CHANGE ∀ MIND

第74話
「右と左に華開く」









            整体『灰になれ』

            脳噛商会の上の上の3階にある怪しい整体。

            整体が必要な人間を階段で歩かせる過酷な場所ではあるが、
            それすらもリハビリであると燃衛門は言う。



            屋上では、修行に燃える、みちると心。



み  「ハイトップギア(5)!!ファイナルストライク!!

            『気』を集中する事で、両手に気攻のような物を発動させる。

            みちるの究極奥義である。





心  「三十五式!!「七五三縦横」(しちごさんじゅうおう)」


            人形を斬り付ける心。

            首を7回、胴を5回、足を3回・・・・・・・・。



燃  「まだまだ、遅いのう。
      高速で叩き込まねば、結局ただの連続攻撃に終わる。
      その技は振り払ったその勢いも斬撃に乗せて次に転じる技じゃろ?」

心  「はい!先生!!」





    「おじーーーちゃーーーーん♪」


燃  「また・・・邪魔ものが来おった・・・・・。」




み  「あれ?萌さんじゃないですかーーっ!!」

萌  「あれ?あ、そっか・・・そういえば1階に、脳噛商会って・・・・・。
      全然気が付かなかった・・・・・。」




             燃衛門の孫は、拝神萌だった。

             父方の祖父がこの「拝神 燃衛門」である。



み  「なんとなく、ネーミングに違和感がなくなった・・・・・。」
萌  「あっはっはっは♪ で、何してるの?」

燃  「それはこっちが聞きたいわい。何しに来たんじゃ?」

萌  「使わなくなった『石』ないの〜〜〜?」

燃  「まさか・・・維持費がかかるから貰いに来たと・・・・・?」
萌  「そ♪

燃  「ばっかもん!!修行が足りず、いちいち『石』をたくさん消費するからじゃろ!
      もっと小さな欠片で力を引き出す努力をせんか!!」

萌  「仕事が忙しいもーん♪」



み  「そういえば・・・燃爺の能力・・・・・知らないな。」


燃  「ワシは能力に頼らずとも、強いからのぅ。フォフォフォフォ。」

萌  「フォフォフォフォじゃないよ。」
心  「して、先生の能力は・・・・・!?」


萌  「女の子のふとももを凝視する能力よ!!」



み  「それって、『能力』じゃなく『趣味』ですよね・・・・・。(汗)」


燃  「ま、そこの馬鹿孫の能力の数倍は上じゃよ。」

萌  「んまま!!」





             能力は教えて貰えなかったが、似たような能力なのだろうか。
             同じ『石』の能力なのだろうか?

             一族は同じ系統の能力を引き継ぎやすいと言う事なのだろうか?

             だが、脳噛姉弟、轆轤親子は全く関係が無かったりする。





             岱は未だ、戻った事を事務所には伝えていない。

             ロイヤルを追って一人で行動しているのである。



             それでも途中で信念の無いと思われる能力者を排除したり
             何かの憎悪をぶつけている様子だった。







             いくつかの『石』を貰い萌は出勤する。

             その能力ゆえに、色々な宝石をはめ込める腕輪を持っている。


萌  「も〜、小さいのしかくれなかったなあ・・・・・。」






             酒場『ルイーダ』

             出勤したら、すでに客が来ていた。

             空散である。


空  「お、萌ちゃ〜〜〜ん♪」

萌  「あら、空散さんじゃないの〜。」

空  「空散さんですよ〜♪ 萌ちゃんのために来ましたよ。」

萌  「またまた〜♪」


苺  「ふーん。」


空  「って言えば、苺ちゃんもヤキモチ妬いてくれるかな?なんて。」
苺  「妬かないけどね。」

空  「あっはっはっはっは。」

風  「ほぅ。」


空  「!!」




ロ  「あいかわらずだねぇ、あの男も。(ダミ声)」

萌  「萌、喉が渇いたなぁ〜♪」

             と、上目遣い。

空  「いいよいいよ、なんでも呑んでよ。」
萌  「やった〜♪」


             ふと風月も気になる空散。
             一応言葉をかけてみる。


空  「あ、風月ちゃんもどうぞ。」

風  「ふむ・・・。」


萌  「萌・・・・・銘酒『誰恋』がいいナ♪」

空  「お、お目が高いね・・・・・。」



ロ  「じゃあ、ジャンケンで勝ったらにしましょ。(ダミ声)」

空  「よ〜し。」


風  「では、私も勝ったら好きな酒でも入れるか。」

空  「いいよいいよ。(汗)」




             萌と風月と、空散の対戦である。




萌  「私、グー出そうっと♪」

空  「お。そういう作戦か。」


風  「ふむ・・・。よし、私もグーで行こう。」

空  「ぬぬぬ。風月ちゃんもそう来たか・・・・・。」



             風月の中での計算が始まった。


風  (さて・・・。萌と同じグーとの宣言なわけだが・・・・・。
      萌の気持ちになって推理する・・・。
      一見単純に考えると、『グーを出す。』と言ったので勝とうと『パー』を出させ、
      それに勝つ『チョキ』を出す・・・となると『グー』を出そうとするわけで、『萌パーを出せば勝利』になる。

      萌の性格は悪く無いゆえに、そこまでだな・・・。
      いや、むしろ本当に『グー』を出す可能性もあるな・・・・・。

      となると、このオッサンは『チョキ』を出す確率はかなり少ないわけだ。

      さらに私も『グーを宣言。』

      さっきまでの過程で、『チョキでは無いと読まれる』とオッサンは考える・・・。


      すると私が『パーがグーを出す』可能性が高いと思うだろうな。

      だが、萌が『パー』か『グー』であるのも考慮してだな・・・。

      『パーを出せば、引き分けか勝ち』という答を私が導く事までは想像できるわけか・・・。


ロ  「風月ちゃん・・・なんかめっちゃ考えてない・・・?(ダミ声)」


風  (だが、裏の裏が表であるように、結局は堂々巡りなわけで
     根本は『三つ巴』・・・・・。 ん・・・?何か肝心な事を忘れてないか・・・・・?

