CHANGE ∀ MIND

第86話
「見えぬ行方」








             脳噛商会

              路地裏だろうか、とある建物の裏側である。



真  「あらら・・・派手にやったわね・・・。」

岱  「フン、私は筋を通さない凡愚には容赦はせん。」

真  「ま、自業自得かな・・・・・。そうそう、内部情報は解ったわ。」


              足元に人が倒れている。

              だが、お構い無しに話を進める二人。


岱  「待て、真菜。コイツ・・・・・まだ聞いているな。」


              足元の男に蹴りを下す。

岱  「貴様の能力も二度と使えまい。
      そう、『貴様じゃ何もできない』、そのまま崩れた社会の歯車として死ね。
      我々に謀(はかりごと)をして、これからも努々と暮らしていけると思うなよ・・・・・。」


              どうやら脳噛商会の障害となった者達である。

              容赦なく能力と微々たる念を引き剥がした。


真  「ごめんね、本当なら治療したいんだけど・・・・・。
      今回の件、私も頭にきてるから♪」




              そして二人はそこを後にする。



岱  「なるほど・・・・・。表は我々に正しい取引と思わせておいて、
      裏で手を廻していたか・・・・・。」
真  「そうね、私たちの小さな会社なんて、ナメられて当然かもだけど。」



              後ろからみちるが走る。



み  「ちょっと〜待ってよ〜〜〜〜〜。」

岱  「ご苦労だったな。」

み  「えっへっへ☆ この働きはボーナスもんだよね?(笑)」
岱  「そういう話は秘書に聞くんだな。」

真  「そうねぇ・・・。イカヤキ30本でどう?」
み  「げ・・・現物支給ですか!?」
岱  「だ、そうだ。」


み  「でもさ、顧客としてスパイしてきたんだけど、意外にバレないものね。
       あいつら、私の顔も知ってるはずなのに。」





岱  「簡単な事だ。結局奴等は取引自体と、その得れるモノしか見ていなく、
       また、顧客の顔などどうでもいいと言うわけだ。」
真  「そうね、自分の利益だけ重視してればね。」


岱  「少しはこれで世の厳しさを知ればいいがな・・・・・。」
真  「あとは・・・・・脳噛商会の恐ろしさもね。(笑)」

み  「で、でも、パンチとかキックとか必要だったの?(汗)」
真  「あれは・・・・・領収書みたいなもの?(笑)」





















岱  「ただ、私を怒らせた・・・・・それだけだ。」





             闇の取引の実態を知り、元々依頼され調べ上げてたルートがかなり出てくる。


真  「ねぇ、コレって、警察にでも売れるんじゃない?(笑)」
岱  「喉から手が出るほど欲しいだろうな。」



み  「こ・・・・・この人達・・・・・・。」















             警視庁

              ファーストフード乱射事件の犯人の取調べが終わった。

鉄  「クソッ、デザートカンパニーの人間だと解っているが、完全な証拠は無い・・・・・。」
蛙  「ま、そういうのも計算のうちなんだろうな。
       しかし、こんな事をしても首を絞めるだけで、なんの特にもなってないと思うが・・・。」
鉄  「確かにな・・・。」

蛙  「だとしたら、単騎での暴走か・・・・・。」



凛  「なんとなく・・・・・悪には悪ですけど、様筬はもっと従える人間だと思います。」


              話を聞いていた凛華が口を挟む。

蛙  「ま、確かに・・・・・。昔からそういう所はあったけど・・・・・。
       なぜ・・・・・変わってしまったんだ・・・・・。様筬警視。」




              鉄也はどこかに電話をかけていた。












             脳噛商会

              岱の携帯が鳴る。

岱  「・・・・・。国家か・・・・・。」

み  「???」
真  「ああ、警察の方よ。」

み  「ついに捕まるのか・・・・・。」
真  「こらこら(笑)、ま、いつそうなってもおかしくないけどね。」



岱  「どうした?国家。」
鉄  『国家・・・て。昨日の事件の犯人をDCだと断定できる証拠無いか?』

岱  「どうしてオマエはいつも、そうストレートなんだ?」
鉄  『その方が早いだろう。YESか、NOか、すぐ解る。ハッハッハッハッハ。』

岱  「フン、私に借りを作ると後悔するぞ。」
鉄  『いやぁ、最近謎の傷害事件が起きてるんだがな・・・・・。
       フッフッフッフッフ。』


              無論、さっきのような事である。
              脳噛商会の動きは把握されているという事である。


岱  「・・・・・。馬籐はただの鉄砲玉みたいなモノだろう。
        様筬が片腕に置くには頭が悪すぎる。」
鉄  『まぁ、拙者も単独の暴挙だとは思っているが、DCしょっ引くには厳しいな。』
岱  「そこまで馬鹿では無いだろう。
        私はそれより『ロイヤル』の情報が知りたいがな。」

鉄  『あと3人と、総間博士の行方は・・・・・まだ捜査中だが、
        外国に逃げられていたら探すのは厳しいな・・・・・。』
岱  「そうだな、エースの能力もあるしな。」


              そして、電話のはずが鉄也は声を小さくした。



鉄  『あと主の所のお嬢ちゃんな。』
岱  「3人ほど居るが・・・。』

鉄  『あの異国の戦士な。綾小路が言っていたが、
        あの能力はまだ荒削りで危険性を伴うらしい。
        まぁ、別の意味でも危険に成りかねない・・・・・。』
岱  「実際目の当たりにはしてないが・・・・・。
        一応、『眼』で見えるが・・・・・。」

