ルイーダの酒場殺人事件

かちょサイド



■ルイーダの酒場殺人事件-forかちょ-【鉄血の視点】 ※ロクロ粘土氏共催イベント

ようこそ「ルイーダの酒場」へ。

此処は恋に哀しみを覚え
故に恋を引きずって訪れたお客様を癒す場所
本日は開店記念として
ちょっと変わった趣向にて

お店のお話を覗いて見てください

あたくしは
ママのロクロ

少しダミ声ですが

慣れて下されれば…


あら。
開店時間だわ。

どうぞ
いらっしゃいませ…





「偉大であ―――――る!」

左手にあるのは数枚のDVD。
ここ数ヵ月の拙者の漢エキスが濃縮したような代物である。
右手に万鬼を持ち、いざ出陣である!!

カラン

勢いに反して静かに扉を開けるとロクロママが気づいて笑顔を向けてきた。

「あら、ルイーダの酒場にようこそ。」
「やぁ。相変わらず微妙で絶妙な着物ですな。」
「…それ誉めてるのかしら?まぁいいわ。今日は一人?」
「うむ。今日はかちょと連絡がとれなくてな。」
「かちょさん?あの人なら今日は早くから来て今はダイバーさんとカウンターに座ってるわ。」

カウンターを見れば確かに見覚えのある後ろ姿。
大方話に夢中で拙者のメールに気づかなかったのであろう。
店内を見渡せば見知らぬ顔の中に混じる見知った顔。
二人掛けのテーブル席に大きな体を器用に座らせている人物に近寄る。

「ケッタさん。」
「鉄血さんじゃないですか。」

ニッコリと笑うケッタ氏にニヤッと笑い返し向かいに座った。
すかさずバーテンが来て注文を取る。
ここの店員は接客がなんたるかをわかっている。
ちょもという名札を付けた女性が礼儀正しくペンを構える中で告げるカクテルの名前。

「赤い彗星で。」
「かしこまりました。」

カウンターのママのもとに戻る店員を見送りながらケッタ氏が笑っている。

「鉄血さんはホント好きですねー。」
「うむ。ネーミングもさることながら飲みやすいしな。
 連邦の白い悪魔は少し甘いのだよ。」

『わかったかー!』

「万鬼もこの通りである。」
「なるほど。」

拙者の片手を占拠するパンダを見て納得したように頷いたケッタ氏。
手元にある飲み物を一杯飲んで不思議そうに拙者の手にある物を見る。

「それ、何ですか?」

ようやく気づいてくれたか漢仲間よ。

「これか?これは我輩の苦労の結晶である!」

和やかな雰囲気漂う店内に響く拙者の声。
隣の席で話していた女性がクスリと笑い、拙者は慌てて声を落とした。
すぐに流れるピアノの音。
そしてsuwanさんによる熱く静かなゴスペルソング。
その中でケッタ氏との会話はコソコソと続く。

「それで?結晶って一体何ですか?」

問われてついついニンマリする。

「このところmixiでも書いているがビリーズブースキャンプは知っているだろう?」
「もう日本中で大人気のアレですね。」
「まぁそれを何ヶ月もしていたのだが少し飽きてしまってな。」
「確かに同じプログラムだと飽きますよね。」
「で、だ。拙者、ビリーに触発されて鉄血ブースキャンプを作ったのだ!わかったかー!」

小さい声で叫んだ瞬間、後ろからカツンとガラスの音がした。
これが事件の始まりだったようだ。
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