     そうだ、この男は銭はある・・・。

     私はさておき、萌の気は引きたい・・・つまり萌には負けるはずだ・・・。
  
     さっきの考えなら・・・『チョキ』が濃厚か・・・・・?

     だが、萌の考える『パーを出せば勝てるぞ〜♪』を読んでいたなら、『グー』で来るのか・・・・・。


萌  「ふふふ♪ 行くわよ〜♪」


風  (おっと・・・・・また根本的な事を忘れていたな・・・・・。


空  「最初はグー♪ あ、ジャンケン!!」



萌  「ぽん♪」









             空散=チョキ。

             萌=グー。
             風月=グー。




萌  「やったぁ♪」

空  「あ〜、負けちゃったかぁ。しかも両方に。
      参ったな。(笑) あ、ママ、銘酒『誰恋』ボトル入れて〜。」

ロ  「はいはい。どうもありがとうですわよ。(ちょっと高いダミ声)」


             ボトルを入れ、開栓し注ぐ。



ロ  「風月ちゃん、結構考えてたわねぇ。
      でも勝ったじゃないの。」

風  「色々思考を張り巡らせたが、根本的な事を忘れていた。」
ロ  「根本的な事?(ダミ声)」


 
             と、萌が空散と乾杯している。


萌  「わ〜い♪ でも萌はグー出すって言ったのに、
     裏の裏の裏の裏とか考えて、チョキ出したんですか?」

空  「キミがグーを出すって言うから、ソレを信じただけさ。」









風  「な。」
ロ  「納得だわ。(ダミ声)」


萌  「でも、だったらパーじゃない?」

空  「この酒が・・・キミに呑まれたい・・・・・俺にはそう聞こえたのさ・・・。」





風  「うわ・・・。」
ロ  「おほほほほほほほほ。(ダミ笑)」



風  「ある意味さすがだわ。」


空  「中途半端に女を愛するなんて、俺の信念じゃないからな。(笑)」

風  「褒めていいのか・・・微妙だな。」





ロ  「アナタ!!(空散嫁声)」





空  「うひいいいいいいいいい!!すみません!すみません!!」

ロ  「あーっはっはっはっはっはっは。(ダミ大笑い)」

空  「あ!またママのモノマネか!?
      やめてくれよ・・・・・心臓に悪いぜ。」

風  「やれやれだわ・・・・・。」







             そしてその日の営業も終わって、帰り支度をする。



萌  「おつかれさま〜♪」

ロ  「お疲れ様。萌ちゃん、気をつけて帰るのよ。(ダミ声)」

萌  「はいはいな〜♪」




             結局、最初の一杯でベロンベロンに酔ったうえに、
             なぜか萌の一族は、林檎ジュースで酔うという不思議な一族。

             口直しのはずの林檎ジュースでさらに酔う。




萌  「秋〜のぉ月ぃ〜泡沫ぁ〜〜〜〜〜♪」



             燃衛門の職場で寝て行こうと思ったが、
             当然に閉店。

             鍵を持っているわけでも無い。


萌  「あれぇ〜。お爺ちゃんここに住んでるはずなのにぃ・・・・・。」




             どこかで呑んでいる燃衛門であった。


             しかたなく自宅に帰ろうとすると、階段でコケる萌。








み  「な、何事っ!?」


             その音に、外に出てきたのはみちる。


み  「うわああああ。萌さんじゃないですかっ!?大丈夫?」

萌  「もう・・・呑めません・・・・・。」





              酔ってる萌を、とりあえず中に。

              どこかケガは無いかは注意してみた。


み  「酒場の店員さんだったんだよね・・・・・。」




              脳噛事務所にはみちるだけが残って仕事をしていたのである。


み  「うわ、もう2時だぁ。」


              ふと、眠る萌を見て、メガラバでの事を思い出したりした。




み  「美人だ・・・・・。なにこの、なんかよくわかんない『敗北感』(笑)
      たしか、宝石を使うと雷とか出るんだっけ。」



              自分もその能力なら拳法もパワーアップするのか・・・?と。


み  「うーん。なんかかっこぃぃなあ。」








              そして、そのまま朝になるのだった。













              続く。








































おまけ。




風  「買うんじゃなかったな・・・・・。
      週刊CHANGE ∀ MIND 第11号」
ロ  「あら、どしたの?」


苺  「空散さん特集だ。」




空  「フフフ・・・・・。この充実たる中身。
     全国の女性達にあげたい・・・・・。」



苺  「え?どこの本屋からも無くなった!?」

風  「そんな馬鹿な・・・・・。」


空  「参ったね、世の中の女性は・・・・・見る目があったようだ。」











































ロ  「あ、なんだか有害図書指定になったらしく。
   全巻撤去だって。(ダミ声)



空  「ガビーン!!」

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