鉄  『ま、一応忠告だ。』
岱  「解った。」





              電話を切った直後、再び電話が鳴る。


真  「あらあら、お忙しいのね。」


              だが、着信表示された名前を見た岱の表情は微妙である。
岱  「白奈・・・・・。」


み  「あ、元カノさんだ。」






岱  「私だ。どうした?」
白  『デザートカンパニーって前に話してたよね?』

岱  「DCがどうかしたのか!?」
白  『時々・・・狙われてる。多分、『瑠那』の能力を。」

 
              『瑠那(ルナ)』は、沙夜の裏人格である。(裏16・17参照)

岱  「お前ら4人なら、特に問題も無かろう?」
白  『違うの・・・ずっと『瑠那』のままなの・・・・・。戻らないの。』
岱  「!?」



              瑠那は何か秘めた能力を持っている。
              白奈は『月』が関係していると思っているが、
              DCが『ES全員』ではなく、明らかに『瑠那』を狙っているのである。


岱  「まぁ、キャーキャーうるさい方に護衛でもさせておけ。」
白  『それがミナも居なくなったし・・・・・。マドカちゃんも・・・・・。』

岱  「悪いが私も忙しいんでな・・・。どうしてもヤバイ時は呼べ。」


              すぐに電話を切った。



み  「あっれー。女性に冷たいなんて珍しい事もあるのね。」
真  「色々あったのよ、きっと。」

              なぜかちょっと楽しそうな真菜。




              頭上からブツブツと声が聞こえる。





岱  「!!」
真  「誰!?」

み  「あ。えばすのっ!!」


              空に浮くスノボー。
              上に乗ってるのは、イカヤキを食べる娘。
              雪眞美奈。


美  「あのー。誰が『キャーキャーうるさい方』ですか?
       アタシですか!?アタシですか!?アタシですぁ!?」
み  「3回言った。」


岱  「なぜ、オマエがココにいる。」
美  「最近さ、着けられてるじゃんね? ルナだけじゃなくて。
       まぁね、アタシの可愛さなら仕方ない宿命みたいなもんなんだけどね?(笑)」
岱  「そうか。じゃあ仕方ないな頑張れよ。」


美  「ええええええええええええええええええええええええ!!」


岱  「いちいち五月蝿い女だな・・・・・。」

美  「でね。スワンちんに言ったら、脳噛社長に言えって言うから、
       ホントに来た。」
岱  「あの野郎・・・・・。
        悪いがこっちも忙しいんでな。」

真  「そうね・・・『ロイヤル』探さないといけないし・・・。」


              スケジュール手帳を確認しながら真菜は溜息を付く。



美  「『ロイヤル』!? なになに!?
        なんか、おいしそうなケーキ売ってそうなお店だね。」


岱  「ああ・・・五月蝿い・・・。みちる、適当に相手して適当に棄てておけ。」
み  「・・・・・(汗) じゃ、私が護衛します。」

美  「はれ・・・・・?ケーキ・・・・・。」




              みちるを残し、岱と真菜は早々と事務所に戻る。






              脳噛商会事務所

真  「あら?鍵開いてる。アイちゃんかしら? ただいま〜♪」


ア  「あ!」


              今まさに、プリンを頬張ろうとしてる瞬間であった。

真  「・・・・・。」
ア  「あ・・・・・いや・・・・・これは・・・・・賞味期限が・・・・・。」
真  「そのプリンの賞味期限は来週の水曜!!
       もう1個奥の大きい方は、来週の木曜!!」
ア  「憶えてるし・・・・・。」

岱  「たかがプリンでそう怒る事でもないだろう・・・・・。」




真  「岱、アナタのヤキソバパンも食べられてるわよ?」
ア  「(滝汗)」

岱  「アイ・・・・・。今月の給料は無しだ。」

ア  「ええええええええええええええ!?
        そしたら、またプリン盗んじゃうよぅ?」


真  「刺しますよ?

ア  「ひいいいいいいいいいいいいいいい!!眼が笑ってない・・・・・。」







              結局仕事をこなしていく上でも、
              ロイヤルの情報を得る事は全く無かった。

              DCの動向も気になる分、やる事が多すぎる脳噛商会だった。







真  「誰か、雇った方がいいのかしら・・・・・。」








               続く。

































おまけ。



マ  「ほんと、バイトが少ないと大変ね。(ダミ声)」
風  「そうですね、せめて発注できるバイト増やさないと・・・。」

マ  「心ちゃんが退院しないと、梓ちゃん一人になるし・・・。(ダミ声)」


             どうやらコンビニ『シャンパーニ』に廻っていたママと風月。


マ  「今日は何か変わった事無かった?」


萌  「ママが居ないとお客の入りに影響でちゃうんじゃない?」
マ  「大丈夫よ、萌ちゃんみたいなキレイどころの方がいいわよ。」


苺  「あ、そういえば今日のお客さん、『元・警視』だって〜♪」

マ  「へぇ〜、それはスゴイ大物ですわね。(ダミ声)」





















風  「え・・・・・?(汗)


             その辺りの情報を知っているのは風月だけである。

             それとも、元警視は様筬以外に居るのだろうか・・・。

             単純に変装して、やってきたのだろうか・・・・・?

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