CHANGE ∀ MIND
第87話
「それぞれ宿すもの」
脳噛商会事務所
勝手にプリンを食べたため、真菜からゲンコツを貰ったアイ。
頭を擦りながら座る。
ア 「ねぇねぇ、パパっ!これで私もなんか仕事できる?」
岱 「ハァ?」
ア 「だって私も能力者になったんだしさっ!!」
能力『聖剣の疾風(かぜ)』に目覚めてはいる。
だがまだ目覚めただけである。
岱 「少し覚醒したからと、調子に乗って命を落とすタイプだな・・・・・。」
ア 「・・・・・。」
岱 「そういう驕りが、油断を生む。最高の凡愚になりかねん・・・・・だいたいだな・・・。」
真 「待って、岱。」
説教が始まると察知した真菜が割って入る。
真 「アイちゃん、こういうのは日々の経験が最も大事なの。
敵を倒せるような物凄い能力があるから必ず勝つわけでもないの。
適材適所・・・だよ?」
ア 「はーい・・・・・。」
岱 「ま、でしゃばって余計な足を引っ張り兼ねないから、
しばらくはおとなしくしてろ。そもそもオマエは正規の社員でもなんでもない。」
ア 「・・・・・。」
岱 「自分の望む力と、己の力量の度合いの差も解らん奴は
ただの無謀であり、信念とは似て非なるものだ。」
やっと力に成れると思ってた事を根っこからヘシ折られたアイだった。
真 「ところで・・・・・何が目的なの?」
岱 「何がだ・・・。」
真 「私にはロイヤルを追ってるだけとは思えないんだけど?」
岱 「・・・・・。」
真 「だいたい、しばらく会社を何の連絡も無しに空けてて・・・・・まったく・・・・・。」
岱 「まぁ、そんな夜もある。」
真 「で、いったい何処に行ってたの!?」
なぜかやたらに怒っている感じの真菜だった。
岱 「元々は仕事など表向き。
腐った信念の宿る馬鹿を潰すためのものでもある。」
真 「それは解ってるけど・・・。
なんでしょう・・・・・この『違和感』は・・・・・。
もの凄く胸騒ぎがする・・・・・。」
岱 「知らんな・・・・・世界の終焉でも来るんじゃないのか?」
一方、みちる&美奈。
美 「で、その『ロイヤル』ってケーキおいしいの?」
み 「だ、だから違うってば・・・。」
美 「隠さなくてもいいじゃん。ほらほら、イカヤキ1本あげるから。」
いったい何本買ってるのだろう?
美 「なんか、色々あるねー、世の中。」
袋から出したイカヤキを頬張りつつふと眼をやる。
雑貨屋だろうか、外に置いてある商品を
万引きしようとしてる少年がいた。
み 「あ。」
美 「10割引はよくないね・・・・・・。」
つかつかと立ち寄る美奈。
美 「そーゆーのよくないと思う。」
男 「なんだおまえ・・・関係ねぇだろ?」
美 「だから、そーゆーのよくないと思う。」
なんと白昼堂々とナイフを取り出す少年。
美 「!!んまっ!!」
だが、次の瞬間にみちるの蹴りがナイフを叩き落すと同時に
もう一撃クビに決まってた。
美 「店員のおじさーん。こいつ、マンビキーナ。」
み 「マ、マンビキーナ・・・?」
店 「ま、またコイツらか・・・・・。」
美 「あと、ナイフで襲って来たんで、警察にお叱り受けてもらってね。」
たんたんと、当たり前のように対処する美奈。
さらに行く道で、みちるは問う。
み 「ね、ねぇ、なんか当たり前のな出来事に見えるんだけど・・・。」
美 「んー、アタシの可愛さを妬んだ人が多々襲ってくるからねぇ。」
み 「なんだろう・・・あんなナイフで襲ってくる事も・・・
どうして、『ありえる現実』になっちゃったんだろね・・・この世の中。
そんなに他人を傷つけてまで、自分のつまんない願望達成したいのかな?」
美 「そうだねぇ。なんだか物騒になっちゃったよね。
『能力者』なんて居なくても、充分物騒。
アタシはおいしいもの食べてるだけで、幸せイッパイなのに。
たったそんなけの事も、すっごく難しい事に思えてくる・・・。」
通りかかった場所のTVが、様々なニュースを映し出す。
美 「え?『イカヤキ産地偽装』!? って、別にイカだったらどこでもいいけどね。」
み 「でも、最近商品偽装とか色々だし、有害なものが普通に使われてたり、
食品の世界も物騒だよ?」
美 「そうだね・・・。もしかしたら、イカヤキの屋台は世界から消えるのかもしれない・・・。」
ふと、勝手に美奈の脳内で全てが繋がった。
美 「そうか!!ロイヤルってケーキ屋さんが、何かの偽装をして、
この名探偵お美奈の出番って事か!?」
み (うわあ・・・ぶっとんでるなあ・・・・・。)
ロイヤルの残党探しだと伝えた方がいいのか悩むみちる。
み 「うーん。」
美 「んん?あ、しまったも゛ーーっ。今日、注文してたボード取りに行くんだった・・・・・。」
み 「・・・・・。」
美 「ん?」
み 「美奈さんって・・・・・イライラしてると・・・・・自分以外どうでもよくなっちゃう性格?(笑)」
美 「うそーん。菩薩のお美奈として有名だよぅ?」
み 「いやぁ、私がそうだから。(笑)」
と、ミナの携帯が鳴る。
着メロは、『法螺貝』
美 「はいはい美奈でつよ?美奈でつよ?
