CHANGE ∀ MIND
第76話
「公演前の予感」
KING『日本公演』
このイベントはマスコミでも大々的に取り上げられた。
なにせ、そのチケットはまず入手不可能な位の競争率であった。
音楽に携わる人々からは『神』と崇められた男である。
もちろん、EVER SNOWメンバーも例外ではない。
ス 「KING公演行きたかった・・・・・。」
サ 「ですね・・・・・。」
ミ 「KINGの音楽はもう芸術だよね。」
サ 「奮える魂が伝わります・・・。」
ミ 「本当のアーティストっていうか、芸術家。」
マ 「それにくらべ、心の無い自称アーティストが多いね。」
サ 「ええ、技術はあるのに心が伴わない・・・・・。」
ミ 「アタシたちは、技術は無いけど、魂はあるもんね!!」
ス 「そうね。それだけは・・・・・負けない。」
サ 「うん、私も心だけは。」
チケット無いけど公演ドーム近くまで来てる4人。
理由は、外でも音が聴こえるかもしれないというミナの意見を。(笑)
ミ 「うぉー。でっけー。アタシもこんなとこで歌ってみたいね。」
サ 「う〜ん、緊張で何もできないかも。(汗)」
ス 「集中するとね、人の前って事が気にならなくなるの。」
マ 「そういうものですか・・・・・?(汗)」
せっかくなので食事にしようと。
夜から公演のドームはまだ客こそ入って無いが、
なにかしらの緊張を漂わせていた。
「あ、EVER SNOWさんだ。」
どこからともなく女性の声が。
サングラスをかけた帽子の女の子。
顔は良く見えない。
ミ 「にょ?」
サ 「あ・・・。月音さんだ!!」
マ 「えーっと。」
ス 「あ!!」
そうESがメガ☆ラバのイベントで歌った時に司会をしてたアイドル
流駒 月音(りゅうく・つくね)である。
月 「やっぱKING見に来ました?ですよねですよね!!」
ちょっと興奮の月音。
サ 「私たち、チケット取れなかったから・・・・・。」
月 「え・・・?マジで!?」
ス 「それでも、KINGの来るこの場所に来たかったの。」
月 「ちょっと待ってね。」
携帯を取り出す月音。
月 『あ、社長さん。あのね〜。』
何やら社長とやらと話をしている月音。
そして、わずか3分後。
月 「OK〜。4人共、着いて来て。」
なんだか解らず、4人はドームの裏の関係者入り口へ廻される。
凄まじいほどの厳重な警備。
パスを見せる月音。
月 「あ、警備長さんに話言ってるかしら?」
警 「えーっと、あ、ハイ。社長から聞いております。」
そう言われ、4人はその後驚く。
警 「どうぞ。」
ス 「えっ!?」
サ 「ええっ!?」
マ 「えええっ!?」
ミ 「にょ?」
月 「今回のこの公演、プロデュースしてるのウチのプロダクションなの。」
ス 「え、でもでもでも。」
月 「いいのいいの。こんなコネ、なかなか無いわよ?(笑)」
ミ 「行からいでか!!」
サ 「行っちゃえ行っちゃえ!!(笑)」
ただ、観客席ではなく、スタッフと同じ場所から特別にということになった。
月 「ごめんね、さすがに当日だとここまでしか。」
ス 「いえいえいえいえ。ありがとう!!」
サ 「逆にココの方がスゴイかもですぅ。」
ミ 「なんか、もうドキドキしてきた。(笑)」
マ 「月音さん、本当にありがとう!!」
イメージでは昼にはリハーサルとかやるのかと思ったが
さすがにそういうわけではなかった。
まだ客の居ないドームを見渡す。
ミ 「すっげー!!」
ス 「こうやってこっちから見るとすごいわね。」
サ 「でも・・・ここでピアノとか弾いてみたいかも。」
マ 「メジャーな人たちって、こんなとこでやるんですよね・・・・・。」
ふと・・・何かの違和感を感じた。
このドームに。
ス 「なんだろう・・・・・。」
サ 「何か・・・・・邪魔をするような・・・・・。」
ミ 「え?」
マ 「なんでしょう?」
ス 「サヤちゃん、『オーパス1 静かなる部屋』で、どこまでいける?」
サ 「この広さだったら・・・・・高さが・・・・。」
ス 「天井を基準にしたら、真ん中辺りまでいける?」
サ 「ええ・・・・・なんとか。」
ス 「皆、聞いて。怪しい何かが天井に潜んでる・・・・・。」
マ 「え?」
ス 「多分、公演を邪魔させようとかそんな感じ。」
ミ 「マジで!?」
ス 「サヤちゃんの『オーパス1』の部屋で、このドームの上半分を覆う。
その中なら、誰にも気付かれずに行動できるわ。」
マ 「こ、こんなとこでバトルですか!?」
ス 「とにかく、調べないと。
公演が始まるまでに・・・・・。」
サヤは集中し、『オーパス1 静かなる部屋』でドームの上半分を覆った。
これで外からの干渉は一切受けない。
そして、中に居る『敵』にも気付かれてしまうのである。
4人は、その事実上の『空中』で戦う事になる。
マ 「わわわ・・・。床が透明だから・・・怖いですね・・・。」
ス 「ちょっとね・・・・・。」
サ 「解除するわけに行かないので、こっそり集中しておきます・・・。」
ミ 「今ちょっと怖い事言った・・・。(汗)」
「へぇ・・・能力者が居たのか・・・・・。」
男の声が響く。
ス 「何をするつもりか知らないけど、出てきなさいよ!!」
スルスルと糸を使って、何かが降りてくる。
原田椎座(はらだ・しいざ)
能力名『摩天楼を汚す虫』(スカイハイ・バグ)
虫の能力を持つ。
どうやら公演で盗みを働くつもりだったようである。
観客の金品や、公演のお宝などであろう。
椎 「見つかったからには、タダじゃ済まさないぜ?」
その頃の萌。
ちょうど、同じ頃にドームの前に来ていた。
萌 「うーん、いくらなんでも早く来すぎたかな・・・・・。
ん?あの車は・・・・・。」
どこかで見覚えのある車が関係者門から入っていく。
萌 「あれ?」
チケットをもう一度確認してみる。
萌 「え!?これ、パパの会社主催・・・・・。」
萌の父親は、拝神プロダクション社長であり、
KINGの今回の日本公演のスポンサーであった。
萌 「そんなぁ・・・。パパに頼んだら手に入ったのか・・・・・。」
とりあえず、入ろうと。
こういう時のために、社長の娘である証明書が役に立つのである。
父親を追って中に入る萌。
萌 「ん・・・?よく解んないなあ・・・結構広いのね・・・・・。」
迷子になる萌であった。
続く。
おまけ。
蛙 「ああ、また再び発行するようになったんだ。」
鉄 「うむ、さっそく週刊CHANGE ∀ MIND 第12号を買った。
今回は國玲の特集号だったから、USAにも送っておいた。」
蛙 「そうか。しかし、いつになったら戻ってくるんだろうな?」
玄 「へぇ、これが噂の週刊CHANGE ∀ MINDか。
あ、國玲さんの特集じゃん?」
凛 「あわわわ・・・・・。な、なんか恥ずかしいです。」
玄 「おまけの冊子ついてるね。」
凛 「うわあああああああああああああああああああ!!
なんで私の描いた漫画が付録に!?」