CHANGE ∀ MIND
第73話
「表裏」
総間研究所
紅緒の炎が渦巻く研究所内。
竜の身体が少しづつ燃える。
竜 「このガキ・・・・・。」
紅 「許さない・・・・・お姉様を・・・・・。
お姉様を!!」
炎の竜巻が完全に、竜の身を包む。
竜 「グアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
だが、燃え盛る人型のソレを見た紅緒の様子がおかしい。
紅 「!?パパ・・・・・・ママ・・・・・・!?」
そう、実は自分の能力で両親を焼き殺したのは紅緒自身である。
もちろん能力の暴走からである。
そしてそれを忘れたいと言う精神が、記憶障害を起こしていたのである。
紅 「いやあああああああああああああああ!!」
羽 「クレオ・・・・・。おちつ・・・いて・・・・・。」
炎が多少暴走はするが、火災自体は広がらない・・・・・。
段々火が消えかかっていく。
だが、竜が起き上がれる状態では無かった。
竜 「この・・・・・・ガキ・・・・・・。」
頭を抱え喚く紅緒。
「俺に任せておけ。」
羽 「脳噛・・・・・・零・・・・・。」
現れたのは零だった。
零は紅緒の頭を少し強引に掴み、目を合わせた。
零 「この件に関しての記憶を盗む。」
羽 「え・・・・・?」
『盗賊(ウァレフォル)』の能力で、今の燃える映像の記憶を消した。
零 「大丈夫か?」
紅 「あれ・・・・・。」
そして、立つのがやっとの竜が立ち上がった。
竜 「チッ・・・・・人形野郎が・・・・・。」
零 「ふざけるな・・・・・俺は生きている。」
竜 「裏人格だかなんだかしらねぇが、消えちまえばいいんだよ・・・・・。」
それが零の逆鱗に触れた。
あらゆる状況であれ、『自他問わず、裏人格の否定』
たとえ裏を持つ本人の言葉さえも許さない。
零 「貴様のような奴が居るから・・・・・。」
竜に近づく零。
零 「朽ち果てろ!!『病気(マルバス)』」
竜 「な・・・・なんだ・・・・・これは・・・・・・。」
何かの熱病にかかったような重病にされ、崩れ去る竜であった・・・・・。
そのまま起き上がることも無かった。
零 「おい、しっかりしろ!!」
羽 「クレオは・・・・・。」
自分の腹部がえぐられているのに、紅緒を心配している。
紅 「お姉様ぁ!!しんじゃイヤだよ!!」
羽 「何かの内臓切られたみたい・・・・・ね・・・・・。
ねぇ、この子を頼んだら・・・・・迷惑よね?」
紅 「お姉様!!イヤだよ!!もっと遊ぼうよ!!
また一緒にお買い物行こうよ!!」
羽 「また・・・? 紅緒・・・・・記憶が・・・・・。」
紅 「もっと一緒に遊んでよ・・・・・。お姉様!!」
零 「こんな厄介なガキ、頼まれても困るぜ?」
零は一瞬だけ、何かを考えた。
零 「おい、『俺』はココでお別れだ・・・・・。」
羽 「え・・・・・?」
零 「少しだけだったが、充実はあったかもな・・・・・。
目的は、果たせないが・・・・・・。
あとは・・・・・頼んだぜ・・・・・。もう1人の『俺』」
零の意識が一瞬途切れた・・・・・・。
岱 「クッ・・・・・・頭痛が・・・・・。」
戻って来た脳噛岱の人格であった。
とりあえず記憶の共有が施されていたために、
今自分の置かれている状況と、成すべき事が解っている。
岱 「『太陽』のスート!!『偽りの生命』(フェイク・ライビング)!!」
カードから現れた不思議な物体が、羽虎の体内に入る。
羽 「ちょっと・・・・・な・・・なにを!?」
岱 「少しの時間だが、身体の部品の代理になる。
この間に治療を受けろ・・・・・。」
岱は倒れているコートニー・竜を見た。
そして携帯を取り出し、誰かにかけた。
すぐに、奥へと向かったが、
JOKER、エースの姿は無かった。
もちろん・・・・・総間博士も居なかった・・・・・。
岱 「遅かったか・・・・・。」
さっきの電話でやってきたのは、鉄也と蛙岩だった。
鉄 「よう、社長。」
岱 「事情はさっき軽く話した・・・・・・ん?」
鉄 「ああ、こちらがウチの警部だ。」
蛙 「蛙岩と申します。」
岱 「ああ・・・・・上司・・・・・なのか。」
自分よりも若い上司だったが、そんなに珍しくもなかった。
そして鉄也が連れて来たと言う事は、
これが『対能力犯罪者』の責任者であろうと予想した。
少し考えた、いつも自分を押しのけ表に出ようとしていた『零』の事を。
そして最後に自らの意思で、『岱』に戻った事を。
蛙 「とりあえず、そこに倒れてる2名は、警察病院へと連れていくんだ。」
岱 「気をつけろよ・・・なかなかのツワモノだ。」
蛙 「人を封じる事は得意なんで、大丈夫です。」
岱 「そうか・・・・・。」
岱の携帯が鳴った。
岱 「ん?知らない番号・・・・・・誰だ?」
電話に出てみる。
『もしもし!』
岱 「この声は・・・・・。」
電話の主は白奈(スワン)だった。
岱 『白奈か・・・・・。』
ス 『あれ・・・・・?岱なのね?』
岱 『何がだ・・・?』
ス 『このあいだ・・・・・零に会ったから・・・・・。」
岱 『ああ、そういう事か。」
岱 『で、用件は何だ?』
ス 『あ・・・いえ・・・何かがどうってわけじゃ・・・・・。』
岱 『そうか・・・・・。じゃあな。』
ス 『待って・・・・・。また、電話してもいい?』
岱 『それを拒否する権利も理由も無いが?』
ス 『うん・・・解ったわ・・・・・。』
電話を切って、考えた。
この人格の暴走とも言えるのは、『月の力』のせいだけでは無いような気がする。
もし、この『マインド』が信念を映す鏡だとするのなら、
それぞれ全員の信念を浮き上がらせるものには違いない。
岱 「結局・・・・・我々は何のために・・・・・覚醒めた?」
続く。
おまけ。
萌 「勝ったわ・・・・・・うふふふふふふ♪」
苺 「え?もしかして、次は酒場メンバー?」
萌 「うふふふふふふふ♪」
苺 「うっそ!萌ちゃん特集じゃない!!
なにこのド派手な自宅!! 」
ロ 「あらあら。超豪邸じゃないの?(ダミ声)」
萌 「いえいえ、そうでもないですわ。おほほほほほ♪」
苺 「って事は・・・・・付録も豪華だよね!!」
ロ 「ま、まさか『世界の宝石』とか・・・・・。」
萌 「もっとスゴイわよ♪」
ジャーン。
萌 「萌ちゃんグラビアポスターなのだ!!」
苺 「・・・・・・。」
ロ 「・・・・・・。」
萌 「あれ?反応悪いなー♪」
風 「おお・・・・・でかぃ・・・・・。」