CHANGE ∀ MIND
第83話
「産まれた過去の混沌」
街の裏道
男を引きずっていく様筬。
怒りを抑えきれず、散々に蹴りを入れる獅王。
様 「まぁ、そう焦るな。」
と、携帯が鳴る。
様 『なんだ?』
少し深刻な顔をしている。
様 『燈篭環はどうした?・・・・・・そうか。
フン、ならば私の直属の部下を差し向ければ済む。
とりあえず見張りは続けていろ・・・・・。』
電話を切り獅王に問う。
様 「どうだ獅王、このまま私の直属の部下にならんか?」
獅 「俺が断わると思いますか?」
様 「ん?しつこい奴がついてきてるな・・・・・。」
後ろを向く様筬。
獅 「後ろ・・・・・?」
見ると凛華が着いてきている。
凛 「アナタを人殺しにはさせません。」
様 「まだ言うか?
コレはゴミだ。
このゴミを誰かが拾うのか?」
凛 「その人が居なくなって悲しむ人がいるかもしれません!!」
獅 「居る事で悲しむ人間のが多いだろうがな。」
さらに・・・タイミングの悪い事件が起こる・・・・・。
未 「お兄ちゃ・・・・・!!」
男 「!!」
獅 「ミコ!!」
なぜか未子が獅王を見つけ、こっちにやってきたのである。
未子もまた、一瞬で誰かを理解した。
また逆にこの状況が全てを語っている。
未 「ああ・・・・・。
いや・・・・・。
いやああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
未子の中に、過去の『地獄』が蘇る。
その場に頭を抱え座り込む。
獅 「この野郎・・・・・!!」
獅王はその能力で男を切り裂く!!
獅 「1秒でも早く・・・・・・!!
この世から消す!!」
凛 「あ・・・・だめです!!」
獅王を止めようとする凛華。
獅 「てめぇ!!ミコのあの怯えようを見たのか?
コイツが俺たち兄妹にどれだけの事をしたのか!!
てめぇに何が解る!!」
凛 「それでも・・・・・殺してはダメです・・・・・。」
様筬は未子のもとへ行き、何かを小声で話している。
未 「いやあああああああああああああああああああああ!!」
未子が何か不思議な感覚に包まれる。
様 「それでいい・・・・・。怒れ・・・憎め・・・。
憎悪で人間は進化する・・・・・。」
凛 「ダメ!!間違ってる!!それでも・・・間違ってる!!」
様 「まだ言うか。
世の中、クズが多すぎる。」
逃げようとする男を掴み、ヒザで蹴りを入れる。
様 「必要無い・・・理想へと近づくには・・・・・。
ゴミは必要無い。」
容赦なく蹴りを入れ続ける。
男 「や・・・・やめてく・・・・・れ!!」
様 「ほぅ、オマエはあの兄妹がそう懇願した時にどうした?」
男 「!!」
地面に蹴り転がし、さらに踏みつける。
様 「勝手なものだな・・・・・。」
凛 「あなた方と何が違うのですか?
結局自分の道のために・・・・・。」
様 「馬鹿を言え。
私がいつ、個人のためにやった?」
凛 「自分の会社の利益のために、他の会社を潰したり・・・・・。」
様 「なんだ?細部までロクに調べずに語るか?
私が堕とした会社は全て、詐欺行為を行うクズ会社ばかりだ。
貴様等が役に立たんから、私が替わって罰を下したまでだ。」
凛 「アナタに・・・・・そんな権限が・・・・・。」
様 「権限のあるものが無能だからだ。」
さらに蹴りを入れる。
様 「どこぞの漫画でもあっただろう?新世界の神と。
大いなる力を持つものにこそ、真の権限はある。」
凛 「何を・・・・・そんな・・・・・。」
ついには凛華に蹴りが入る。
様 「貴様には解らんのさ・・・・・。
実際に被害にあった者の叫びがな!!」
獅 「お前らが無能なせいで、様筬さんの・・・・・。」
様 「獅王!!」
獅王の叫びを途中で止める様筬。
指で『ヤレ』と合図する。
倒れる男に爪を喰いこませる獅王。
男 「うわああああああああああああああ!!