あら、スワンさん?え?さっきはイカヤキをですね・・・・・。
えー・・・。だって食べたかったんだもん。
えーー。もーどーるのー!? はぁーーーーい。」
ブツブツ言いながら携帯を切る。
美 「あ、みちるちゃん、アタシね。」
み 「あ、うん。なんとなく解ったから。」
美 「アタシ位強いと頼られちゃうから、美奈困っちゃう♪
じゃーねーーーーーー!!」
ボードを翻し、空へと消えて行った。
み 「うわぁ、人に見られてるとか関係無いのかな・・・・・。(汗)」
EVER SNOW
スワンに呼び出されたミナが着いたのはカラオケボックス。
中に居たのは、スワン、マドカ、ルナ、拳である。
拳 「なるほどね・・・・・。裏人格も別の能力者って事か・・・・・。」
ルナのその能力を感じ取る事ができるようである。
ル 「ご・・・ごめんなさい・・・。」
拳 「なるほど・・・月の光が人体に影響を及ぼすのか・・・・・?」
ス 「どういう事?」
拳 「月の光をなんらか人体に影響を与える光に変えてしまう能力・・・・・といえばいいか?
『呼び覚ます月の眼』(ムーンシャインアイズ)」
美 「ムーンシャインダンス・・・・・?(違)」
拳 「しかも・・・発動は無差別だな・・・・・。
もしかしたら、これが能力者の増えていく原因なのかもしれない。」
ル 「ご・・・ごめんなさい・・・。」
そうなると、DCの狙いは簡単だった。
『能力者を増やしたい』か、『欲しい能力がある』になる。
ミ 「でも夜だけじゃん?????」
拳 「確かに・・・だが、そうだとしても組織としては欲しい能力者だな・・・。」
ス 「これからずっと狙われるのかしら・・・。」
拳 「まぁ、DCの手口から言えばそうなるな。」
マ 「でも・・・どうして誰も気付かないルナさんの能力をDCは知ったのかしら・・・・・?」
拳 「それを探る能力者が居るって事か・・・・・・。」
結局、どこもかしこも想像の範疇だけなのである。
全ては事が動くのをただ待ち続けるだけであった。
続く。
ミ 「久々の更新ですねぇ。」
ス 「そうねぇ。」
マ 「良いことですねぇ。」
ル 「・・・。」
ミ 「んん?」
ル 「あ・・・なんかテンポ悪くてごめんなさい・・・・・。」
ミ 「あ・・・うん・・・・うん・・・。」
マ 「今、なんかやりにくいな〜とか思ったでしょ?」
ル 「ごめんなさい・・・・・。」
ミ 「ち、違うよっ。な、慣れれば大丈夫だって!!
ほら、コレ読んで読んで。」
『週刊CHANGE ∀ MIND 第17号』
ミ 「ほ〜ら、今週号は『熱き漢、鉄漢音鉄也』特集だよ?
みてみて、世界の戦車の図解・・・・・・。
っていらんがな!!」
ル 「くすくすくす。」
ス 「うわぁ・・・なんか全然意味解んない・・・・・。」
マ 「ティガー戦車・・・?」