絡繰乱舞夢日記
第拾玖話
「しらべに乗せて」
黒須殿。
今日のこの舞台は一大事だった・・・・・。
なんと、『舞姫まな』が病気と言う事で舞台を降りている。
見に来てがっかりする客、心配そうにする客。
様々だった。
饅 「(´・ω・`)姫の容態は?」
医 「胃を悪くされてますな・・・・・。」
饅 ( (´・ω・`;)食べすぎだ・・・・・。)
す ( (´・ω・`;)食べすぎだ・・・・。)
医 「当分は、食事など一切控えて安静にしているように。」
姫 「(´・ω・`)・・・。」
そう言い残すと医者は出て行った・・・・・。
食べる楽しみを取られた分、元気も無い舞姫まな。
饅 「(´・ω・`)姫、たまには休養も必要ですよ・・・・・。」
姫 「(´・ω・`)餡蜜20杯だけだめ?」
す 「(`д´)姫!!」
姫 「(´・ω・`)冗談に決まっておろう・・・。」
布団に突っ伏す姫を離れ、二人は悩んだ。
饅 「いつもの料亭・・・。用意してるでやんすよね。」
す 「とりあえず、行って事情を説明しよう。」
その料亭まで行き板長に話をする。
板 「まぁ、その話は聞いていましたが・・・・。食材が・・・・・。」
す 「その食材は全て買い取ります。」
饅 「ど、どうするんでやんすか!?」
す 「大丈夫、さっき話を付けた。支出は少ないが宿屋『苺』が買い取ってくれるらしい。」
饅 「あ、なるほど。」
す 「こちらの都合で、この料亭に迷惑をかけるわけにはいかないのでな。」
板 「いえいえ、うちは買い取ってもらえたら損害はでませんし。
それに姫様の食べっぷりは料理人に取っては光栄ですし、
それが見れないのは、なんか残念ですよ。
また、元気になったらいらして下さい。」
す 「勿論。その時はよろしく頼みます。」
饅頭だけ黒須殿に帰る。
その奥に広がる部屋を借りている。
裏口に差し掛かったとき、ひとりの老婆に話しかけられた。
老 「あのぅ、、、、舞姫様は大丈夫なのですかのぅ?」
饅 「え?ああ、大丈夫ですよ。少し休養を頂くことになるでやんすが。」
老 「そうでしたか。」
饅 「姫のお知り合いかな?」
老 「いえいえ、姫様の歌の虜の一人ですよ。」
携帯伝書から響く歌は姫の歌であった。
姫が歌を披露したのは極々稀な時であり、
事前には知らされることが無い。
音を取るにしても、相当運が良くないとできない事だった。
饅 「熱烈な人気ですなあ。あっしもいつか噺を携帯伝書に入れて、
繰り返し聞いてもらえるようになりたいでやんすなあ。」
と、すわんが戻って来た。
す 「ん・・・・・?あの老婆は・・・・・・。」
饅 「ん?どうしたでやんす?総帥。」
す 「いや・・・・・なんでもない・・・・・。」
どこかで見たような・・・・・。
そんなすわんの反応だった気がする饅頭だった。
す 「饅頭や。夕飯でも食べて来るか?」
饅 「いえ。あっしは・・・・・腹はすいてない・・・・・」
ぐるるるるるる。
饅 「((((;゜Д゜))))!!あ、いや、これは満腹すぎて・・・・・。」
す 「なるほど・・・・・姫が食べれないのに自分だけ食べないということか。
よし、私もそうしよう。」
饅 「(`・ω・´;)ははは・・・・・。バレましたか・・・・・。」
姫 「うーーーーーん。焼き鳥ぃぃぃぃぃぃ・・・・・・。」
饅 「(`・ω・´;)どんなうなされ方・・・・・。」
数日後。
また、饅頭が裏口を通ろうとすると、
こないだの老婆が、竹筒を渡してきた。
老 「これなら、胃が悪くても大丈夫ですじゃ。
ぜひ、姫様に・・・・・。」
饅 「へ、へぃ。」
そして、それをすわんに伝える。
す 「ふむ。しかし、そんな得たいの知れない物を姫の御口に入れさせるわけには。」
饅 「で、やんす〜〜〜。」
す 「こないだの老婆か?」
饅 「で、やんす〜〜〜。」
姫 「ま、、まさか、その竹筒・・・・・・。サトウキビの汁では・・・・・。」
す 「しばしお待ちを・・・・・。」
すわんはその汁らしきものを紙に垂らした。
りすきの開発した『毒見紙』のようだ。
す 「たしかに、そんな成分ですね。」
姫 「・・・・・・。」
そして、またあくる日に老婆は来ていた。
饅 「またでやんすよ・・・・・。」
す 「姫、おそらく・・・・・。」
と、状況を把握してたかのように舞姫が言う。
姫 「婆だね・・・。」
す 「そうです。」
饅 「え?」
知らぬ饅頭のために説明された。
まだ舞姫が孤児であったとき預かっていた家の主がその婆さんであった。
だが、その孤児を集めていた家も全員を育てるのが難しかった。
