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-LIVE CARD-第一話 大盤振舞 第十四幕


ぴょんがルーレットの結末を双方ドローになるように細工を指示し
舞台に上がりかけたその時

ルーレットの方から歓声が上がった。

「…終わったか」

やや…いや、かなり不満顔なぴょんが終了を合図しようとした。


だが、その歓声はぴょんの予定とは大きく外れた。



「オォwwwww勝っちまったよ!!!!」


「まさか!」

ぴょんは人込みを乱暴にかき分けルーレットの玉の行き先を見た



「…そんな…」


玉は赤い場所に





赤い0の場所に入っていた。


「何故だ…確かにちゃんと…ハッッ!」

周りの観客はぴょんの言動に不信な顔を曇らす…。



だが、一番信じられないのは




ぴょんよりもラフィーのほうだった。





「嘘だ!!!!!!!!!!!


俺はキングなんだ!!!!!!!!

負ける筈がない!!!!!!


これは夢だ…そうだ夢なんだ…」

叫ぶラフィーにさやは

「いいえ。現実よ…そして…それがあなたの実力…」


「ウァァァァァァアwwwww」

チップをなぎ倒すラフィー

観客に成り済ましていた数人がラフィーを抑えつける


「マネージャー!!!!どういう事だ!!!!俺は勝つんじゃなかったの…ウググッ

離せ!離せwwwww」

数人に羽交い締めをされ
連れて行かれるラフィー。


「…ゲームセット♪…かな?」

不意にダイヴァーは立ち上がると苦々しい顔をしたぴょんに向かってやや高圧的に驚いた。

「勝つ筈とはどういうことですか?

私が勝つことが何かの間違いなのですか?

まるでキングが勝たなきゃいけないみたいですね?」


いつの間にか口に加えたパイポをカリカリ言わせ


楽しそうにダイヴァーは挑発する

どよめく観客

「八百長?」
「なんだよそれ!」
「おかしいと思ったんだ!」

「まさか今までの奴も…ふざけんな!」

一斉にぴょんを取り囲む観客たち


慌てるぴょん
「いやぁ…あの…何分こいt…いや、キングはデビュー戦ですので多少混乱しているのですよ…はは…」

シドロモドロになりながらも観客をなだめるぴょんにラフィーは更に怒りをぶつける。



「マネージャー!!あんたが俺を勝たせるから…勝ったらさやねぇを返すと言うから俺は来たんだ!」


動揺するさや

「…え?…ラフィ…そんな…私はあなたを助ける為に…なぜ…」


「コイツが全部仕組んだんだよ!俺が勝つようにルーレットに細工をしてな!!

違法な賭博に健全なルールなんてあるわけないだろ!!!!!!!」

ラフィーは全てをブチ巻けぴょんを指差した。



「チッ…バラしやがって…」

今まで見たことのない形相で開き直るぴょん


「…これはエンターテイメントです。

楽しみを得る為には等価は必要でしょう。皆様には

商品を買わせる為に策を練る事を理解し、成功を掴まれた皆様には
充分ご理解頂ける仕組みだとおもいますよ?

皆様が楽しむ分私たちはその対価を頂いているだけです」


沈黙の走る会場…

「…詭弁だな…。」

吐き捨てるようにダイヴァーは言った。


「搾取の理論を語る気はねぇ。貧乏人から金を毟り取る訳でもねえし、
金の使い方を知らん連中から巻き上げるのは大いに結構。

だが、それを講じるのに駒を利用する方法に合点が行かないね。



やり方の問題だと思うが?」



ぴょんは息を飲み、淋しそうに呟いた

「…残念です…大変残念です大場様…。搾取には搾取に必要な方法があります
方法を選んでいて、搾取できると思いますか?
…あなたならご理解頂けると信じてましたのに…」

肘を抱え頭を指で支えていたぴょんは

不意に頭を上げて

パチンッと指を鳴らした


「大場様をお連れしろ…」

黒服に囲まれるダイヴァー。



「出来れば穏便に済ませたいとか願ってるんだがな…」

そう言ってぴょんの方を向くダイヴァー

「…ご理解頂けない以上難しい注文ですね…。ヤれ!」

「…やれやれ…。もうちょっと賢いと思っていたのにな…。」

ダイヴァーに襲いかかる黒服達

ダイヴァーは
再び悪魔の笑みを浮かべしゃがみ込み目の前の黒服に足払いをする
「ウグッ」
ひっくり返る黒服A

ダイヴァーはそのまま手を着き後方の黒服Bの喉元に蹴りをかます

後ろに吹っ飛ぶ黒服B

「野郎!」

右手にいた黒服Cがダイヴァーの服を掴むとダイヴァーを押し倒す

「ゲフッ!」

乗り掛かった黒服Cのみぞおちにダイヴァーの膝が入る

会場は大混乱

逃げ惑う客とホステス達

「今お出になると危険です」
会場の入り口を封鎖し、客と揉み合う黒服達


「だからさぁ…一度僕が一緒に行くから♪」

「えっと…今そんな状況じゃ無いみたいよ…」

流石にMNKSもこの状況を理解し、慌てるが正人は気にも掛けない

相変わらずMNKSを口説いてる正人に


「ええぃ何をしてる!お前も奴を抑えんか!」

ぴょんは苛立ちながら正人の腕を掴む



「…こういうの苦手なんだけどな
…先輩じゃあるまいし」

正人は
ヤレヤレと言った表情でMNKSを見てウインクすると

「そろそろママが来るし…
MNKSちゃんはちょもちゃんと合流して待っててね☆




あ…約束忘れないでね」


「ちょ…約束って!というか、なんでちょもちゃん知って…」

MNKSが言い終わらない間に
正人は人混みに消えて行った。


「…手加減が面倒くせぇ…」
ブツブツ言いながら一人、又一人とダイヴァーは黒服をなぎ倒す。

不意に後ろを取られ
羽交い締めにされたダイヴァー


「ちょっと待ったwwwww」

スタンドマイクを頭上に振り上げダイヴァー目掛けて振り下ろす正人


肩をすくめてしゃがみ込んだダイヴァーの後ろにいた黒服にヒットする


「…ちょっと催眠切れてきてる?」

正人に問うダイヴァーに

「…嫌だなぁ…先輩ならアノくらい大丈夫でしょ(笑)でもまぁ、彼女とは身体は同じですからねぇ…(笑)」

不敵な笑みを溢す正人。


「…まぁ…そうだな」

府に落ちないまま正人の横に居た黒服を殴る

ゴチンッ

鈍い音


「あ…つい力が…まぁいいか」


完全に楽しみながら暴れるダイヴァー


「おぃ、お前!何をしている!!アイツをヤレと言った筈だ!」


どうみてもダイヴァーに加勢している正人にぴょんは問いただす。

「いやぁ…奴の動きが速くて…」
飄々と答える正人

「ええい…使えんやつだ!もういい!客の誘導に行け!」


「…そういうのも苦手なんだなぁ…」

そういいながら正人はダイヴァーに目配せをし、再び人ごみへと消えていった。

「まぁちゃん…二人を頼むぜ。」

そうつぶやくと黒服を一人持ち上げた。

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