絡繰乱舞夢日記
号外編・その壱
「刀と轆轤と壺と天然」

話:かちょ
編集:脳噛











           轆轤屋
           この店のオープンは決して早くはない。
           其所へと向かうべくノンビリと道を歩く女がいた。





おかちょ 「寝不足だ…。」


           ブツクサと文句を言いながら道の真ん中を歩く。



けった 「おや、おかちょさんじゃないですか。」

           道端に水を撒く巨漢に半眼になったままの目を向ける。


けった「…………怖っ!( ̄□ ̄;)


おかちょ「万屋よ、何か言ったか?」
けった「いいえ全然!まったく何も!!」

              ガクガクしながら首を横に振るけったから視線を外して再び歩き始める。


おかちょ「やはり上手くはいかんな…。」


             実は昨日から師匠と教えを請うている絡繰師ダイのもとで絡繰仕掛けの刀を作っているの
             だが、これがなかなか上手くいかずにいた。
             一人考え込みながら轆轤屋の暖簾をくぐる。



くうちろ「おかちょさん遅刻ですか〜〜〜〜?(*`▽´*)ケラケラ」

おかちょ「いや、生臭住職が早いのだと思うがな。
     …酒ニ浸リキッテ死ネバイイノニ<ボソッ」


くうちろ「酷い!!」






おロク   「あら、おはよう。(ダミ声)」
おかちょ 「うむ。おサヤは?」
おロク   「もう中で用意してるわよ。(ダミ声)」


             奥を覗けば背中見せたままの女の姿。



おかちょ「おサヤ。来たぞ。」
おサヤ「あっおかちょさん。お早うございます〜〜〜(´∀`)」



             振り向いておかちょの目の下にできた隈に気づく。

おサヤ「夜更かしでもしてたのですかぁ?」
おかちょ「ちょっとな…。」

くうちろ「散々にでも飲んだんじゃないですか?」

おかちょ「どこぞのエロ坊主と一緒にするとは不本意だな。
       ちょうどいい、





       …せっかくだから試し斬りさせてくれ。」

くうちろ「ひぃぃぃぃぃぃいいいい!!!ヽ(;゜;Д;゜;; )」



              その会話で何を作っていたのか気づいたおロク。

おロク「上手くできたの?(興味深々のダミ声)」

おかちょ「出来がイマイチでな。
       ヒントが欲しいんだが師匠は自分で考えろと言うばかりだ。」


              手にした箱を投げ出し店の椅子に座る。
              そのまま腕組みをして天井を仰いだ。



おかちょ「せめて師匠の絡繰書が借りれたらいいんだが…、」





              《回想》

ダイ『エロい姉ちゃんなら貸すけどな。』


              回想終了。






くうちろ「おかちょさんじゃあ無理ですね(笑)」

おかちょ「そうかそうか。





       坊主自ら三途案内する気になったか。」

くうちろ「冗談ですぅぅぅううう!!!ι(◎д◎;)」



             くうちろを絶対零度の視線で凍らせた後、やれやれと開けようした箱の蓋を閉める。
             無論中の刀はまだ鍔も柄も無い刃だけの物だ。


おかちょ「ようは師匠が気に入るようなボン★キュッ★ボンを送りこめばいいんだが、」


             該当者がいない。
             忍びの人間は何らかの形で師匠と関わってるし、
             宿の苺女将に頼むにしても快く頷いてくれるかどうか…もし了承を得たとしても、


おかちょ「おみるならイケると思うが、そんな事言えばおミナも参加するだろうし。」

             それは避けたい。
             外見は可愛いのだが中味、
          いや中身が師匠好みではない
(断定)。


             誰かいないか。


おサヤ「女将さーん。野菜洗ったよ〜〜〜(*´∇`*)」














             沈黙。
















おかちょ 「これだ。」





             半刻後。


おサヤ 「どうですかぁ〜?」
おロク 「すごく綺麗よ(*´∇`*人)(満足のダミ声)」

おかちょ 「申し分無いな。」

くうちろ 「今日はおサヤちゃんに酌をしてほしいなぁ…。






    …すいません冗談です調子に乗りました。」

             おロクの若い自分に着た鮮やかな柄の着物に身を包み、髪を結い上げ薄化粧を施されたお
             サヤは一目では本人とわからないほどに美しく変身していた。


おかちょ 「これならイケるな。」

             満足そうに頷ずくおかちょ。

おサヤ 「で?どこまでお使いに行けばいいの〜?」
おかちょ 「あぁ。町から少し外れた所に昔からの見張り小屋がある。
        あそこに男が住んでいるから本を借りてきてくれ。」




             ややクセのある字で絡繰書にあった表書きを札に書いておサヤに渡す。


おかちょ「今日のおサヤなら快く貸してくれるだろう。
       もし駄目だと言われたら悩殺してくるんだ。
       一撃必殺だ。頼んだぞ。」
おサヤ「頑張りまぁ〜す。」



             呑気に轆轤屋を出るおサヤを見覚る三人。


おロク 「大丈夫かしら…?(心配のダミ声)」
おかちょ 「初めてのお使いではあるまいし。」

             鼻で笑うおかちょを無言で見るおロク。
















おかちょ「まさか…初めてか?」







             さすがに一抹の不安がよぎる。

おかちょ「まぁ…何とかなるだろう。」



















             多分。





             それから一刻が過ぎる頃、一冊の書を手にしておサヤが帰ってきた。

おかちょ 「確かにこれは師匠の絡繰書!」

             表書きを改めて珍しく上機嫌になるおかちょ。

おかちょ 「よくやったなおサヤ!」
おサヤ 「わぁ〜い、褒められました♪」

             とりあえず店内に入り書を読む。



おロク「いつ仕事してくれるのかしら…(嘆息のダミ声)」


             と、絡繰書を開いたままおサヤを見たおかちょは相変わらず上機嫌のまま口を開いた。


おかちょ 「初めてのお使いで、しかも師匠だなんて難易度の高い場所。
       よくコレを借りれたな。
       あのエロ師匠、すぐに貸してくれたのか?」
おサヤ「大変でしたよ〜。一回お断りされたんですぅ(´Д`)」

おかちょ「まぁさすがにそうだろうな…で?」
おサヤ「ほら。おかちょさんが悩殺って言ってたでしょ?」

おかちょ「確かに言ったが本当にいけるとは…」

             苦笑したおかちょ達は次の言葉で凍りつくことになる。






































おサヤ「手頃な鈍器で悩殺しました★(*^_^*)










             それ、悩殺じゃない…


             心の中で思うも三人は口に出さず立ち上がった。

おかちょ 「…ちょっと出てくる。」
おロク  「救急箱忘れずにね(憐れみのダミ声)」

くうちろ 「ちょっと寺にでも戻ろうかな。」
おロク  「さすがに葬式は無いと思うわよ?(呆れのダミ声)」



             何も気づかす二人を見送るおサヤを見て、おロクは一つだけ強く思う。






             …当分お使いはおかちょさんに行ってもらいましょ(心の中のダミ声)































■おまけ■









おかちょ「…」

             目の前で伸びている男。
             そして転がっていた腰程の丈がある壷。
























おかちょ「こんな物で殴られたらなぁ…。」

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