魔術都市
109話「雷の塔・お先に90階」
雷の塔
リン 「もう結構登ったと思うんですけど・・・。」
ミナ 「だねぇ。」
マイ 「また、大きな部屋があるよ?」
一同はまた扉を前にした。
ひとつの区切りが嬉しいような・・・嬉しくないような。
リン 「扉は・・・・・ホッ・・・。」
リンは扉に傷が無いかを確認していた。
フウ 「・・・・・。」
クウ 「そうですよフウゲツさん、空気は・・・薄くなってます・・・とっくに。」
フウ 「そのようですね・・・まぁ偶然でしょうが、この雲が酸素を含んで包んでるので助かってるのですわ。」
マイ 「(`・ω・´)んにゅ?」
窓から見つからないようにしているマイの『雲』にそんな効果があった。
フウ 「そんな効果がなければ、雲の上で寝てるのを許すことなくってよ?」
雲を持続してる間は魔力を消費続けるので、文字通りのスリープモードで
『雲』を維持する。
本人にそんな意思の無い不思議な能力である。
フウゲツはそれを解っていた。
登りつめるまでは、その効果を頼り、そして・・・・・。
フウ 「行きますわよ!!」
フウゲツは扉を開けた。
部屋は、以前のものより広く、不思議な空間であった。
石でできた舞台のようなものが真ん中にあり、壁際にはいくつかのテーブル。
そして、座ってる誰かが居た。
クウ 「誰か居る・・・。」
一方、消えてしまったユーキチとABC−023は・・・・・?
23 「だから言ったアベシっ!!これはエレベーターがアベシ!!」
ユー 「エレベーター・・・古代の魔導超伝動システムの産物・・・自動昇降機!?
この塔は一体・・・・・。」
23 「この特殊な素材も、全部システムのためだアベシッ!!」
ユー 「この塔は・・・・・魔導の起源そのものなのか・・・?
この塔には魔導の全てがあるのか・・・・・?」
23 「はいはい〜ただいま、50階を通過がアベシッ!!」
023の案内が、「90階」と言った時、エレベーターは止まる。
ユー 「ここが・・・最上階なのかい?」
23 「解らないアベシっ!!でも、これ以上は行けないアベシッ!!」
『90』というのが気になるのは、人間だからだろうか?
『100階まである』と、なぜかキリ良く考えてしまう。
エレベーターを出ると、階段があった。
23 「んんん?電磁波はスゴイんだアベシ・・・・・。」
023は少し動きが悪くなった。
ユー 「これはコーティングでどうにかなるとも思えないし・・・。
人体にも影響ありそうだ・・・。」
階段を見渡す。
階段は螺旋になっていて、下へも続いている。
上がっていた階段そのものなんだろう。
このスピードで上がってきたのだから、皆はまだ下なのだろうか???
とりあえず、お先に90階ってとこだろうか。
と、階段を見上げた時、誰かが倒れているのに気づいた。
ユー 「!!」
女性のようだ、ぐったりはしているが意識はありそうだ。
「身体が・・・動かない・・・・・。」
ユー 「ちょっと待って。」
魔導システムの装備が無いため、ユーキチには魔法が使えない。
一応薬草などは持ってきたので、それを煎じる。
ユー 「ちょっと失礼。」
ユーキチは女性の身体を抱き起こす。
その感触に違和感を感じる。
ユー 「ん?」
「ああ・・・私は身体の数箇所が機械なの。」
ユー 「えっ?」
ツク 「私はツクヨミ・・・。身体を維持する魔導超伝動システムを埋め込んでいるのだけど
ちょっとシステムが古かったのかしら・・・キライじゃないけど?」
ユー 「・・・・・・。その動力の『雷の魔法石』を取りに?だとしたら、なぜそんなムチャを・・・。」
ツク 「自分でできる事は・・・自分で。
私は無理だって諦めてじっとしてるタイプじゃないから・・・・・。」
ユー 「でも、現にこうして・・・・・。」
ツク 「少しづつでも・・・私は這いつくばってでも。」
ユー 「見つけたからには、手助けするよ?」
ツク 「そういうわけには・・・。」
ユー 「僕もできる事しかしないよ? 仮にあの扉を開けて、雷龍が居たとして、
それを倒してくれって言われても・・・できないよ?」
ツク 「・・・・・。なるほど、じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます。
アナタのその性格、嫌いじゃないわ♪」
ユー 「ど、どうも。」
23 「こっちも動きが悪いんだアベシっ!!ユーキチ女性優先・・・エロユーキチ・・・エロキチだアベシっ!!」
ユー 「・・・・・。キミのプログラムに『女性には優しく』と入力しておくといいよ・・・。」
ユーキチは、ツクヨミに肩を貸し、階段を少しづつ登る。
そこから、かなりの時間を要したが、大きな部屋の大扉の前まで来た。
すぐに、中に入った3人だが、その先には・・・・・・。
ユー 「ああ・・・本当に居るとは・・・思わなかったよ・・・。」
ツク 「私も・・・(汗)」
23 「アレは・・・・・アレは・・・・・」
と、同じように70階ではあるが、部屋に入ったクウチロ一行。
その椅子に腰掛けている男が、口を開いた。
男 「ほう・・・こんな所まで上がって来る奴がまだ居るとはな・・・・・。
なんだ?雷撃の奥義でも、掴みに来たか?」
クウ 「ええ、それもありますが、人探しに来ました。
四聖王の魔導技師ジェイを探しに来ました。」
男 「魔導技師ジェイ?」
クウ 「ご存知無いですか? 魔導システムを熟知したお方なので、
その動力の雷の魔法石を採りに来ると伺ったもので・・・・・。」
男 「ああ、確かにな。」
クウ 「では、いらっしゃるのですね?」
男 「ああ・・・・・それは、俺の事だしな。」
フウ 「!!」
ミナ 「(。`・д・´)!!」
リン 「あのお方が・・・・・四聖王・・・。」
マイ 「魔導技師さん・・・?」
J 「ハッハー。俺も有名になったもんだな。」
その男、魔導技師ジェイは70階に居た・・・・・。
続く。
おまけ。
トロ 「・・・・・・。」クイッ
トロ 「ふと、今更だが、あの変わり者の師匠に会って、無事に済むだろうかと、
本当に今更だが思う・・・・・トロ。」
トロ 「まぁ・・・023を連れてるからそれで大丈夫だと思うトロ。」
トロ 「あとは、023なら、魔法石も取れると思うんだトロ。」クイッ。
ヒメ 「ちょっと、あの人、独り言もあの語尾なわけ?」
マナ 「私にそう言われても・・・・・。」