絡繰乱舞夢日記
第陸拾伍話
「大事な法螺貝(中編)」
潜行亭
杏 「只今戻りました。残念ですが、その大きさの法螺貝はありませんでした。」
志 「申し訳ありません、こちらもそんな情報は・・・・・。」
ダ 「そうか・・・。」
り 「かといって全部を絡繰で作れば、法螺貝の自然の音色は消える・・・。」
か 「あああああああああ・・・・・。どうすれば・・・・・。
詫びても詫び切れない・・・・・。」
轆轤屋
ロ 「・・・・・。(ダミ沈黙)」
おかちょの罪悪感が募るので、泣かないようにはしてるおサヤ。
それでも元気が無いのは一目瞭然である。
海辺
猫 「ふぅーーーーーー。」
妖猫まどにゃが、海に潜ってみた。
無論浅瀬にあるわけがない。
午 「猫なのに無理しないほうがいいですよ。
法螺貝というものはですね、修験道においては、立螺作法(りゅうらさほう)と呼ばれる
実践が修行されまして、立螺作法には、当山派・本山派などの修験道各派によって
流儀を異にし、吹奏の音色は微妙に違うわけですよ。
大まかには乙音(低音階)、甲音(高音階)、
さらには調べ、半音、当り、揺り、止め(極高音)などを様々に組み合わせて、
獅子吼に擬して仏の説法とし、悪魔降伏の威力を発揮し、
更には山中を駈ける修験者同士の意思疎通を図る法具として用いられるのです。
さらに今回はですね、絡繰師の技術がその音階を調節するわけでして、
商品名『法螺云』(ほらうん)って言うシロモノですからね。」
猫 「とりあえず、黙るにゃ。」
宿屋『苺』
苺 「持ってるお客さん居ないか聞いてみたけど、やっぱり無いねぇ。」
た 「そっかぁ。」
み 「それでもまだまだ探しますよ☆」
南町奉行所
鉄 「ワシが黒須藩南町奉行所奉行
鉄漢音鉄兵衛である!!
全員、集まるのだ!!」
もう大騒ぎ。
ゆ 「大丈夫なのかっ。」
鉄 「緊急事態である。」
奉行所の者に探させようというのである。
鉄 「かくかくしかじかであり、大きな法螺貝を探しておる。
各自、自分の実家などあればすぐに持ってくるのである!!」
ゆ 「(;`ー´)なんか、スゴイことになってきたなあ。」
鉄 「では、全員、散れ!!」
ブォオオオオオオオオオオオオオオオ!!
合図の法螺貝が鳴り響く。
ゆ 「((((;゜Д゜))))あ゛!!お奉行!!それ、法螺貝!!」
鉄 「おお、そういえば。」
ゆ 「((((;゜Д゜))))!!あるじゃん。」
鉄 「そういえば、もう一つ予備があったな・・・・・。」
ゆ 「((((;゜Д゜))))おい!!」
すぐに予備の法螺貝を探しだす、ゆう吉。
ゆ 「ちょっと、ひとっぱしり行ってくる!!」
鉄 「いやぁ。拙者としたことがウッカリウッカリ。
こりゃ、うっかり鉄兵衛だな。」
がしゃーん。
鉄 「((((;゜Д゜))))げげ!!」
潜行亭
ゆ 「ダイ!!これこれ!!」
ダ 「おお!!」
り 「いいね、いい大きさだ。
すぐ改造に取り掛かるから、ダイは忍者組に伝令を!!」
ゆ 「すぐ、轆轤屋にも!!」
ダ 「あ、いや、それはいい。黙っておけ。
まだ、あのデキで完成するとは解らない。」
ゆ 「そういって・・・なんとかしちゃうんじゃないの?」
ダ 「できるだろ?」
り 「勿論。」
ダ 「ま、でも黙っておけ。」
ゆ 「なんで?」
ダ 「その方が・・・・・劇的だ。(笑)」
ゆ 「( `ー´)o んじゃ、明日までに頼むよ。」
ダ 「((((;゜Д゜))))なにぃ!?」
り 「((((;゜Д゜))))明日ぁ!?」
ゆ 「(;`ー´)う、うん・・・・・。」
轆轤屋・天井裏
ミ 「(。`・д・´)・・・。元気だしなよぅ、お凛ちゃん。」
凛 「(´;ω;`)だって・・・・・。」
ぶらさがって、下も見てみるが・・・・・。
ミ 「(。`・д・´)うーん。もしゃもしゃ。」
サ 「( ・ω・)・・・。」
さて、法螺貝は完成するのだろうか・・・・・?
続く。
おまけ。
ゆ 「しかし、ココにあったとはね。」
鉄 「うおううおう!!それは、かの武田信玄が合戦で使ったといわれる
由緒正しき品だ!!丁重に扱え!!」
ゆ 「って、自分で割ったじゃん。」
鉄 「(´・ω・`)・・・。」
く 「おお・・・・・世界を救いたまえ・・・・・。」
まだ祈る和尚だった。