新連載 ダイヴァー氏主演小説 -LIVE CARD-第一話 大盤振舞 第三幕
順調にバイクは走り
約30分程で目的地に着いた

隣町の繁華街の中心よりやや外れた飲食街の雑居ビル

此処の八階に依頼人の捜している男が居る。
おそらく。


そのビルの持ち主は
IT関連の社長となっているが

実際はヤクザの持ち物
このご時世、下手に素人相手に危ない事は出来ないから
ビル管理や家賃は奴等の実質的な収入源になっている。

無論そんなものでは金が足りない筈だが、
ここ最近事件も起こさず

幹部連中の羽振りも良いときている。

警察はかぎまわっているみたいだが
何処からそんな金が沸いてくるのかなんて俺にはどうでも良かった。

この依頼さえ受けなければ。


カリカリとパイポを鳴らすダイヴァー。

一通り辺りの道を確認すると
おもむろに時計を見た

「五時か…。」

動くにしてもまだ時間があるか。


あそこはまだ空いてないし、事務所に戻るには足が原付じゃあどうにも…

「ま、仕方ない」

ダイヴァーは再びバイクを走らせると、ド派手な看板のネットカフェに着き、面倒臭そうに入って行った

勿論
占いをするために


約四時間程立った時
勘定を済まして再びバイクに股がるダイヴァー

着いた先の看板は


「Bar・ルイーダ」


と書いてある

店に入ると、ママは出掛けているとの事

店員のカナぺに用件だけを伝え、ダイヴァーは店にバイクを置き

先程の雑居ビルに向かいつつ歩きながら電話をかけていた。

「あ、マスター?悪いけどバイク明日返すって奥さんに言っといて。

あと、多分あの娘にお願いすると思うから。
…まあね(笑)
ではお願いします。」

なにかの打ち合わせをしダイヴァーは電話を切る


「さてと。ドレスコードはなかったかな。」


ルイーダでラフなスーツに着替えたダイヴァーは
雑居ビルの前に着いた。


エレベーターのボタンを押すと1階にいたのか扉が開く

乗り込んだ後、八階のボタンを押すと
エレベーターはゆっくりと昇り始めた


シースルーのエレベーターからこの町を見渡す。


「…また荒れるかな。」


ボソッと呟くと八階に着いたのか扉が開く


帰る客と鉢合わせになり、先に客をエレベーター載せ後から降りる形になった。

客は上機嫌だ


「スワンちゃん〜♪今度ゴルフ行こうな(笑)」


「本当に?是非お願いね♪」


そんな会話を横にダイヴァーはエレベーターを降りた


「クラブ・メルキド」

入り口にはゴツい体のドアボーイが。




「水笛持って来てな…コホン。」


「どうされました?」

ゴツい男は苦笑するダイヴァーを見て不思議そうに尋ねた


「いや、何でもない。
一人なんだが」


「申し訳ございません。
当店は会員制でして。」


「…そうですか。」
そう言ってくるりと向きを変えエレベーターに戻る


下に降りると先程まで客の相手をしてた女が居た


「あら?お店の席は空いてませんでした?」


スワンと言われてた女がダイヴァーに問いかけた

「門前払い」

「あら?会員さんじゃ無いの?」

「生憎(笑)」


「じゃあ、どうして
わざわざお店まで上がったの?」


「さっき君を見掛けて綺麗だったからね。」

一瞬間が空いた後
suwanはニッコリと笑った


「まぁ☆お上手(笑)」


「嘘は嫌いなんだ。


『…つかれるのが』だけどね」


ケタケタと笑い出すsuwan

「面白いひと(笑)…いいわ。私が入れてあげる」


suwanは腕を組みダイヴァーを再びエレベーターに載せた


扉が開くとやはりゴツい体の男が立っていた。

「先程申し上げましたが…」

ゴツい男が言い終わる前に

suwanがダイヴァーの腕をギュッと掴むと

「私の前の店のお客様なのよ。」



「…そうですか。では、一度だけですよ?」

そう言うとドアボーイはドアを開けた。


横を通る時ダイヴァーはなんとなく口笛を吹いていた。




曲は勿論




ようせいの笛の音。



続く


inserted by FC2 system