使えるものを召喚しろ。」

リン 「え・・・でも。」

ダイ 「人を傷付ける可能性のある魔法で、絵を描きたくないのは解るが・・・・・。
      時には自分の規律を曲げないとな・・・・・手遅れな事はあるんだぜ?」

リン 「・・・・・。」

             ダイはその場にヒザを付いた・・・。

             リンは星兎の方を見た。


チェ 「ああ、そうだ・・・あの小娘もむかつくんだったな。
       光線魔法レミラオーーーーーン!!





星兎 「えっ?」



             秒速30万キロの光線が、一瞬にして星兎の身体を撃ち抜いた。

             血を吐きながら倒れる星兎。

マナ 「なっ!!早いっ!!」



リン 「あ・・・・・。

             ちょうど、リンはその瞬間を目の当たりにする。


リン 「あ・・・。いやだ・・・・・いやだ・・・・・。
     もう、誰も失いたくないんですっ!!




チェ 「ヒャシェシェシェシェ!!早いっ!!早すぎる!!秒殺の魔法・・・・・クカカカカカカ!!」


リン 「そんなに人を傷付けて楽しいのですか・・・・・?」




             リンは指先に魔力を込めた。







             続く。















































おまけ。


マド 「あわわわわわ・・・・・。」

マイ 「(−_ゞ どうかしました・・・・?」

マド 「なぜか・・・・・ダイ先生、テツ先生、ミナさんの湯飲みが・・・・・パッカリ真っ二つに・・・・・。」

マイ 「((((;゜Д゜))))あ、こっちはリンちゃんと、アイさんのも・・・・・。」



ヒメ 「え・・・・。マナさん以外・・・・・全員じゃないの?」

マド 「どどどどど、どうしましょう!!」



ヒメ 「お、おちつくのよ!!」

マイ 「ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿」

マド 「でも、皆さんが・・・。」


ヒメ 「とりあえず、接着剤で貼りあわせたら、運命も戻るから大丈夫なの!!」

マド 「そうだったんですか。」
マイ 「じゃあ、すぐにくっつけましょ!!」










ヒメ 「落ち着かせるためとはいえ・・・なんてことを・・・。
     でも、異空間じゃ、援護のしようが無いわ・・・・・。」

inserted by FC2 system