助けてくれ!!助けてくれ!!」
獅 「ミコがそう泣いた時、オマエはさらに殴ったよな!?」
獅王の足に生えた爪が男の肉をえぐりとった。
未 「あああああああ・・・・・。
いやだいやだ・・・・・こないで・・・・・。
消えて・・・・・。
いや・・・・・だめ・・・・・それは・・・・・。」
混乱する未子。
様 (・・・・・? 憎悪とそれを抑制する心がぶつかっているのか・・・・・?)
男の肩を獅王の爪が貫いた。
男 「うわああああああああああああああああ!!」
獅 「てめぇさえ居なければ・・・・・ミコもあんなに苦しむ事はなかった・・・・・。
死をもって償え!!」
トドメを刺そうとする獅王の手を、
手錠の影がその動きを止めた。
凛 「ダメなんです・・・・・それでも・・・・・。」
獅 「まだ邪魔をするか!!」
獅王の足元に、標識が刺さった。
『進入禁止』である。
そう、蛙岩法人の能力。
『入り交じる道標』(ルール・オブ・スクランブル)である。
その標識より先に獅王は踏み込めない。
凛 「警部!!」
蛙 「國玲・・・・・!!大丈夫か!?」
廻りを見渡す。
DC幹部様筬。
能力者を食い止めてる凛華。
獅 「俺の恨みの邪魔をするんじゃねぇ!!」
纏う影を振り払おうとする獅王。
凛 「う・・・・・私の影より力が強い・・・・・。」
すぐに新しい標識が男の傍に立てられた。
蛙 「『安全地帯』・・・・・。」
男の周囲にあらゆる攻撃が不可能になった。
蛙 「こんな所で会うとはな・・・・・。」
様 「久しいな、蛙岩・・・・・警部だったかな?
やたら事件に首を突っ込む探偵気取りの小僧が
くだらん組織の上へのぼり、何を願う?」
蛙 「少なくとも・・・・・あの頃のアナタを俺は尊敬してましたけどね?
元・警視であるアナタをね。」
凛 「え・・・・・。」
10年前・・・。
高校生ながらに捜査に首を突っ込みたがる蛙岩がいた。
ダメだとは言いながらも、たまにその思考を借りていたのが
当時の警視様筬だった。
突然警察を辞め、とある伝でデザートカンパニーへと誘われ、
その数ヶ月後に、獅王達と会う事になる。
(注:裏02話で『某企業』と書いたのは都合上。)
様 「お前ほどの頭を持ってしても、この腐った国はどうにもならんと
解らないのか・・・・・?」
蛙 「確かに目を覆うほどの犯罪者が存在はする。
だが、だからといって片っ端から排除しようというアナタの『正義』が俺には解らない。」
様 「まぁ・・・ここで話していても仕方ない。」
動けない獅王をまだ怒りに震えている。
様 「獅王・・・・・。未子を。」
獅 「あ、ああ・・・・・。」
様 「フン・・・・・。その男は貴様に預けておくか・・・・・。
おい、そこのヌルイ婦警。離せ。」
凛 「・・・・・。」
獅王を解放する。
能力を解除して未子の元へと走る獅王。
凛 「警部、傷害致・・・・・。」
蛙 「いや・・・ここは撤退する。」
凛 「警部!!」
蛙 「キミと俺とじゃ・・・・・殺される。」
様 「フン、どうやら私の能力を全部知っているようだな。」
蛙 「やたらDCが手広くやりだした、最近を考えればな・・・・・。
今日は被害者の保護ということで撤退する・・・・・。
だが、必ず証明する・・・・・。アナタが間違っていると。」
様 「フン、貴様等の言うヌルイ世界がどれだけのものか、
自分等の肌で感じるが良い。」
そのままゆっくりと立ち去る様筬であった。
一度だけ男の方を振り向いた・・・・・。
様 「鏡美・・・・・。」
誰かの女性の名を呟いただけで、立ち去った・・・・・。
続く。
おまけ。
マ 「もう、やだわ。一時停止違反で切符きられたわ。(ダミ声)」
苺 「あ、もしかしてあの場所?」
マ 「そうそう、隠れて見張ってる所。(ダミ声)」
萌 「隠れてるっていうのがなんかいやらしいよね?」
火 「いっちょシバくか?」
苺 「いやいやいやいやいやいやいや。」
マ 「しかも、『この免許書はオマエのじゃないだろう?』って
全然信じてくれないのよ?(ダミ声)」
全員(うわ・・・・・見たいな・・・・・ソレ。)