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-LIVE CARD-第一話 大盤振舞 第十三幕
「…ヤバいわね…メッセにも返事がないわ
アイツ完全に依頼忘れてる…」
「そうですね…潰す気満々ですね…」
作戦に取り掛かるべく機材を調整しながらかちょとマスターは暴走モードに入ったダイヴァーを見て戦の行き先に不安がよぎった
「あそこで弟さんが登場した時点でなんとなくこうなるかな…とは思ってたけど…
仕方がない。タイミングはこっちで取るしかないわね…」
深い溜め息を吐露するかちょは
作戦変更を余儀なくされ、メルキドのビルの見取り図を広げた。
「そうですね…最初の作戦では弟さんの場所を正人ちゃんが見つけだし身柄を確保たら、ダイヴァーさんがさやさんを連れ出せるように私たちがどさくさ紛れを演出する筈でしたから…」
流石にやや困り顔のマスター
「奴がどうしたのであるか?」
ワンセットを終わらせて7度目の汗を拭きながら鉄血はかちょママに聞く。
「詐欺の匂いを嗅いじゃったのよ」
作戦の変更を頭で計算しながら
煩わしそうにかちょは答えた
「…奴の大好物であるな!さも楽しいだろう」
満足げに鉄血は首を縦に振りながらダイヴァーの笑みを想像した。
「…喜んでる場合じゃないし…
大体兄者もそうなんだけど遊びじゃないのよ!
それに警察も動き出してると…兄者だって警察来たらどうなるかわかってるでしょ?
…全く男ってどうして目の前の餌に弱いのよ…」
「まぁまぁ、そんなことよりママ早くしないと(笑)」
やや眉がつり上がり爽やかな笑顔になりはじめたかちょママをマスターはなだめる。
「…パパが同じ種族だって信じがたいわ…」
心の底からの心情を吐露するかちょ
「ラブラブであるな。」
鉄血はやや、いやらしい目付きでかちょを肘でこずいた
体を震わせながら
最高の爽やかな笑顔にほころんで行くかちょ
気付かずかちょをつつく鉄血
青ざめるマスター。
「………………………………………プチン☆あはははははは♪」
「ヤバい!」
かちょママの拳が握られたのを察知し停めようするマスターの行動は一歩出遅れ
闇夜にゴツリと鈍い音が響いた
「へぇ…ボードするんだ…」
「いやぁちょっとかじってるだけですよぉ♪」
「是非、僕に釣られて…いや、行ってみたいね」
カジノでは青目の正人がMNKSをからかって口説いてる時
ルーレットは異様な雰囲気に包まれていた
「こんなはずじゃ…何故だ!」
青ざめたラフィー
目の前に積み上げられたチップ
それを遥かに上回るダイヴァーのチップはラフィーからダイヴァーの顔を見えなくしていた。
ダイヴァーは
淡々とチップを増やしている
「…俺はキングだ…キングなんだ…大丈夫チップだって………ちゃんと増えてる……………なのに何でだ…………」
怯えた表情のラフィーは不意にさやを見た
さやは哀しそうな表情で首を横に降る
その表情にラフィーの中の何かが切れた。
「…俺は…俺はキングなんだ!!!!!!!!!」
全チップを再び00へと押し出す
会場は大きなどよめきに包まれた
「オォwwwww」
「此処で00かよ!」
それを見たダイヴァーは
「…若いな…。
俺も☆」
なんと0に全チップを置いた
再び歓声が上がる観客
「こいつはスゲェwwwww」
「有り得ねぇ(笑)」
正に最後の闘いに急展開したルーレット勝負に
奥で見ていたマネージャーのぴょんは険しい目付きで舌打ちをした。
「…馬鹿な奴め…調子に乗りやがって…」
襟元に付いているピンマイクでルーレットを操作している者に指示を出す
「…終わらせろ…こんな勝負で勝たせる訳にいかん。後々の客足に影響する」
マイクの向こうでは了解した返事がやってきた
「…馬鹿が…」
そう指示し、ゲーム終了を待たずに
舞台に立つ準備をしようとぴょんはルーレットから背を向けた