絡繰乱舞夢日記
第捌話
「噺と表現」
轆轤屋。
やっぱ基本ここから始まる物語。
全ての基点。
機転で、貴店に、来てん。(寒)
と言いたいですが、今日は『黒須殿』から。
さてさて、ちょっと寒かった噺をしたりして凹んでる人がいました。
恐怖亭饅頭。
饅 「(´・ω・`)ふー。やっぱ、あっしには噺の才能無いんですかねぇ・・・・・。」
姫 「ん? 噺を作る才能と、それを表現する才能は違うと思う。」
す 「姫のおっしゃる通りかと。。。」
饅 「(´・ω・`)では、あっしには表現力が無いんですかねぇ・・・・・。」
姫 「伝えたい事を、『伝えたつもり』なら、ひとりよがりで終わります。
その信念が無ければ、何も変りませんよ。
昨日の噺と、今日の噺、何が変りましたか?」
饅 「(´・ω・`)内容・・・・・。」
姫 「((((;゜Д゜))))解ってない・・・・・。
舞も噺も根本は同じですよ。」
す 「とりあえず、登場した時の切り込み方を考えてみては?
『これぞ、恐怖亭饅頭だ!!』っていうような。」
饅 「名乗りの前に一言入れてみますか。。。」
姫 「それはいいかもしれませんよ。」
饅 「よし、考えてみよう・・・・・。」
ひとり部屋に篭り思考する饅頭。
饅 「えーっと、『箸が転んでもおかしい年頃、恐怖亭饅頭です。』・・・・・。うーーん。
うーん。『フンドシは真紅。恐怖亭饅頭です。』うーーーーん。」
こっそり屋根裏から見守る「すわん」。
す 「( ´_ゝ`)まだまだかな・・・・・。」
饅頭にそうは言ったものの、舞姫まな自体も、
自分の表現方法は言葉で無く、舞であるために日夜思考の連続であった。
す 「求める物を言葉にする・・・・・。
簡単に見えて、実は難しい。。。。。」
姫 「あら、でも、簡単で素直にもなれるものよ。。。。。
とりあえず・・・・・。
焼肉12人前と、野菜もたくさん欲しいわね・・・・・。
炭火鉢と網は10人分すでに用意しておいて。
ああ、あと野菜は緑のアレは出さないように。
タレは醤油のと、味噌のと、胡麻のと、
檸檬汁のと、塩のもいいわね。それから・・・・・。」
す 「御意。(汗)」
轆轤屋。
ロ 「う〜〜ん(ダミ声)」
ダ 「う〜〜む。」
か 「女将さんと師匠、何をお悩みで?」
ロ 「あたしは趣味で書いてる物語に行き詰って・・・・・。(ダミ声)」
ダ 「私も、人の嗜好と言う面で思考を張り巡らせ、その一歩先を見ねば・・・・・。」
か 「さすがですね。。。私の書いた物語も見ます?」
おかちょは巻物を取り出した。
一応読んでみる二人。
ロ 「あらあら、いい視点で書くじゃないの。(ダミ声)」
ダ 「冒頭ですでに、十人以上死んでるんだが・・・・・。」
か 「命あるものは全て、いつかは消え行くんですよ・・・・・。」
く 「だから、坊主も居る・・・・・と。」
後ろでぐびぐびと般若湯。
か 「そうね・・・・・。
自然にじゃなくて、故意に散らせられる花もあるかも・・・・・。
うふふふふふふふ・・・・・・。」
く 「((((;゜Д゜))))ゾクッ!!」
微妙に命の危険に晒されてる気のする住職くうちろ。
浜辺でうなだれる饅頭。
饅 「うーん。」
ダ 「ん?」
何気に通りかかった、絡繰師ダイ。
ダ 「お?舞姫の前座君じゃないか。」
饅 「覚えててくれたんですかぃ。」
ダ 「まぁな、、なんか濃ゆいし。(笑)」
饅 「ま、どうせ皆、舞姫の舞のついでに見てるようなもんでやんす。」
ダ 「だから、どうしたんだ?」
饅 「え?」
ダ 「本当につまらんかったら、帰ってるんじゃないのか?」
饅 「あ。。。」
ダ 「切り口か、人ってのは『本来ならやる想定内に入っていた事』を言われると
その後、結構やりにくいもんだ。。。。。」
饅 「ぇ?」
なにやらの入れ知恵。
あくる日の、『黒須殿』
また今日も舞姫が先だった。
他の噺家がいると、そちらが前座になる。
だが、トリと言うわけでもなく、
第二幕への繋ぎと言えばそうである。
たとえ第二幕に色々あろうが、舞姫だけが目的の人も少なくない。
舞姫の出番が終われば席を立つ。
そんな微妙な雰囲気の中、恐怖亭饅頭の登場なのである。
饅 「さてさて、恐怖亭饅頭です。」
何人かに、席を立とうという感じが見えた。
饅 「舞姫の美しい舞も終わり、恐怖亭饅頭のくだらない小噺。
皆さん、厠に行く時間ですよ?」
客席から、笑いが起こる。
席を立とうとした人もまた座り直す。
饅 「今日もお暑い中、あっしの噺で涼もうなんて方はいらっしゃいますか?」
始まった噺を客席から見守る男。
ダ 「( ̄- ̄ )y─~~ 世話の焼けるヤツだ。」
饅頭にとっては初めての『拍手喝采』での終わり方。
舞台を降り、控えに戻る。
姫 「饅頭・・・・・おめでとう。」
す 「今日はお客さんもすごい笑ってたなあ。」
饅 「姫・・・・・。すわんさん・・・・。あっし・・・・・あっし・・・・・。」
嬉しくて泣く。
饅頭に取っての貴重な日だった。
饅 「拍手や応援が、こんなに嬉しいなんて、あっし今まで知らなかったでやんす。」
す 「自分が話すだけ・・・じゃダメだって事。」
饅 「へぃ!!」
姫 「今のその気持ち・・・絶対忘れないように。」
饅 「へぃ!!あっしまだまだこれからだと思ってますんで。
また、こうやってここで噺できるように精進致すでやんす!!」
姫 「(^ー^*)そうね。」
さてさて、『恐怖亭饅頭』
その名が一枚看板で出るのは、まだまだ先の話でありました。
続く。
姫 「これすわん、ダミ声団子はまだかぇ?」
す 「((((;゜Д゜))))え!本当に要るんでしたか!!」