ちょうどそんな時、舞姫舞踊一座が大金で引き取りたいと申し出た。
まなは色も白く踊りの才能も見え、美しく目に止まったようだ。
本来なら断りたい所だが、まなの将来とその他の孤児のために
泣く泣く「まな」を売ってしまったというカタチになってしまったのである。
饅 「ひどいでやんすね!!」
饅頭も怒り出す。
そしてそれがひとつの事件を巻き起こす。
またあくる日も老婆はやってきた。
老 「姫様の具合はどうだい?」
饅 「(`д´)あんた、ひどいでやんすね!!姫様を売りに出して
自分達は裕福な暮らししてたでやんすか!?」
話を聞いた饅頭は、明らかに敵意を持ったのである。
饅頭の話を黙って聞く老婆・・・・・。
その時ちょうど老婆の携帯伝書が鳴った。
もちろん「舞姫まなの歌」である。
饅 「あんたにそれを聴く資格はないでやんすよ!!」
と、携帯伝書を手で撥ね退けた。
携帯伝書は地面に落ち、砕けた。
老 「あ・・・・・。」
饅 「あ・・・・・。」
別に饅頭は壊すつもりは無かったのである。
姫 「何をしておる。饅頭。」
なんと、舞姫が裏口から出てきた。
饅 「姫!?」
老 「!!」
すぐにすわんが追いかけてくる。
す 「姫!!まだ寝ていて下さい!!」
姫 「饅頭が騒いでおって寝れないわ。」
饅 「(´・ω・`)すみませんぬ。。。。。」
と、舞姫は老婆の持つ竹筒を見た。
姫 「こういう事をされても、困るのであるが・・・・・。」
老 「・・・・・。」
姫 「もう私は子供ではないから・・・。」
老 「・・・・・。」
実はその孤児で老婆に育てられたた時に
よく老婆がオヤツにと出したのが、この竹筒だった。
老婆は無言で、地面に落ちた携帯文書の欠片を集める。
何度やってももう「まなの歌」は再生はできないであろう・・・。
姫 「饅頭、そなたが壊したのか?」
饅 「へぃ・・・・・。で、でも、そんなつもりじゃないでやんす・・・・・。」
す 「もう通話も不可能だな・・・・・。」
老 「いえいえ、通話にはほとんど使っておりませんので・・・・・。
それでは、私はこれで失礼しますじゃ・・・・・。」
老婆は何度も壊れた携帯文書を操作していた・・・・・。
もちろん、鳴るわけもない。
姫 「待って・・・・・。」
饅 「ああ、あそこに絡繰の潜行亭がありやす。
直してもらえば大丈夫でや・・・・・・。」
と、「すわん」が「饅頭」を止める。
す 「その必要は無いようだな・・・。」
饅 「へ?」
「すわん」が唇に指をあて、静かにするように命じ、視線を舞姫たちに向けた。
舞姫は老婆の携帯文書を手にとって見ている。
姫 「しょうがないから、新しい携帯伝書に私が直接、歌を録音させてあげるわ・・・・・。
勘違いしてもらっては困るが、うちの饅頭が壊したんだから新しいのを弁償するだけ・・・。」
老 「ま・・・・・いえ・・・・・姫様。」
姫 「これ饅頭!!何をしておる!!
すぐに携帯伝書を買って参れ!!
人様の物を壊しておいて!!」
饅 「す、、、すぐに行ってくるでやんす!!」
高速で走り行く饅頭であった。。。。。
携帯を買って、黒須殿の裏口から中に入る。
そして、無事新しい携帯文書に歌を入れる事ができたのであろう。
老婆は笑顔でお礼を言い帰って行った。
あえて、過去の話は一切しなかった。。。。。
姫 「・・・・・。」
す 「姫、お気持ち・・・お察し致します。」
姫 「・・・・・。」
そして、舞姫は饅頭の方を見る。
姫 「これ、饅頭。」
饅 「((((;゜Д゜))))ひいいいいいいいい!!
ごめんなさいでやんす!!なにとぞなにとぞ!!」
大袈裟な反応の饅頭に少し呆れた顔をして
そのまま何も言わず、寝室へと向かう。
饅 「(;°◇°)あ、あれ?
怒られると思っていた饅頭であったが、
何も言わぬ、舞姫に不思議顔。
姫 「礼を言うぞ・・・・・・。」
饅 「(;°◇°)えっ??????」
そして、「舞姫まな」はあくる日に復帰した。
時折、舞台であの老婆の姿を見つける事もあったそうな。。。。。
続く。
おまけ。
饅 「フフフフフフ。すわんさん、あっしの噺の着信用の音ができあがりました。
絡繰師のお二人に頼んで作ってもらいました。」
姫 「短い噺?」
饅 「いえいえ、お二人に頼んで長い長いのでもできるようにしてもらいました。」
す 「誰が入れるの?」
饅 「(´;ω;`)ひどい・・・・・。」
姫 「ま、、まぁ、一応饅頭噺を楽しみにしてる人も・・・・・。」
饅 「.*゚+(人*´∀`)+゚*.居るでやんすか?」
姫 「さて、すわん。食事にしましょう。」
饅 「((((;゜Д゜))))!!」