魔術都市
102話「ファイヤーウォール・アナザー06」









             魔法体育館


                渦巻く雷雲が立ち込める。


魔王  「どうした、勇者の末裔。
       達者なのは口だけか?」

フウ  「クッ・・・。」


                たとえ、ラナリオンで雷撃魔法ライデインを増幅させ炸裂させても、

                魔王の『生きている鎧』がある限り、本体に雷撃が直撃する事は無いだろう。

                フウゲツもそれは解っていた。



フウ  「高等雷撃魔法!!ライデイン!!!!!


                出方を見る攻撃である。

                これが、『生きている鎧』にどれだけ効くのか・・・。



                やはり生物兵器といえど、ダメージは受けるようだ。

                荒れ狂う獣のように、ヨダレを撒き散らしながら吠える。


ロプ  「ひいいいいいいいい!!」

フウ  「ただの野犬だと思いなさい!!」

ロプ  (や、野犬も充分怖いんですが・・・。)





アイ  「んー。暗黒魔法を覚えたけれど、結局魔族には効かないんだよね・・・・・。
        高等真空魔法っ!!バギマ!!」


                真空の刃が鎧を刻むが、まさにカスリ傷。


アイ  「めんどくさい相手だね・・・・・。」


                アイの両手が空中で、舞うように円を描き、
                左手を前に突き出して、右手を引いた。

                溢れる魔力が、何かのカタチにうっすら見える。


ロプ  「あれは・・・?弓矢?」

アイ  「本当はもっと隠しておきたかったんだけどなあ・・・。
        精錬魔法・・・・・『矢』 全弾一斉射撃!!


                刃に魔力の羽を宿し、まさに『矢』のようになった真空魔法バギマが
                寸分たがわず、同じ場所に打ち込まれる。

アイ  「フン・・・・・数発で効かないならっ!!数十発!!それでもダメなら数百発!!
         私は諦めない・・・・・。」



                さすがに小さな傷と言えど、何度もエグられては、たまらない。
                『生きている鎧』は、苦痛の表情をする。


フウ  「精錬魔法・・・・・いつのまに?」

アイ  「いつまでも、『勇者フウゲツの取り巻き』で、終わりたくないんで。」

ロプ  「うっ・・・。」



アイ  「お次は氷撃魔法ヒャド・・・小さなツララでも数百撃てばミサイルになるっ!!
        全弾連続射撃!!



               打ち込まれ続けるヒャドの嵐。


魔王 「フン、たかが鎧を相手に苦戦しているようだな。」

フウ 「そうね。前線に出てるだけ、どっかの臆病魔法に比べたら素晴らしくマシですわ?」

魔王 「何?」



               さらに打ち込まれ続ける。

               普通魔法と言えど、これだけの連射は相当な魔力を消耗する。

               アイが肩で息をするようになった。



魔王 「どうした?そんな魔法じゃ、こいつらは倒せんぞ?」

ロプ 「ぶつぶつぶつ・・・。」



               ロプが後ろでつぶやいている。

               魔法の詠唱である。

               噴霧魔法スプレドである。

               その細かい霧が、鎧の顔に付着し、それが氷撃魔法で凍結。


               結果、鎧の口を塞ぐ事になる。




               だが、辺りの炎が燃え盛り、勢いを増した。

               それがまた氷を溶かす事となった。



魔王 「馬鹿共か・・・・・3人組で戦うわりに、お互いの魔法の相性も解らんとはな・・・・・。」

フウ 「まぁ、それにわたくしが気づかないと思ってるのが、アナタの落ち度よ?
       地獄へ舞い戻りなさい・・・魔王!!



               辺りの炎が一斉に消えた。


               アイの足元には魔方陣が。

魔王 「!? アレは・・・・・魔快魔法マホイエル・・・。魔力を回復する魔方陣か・・・・・。
       あっちの女はなんだ!?」

ロプ  「ごにょごにょごにょ。」



               ロプは魔力を練っている。



フウ  「そう、この二人は、わたくしの一族に伝わる大転移魔法オメガルーラの魔法石を持っている。」

魔王  「馬鹿な・・・オメダルーラだと!!」

フウ  「そうですわ。アナタは特に何かをする前に・・・・・消えるのですわ。
        闇すら飲み込むブラックホールにでも・・・・・。
        消えなさい!!大転移魔法オメガルーラ発動!!




               フウゲツの合図で、アイとロプは魔法石を地面に叩き付けた。

               溢れる魔力が、3人を包み辺りに三角形の魔方陣を形成する。

               その次の瞬間魔王は消え去っていた。


アイ 「ふふっ、断末魔が聞けないのは、寂しいかもね。」

ロプ 「で、でも、魔王がこんな簡単に倒されていいんでしょうか?(汗)」

フウ 「一つの悪が消え去ったのですわよ?
       神ですら、私の美貌に免じて許しますわ。」







               フウゲツ・アイ・ロプ

               魔王討伐。






               その瞬間、学校を包み込む闇のフィールドのようなものが消えた気がした。

フウ 「やりましたわ。」


               だが・・・体育館の床の空間も次元のひずみのような物ができていた。。


ロプ 「フウゲツ様・・・これはまずいのでは・・・。」

フウ 「あ、慌てないで。近寄るんじゃないですわよ?」



ロプ 「な、何か聞こえます。(汗)」






   『ちょっ、なんか変なとこに出口無い?』

   『もうっ、転送装置に無理矢理飛び込むからですよっ!!』

   『だって、1人分の料金で2人いけると思ったんだもん。』



フウ 「な・・・なんですの?この不愉快な声は・・・・・。」




   『あ、なんか聞こえる。なんか、すっげームカつくけど。
      ちょっとーダレか知らんけど、開ーけーてー!!



              城塞都市クラウナーのルーラの転送装置を誤った使い方をした結果がコレである。






ロプ 「フウゲツ様・・・どうやってこの空間を開くのですか?」

フウ 「別に開ける必要無いんじゃなくって?なんだかとても不快な予感が・・・。」

ロプ 「そんなこと言ってる場合じゃ・・・。」



アイ 「あんましさ、ルーラの転送装置の中に居ると良くないっていうしね。」








   『ちょっとー。ミナでつよ?ミナでつよ? そっちの誰かー開ーけーて!!』






             続く。











































おまけ。


ミナ 「あーけーてー♪」

リン 「え?」

ミナ 「開いた〜♪」

リン 「って、それ・・・マナさんのお弁当じゃないですか?」

ミナ 「だって見てみたいじゃん。」

リン 「ダメですよ。」

ミナ 「マナさんて、自分で作ってるんでしょ?
      アタシもいつか食堂開きたいから参考にしたいじゃん。」

リン 「ダメですー!!」









    パカ。


ミナ 「((((;゜Д゜))))!!」


    パタン。


リン 「(´・ω・`)?」

ミナ 「((((;゜Д゜))))やばい・・・・・。見たのバレたら殺される。」

リン 「((((;゜Д゜))))えっ?ま、まさか大失敗してるとか・・・。」




マナ 「・・・・・。何ヲシテルノカシラ?」

リン 「((((;゜Д゜))))あわわわわわわわわわ!!(逃)」

ミナ 「((((;゜Д゜))))うわあああああああああああああああ!!
      ごめんなさあああああああああああああああい!!」

マナ 「待チナサイ・・・・・。」

リン  「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


















ダイ 「ん?誰の弁当だ?」

テツ 「さぁ?しかし・・・見事な・・・。」





















テツ 「イノシシのキャラ弁であるな・・・。」

ダイ 「・・・・・・。カピバラじゃないのか?」

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