CHANGE ∀ MIND
第61話
「秘書と秘書」
脳噛商会
主の居ない、脳噛商会。
とりあえず死活問題なので、真菜とみちるで業務をこなす。
怪しい人に片っ端から『インジェクションモード・フェアリー』の盗聴能で
情報を仕入れる真菜だった。
み 「真菜さん、ロイヤル情報ありました?」
真 「ええ、どうも日本には居ないはずなのに・・・ってカンジ。
いきなり現れたりしたから、遠距離の空間移動能力でしょうね。」
み 「あの青猫ロボのアレですか・・・・・。」
真 「ええ、アレね。」
ア 「あはははは!!どこでもド・・・・・・・むぐぐぐ。」
真菜はドラ焼きをアイの口に投げ込んだ。
真 「とりあえず、一番情報を知ってそうな所に行って来るわ。」
向かった先は、すぐ近くのコンビニ。
インジェクショモード・ノーム(地精)は、短い糸を対象者に打ち込む。
盗聴するフェアリーと違って、効果範囲が広いが、
その対象者の位置をサイレンモード・アイズ(警告)で、感じ取ることができる。
あらかじめ打ち込んでおいたノームを感じたのである。
その対象者とは・・・・・。
KM社秘書:田野橋香穂である。
真 「お久しぶりですね、田野橋さん。」
香 「あ、こんにちは。以前はお世話になりました。」
真 「社長不在で大変ですね・・・・・。うちも同じ理由で居ないもので・・・・・。」
ある意味単刀直入。
香 「情報が欲しいの・・・・・?」
真 「そうね、もちろんロイヤル。」
香穂は全てを話す事にした。
なんとなく、断ったら実力行使にも出そうな気迫を感じたのもあったが。
香 「ほな、食事でも兼ねてどうです?」
真 「そうですね。」
ラーメン「鰤熊」
架 「らっしゃい!!」
真 「こんにちは。」
香 「こんにちは〜。」
水を持ってくるのは次女こまち。
こ 「いらっしゃいませ〜。あら、美人秘書さんがお2人も。」
香 「いやいやいやいやいや。」
真 「えーっと、味噌ラーメンにしようかしら。」
香 「え?味噌あるの?」
真 「このトッピングの『肉味噌』を頼んで崩して味噌ラーメンにするのよ。」
香 「へぇ・・・。」
真 「あ、肉味噌ラーメン大盛りで2つ。」
こ 「はい。」
香 「ちょ・・・・・ウチまだ肉味噌にするとは・・・・・・。
それに、大盛りって!?」
真 「それ両方とも私の分です・・・。」
香 「な・・・なんかものすごく負けた気がする。(笑)」
本題に入る。
真菜は敵の細かい能力を、香穂はその知りうる情報を。
真 「なるほど・・・・・。蹴田社長も大変でしたね・・・・・。」
香 「警部補に任せていて、それでも行くのは新人さん2人らしくて。」
真 「そっちは任せるしかないわね。」
香 「せやなあ、ウチらお互い社長の代わりにやらなあかんことあるし。」
真 「副社長じゃ知りえない範囲の事ね。」
とはいえ真菜は事実上副社長であるが・・・。
香 「後は探偵と言うか、情報屋と言うか、怪しい男に。
女癖は最悪っぽいけど、腕は確かやねん。」
真 「ああ、居るわね・・・・・。そういう性格の男。」
香 「あと、総間研究所も怪しいねんて・・・・・。なんか警告してきたし。」
真 「まぁ、こないだ乗り込んで来た教授もそうだしね。」
と、たまたま「替え玉麺」を持ってきたこまちが止まる。
こ 「!?」
香 「ん?」
こ 「あ、ご、ごめんなさい・・・。お話を聞くつもりじゃなかったんですけど・・・。
聞こえてしまったんで・・・・・。」
真 「ああ、お姉さんが総間研究所に勤めてるんだっけ?」
こ 「え・・・ええ。」
長女かれんが総間研究所に居る。
そこが「怪しい」と言われたので気になって当然である。
香 「なんや、あっちもこっちも敵だらけ・・・・・やなあ。」
真 「そうね・・・・・。あ、替え玉下さい!!」
香 「替え玉するなら、なんで2杯頼むの?」
真 「スープが足りなくなるからよ。」
香 「え・・・・・お・・・・大盛り・・・・・。」
そして、地図を広げる香穂。
香 「ウチの社長がさらわれた位置と、脳噛商会の範囲と、
関係あるっぽい事件の定められた『範囲』があると思うねん。」
真 「空間移動距離にも限界があるって事ね?」
香 「そうやね。元々能力「マインド」って、良いとこ取りな甘い考えじゃダメやんね。」
真 「そうね。」
地図を見ながら、なにかを考える真菜。
真 「ハワイにでもいるのかしら?」
香 「それはまた、日に焼けた犯人やったん?」
真 「単純に途中にあったから・・・・・。」
香 「うーん。とりあえず、様子見るしかないねんな・・・・・。」
真 「そうね・・・・・。あ、替え玉下さい。」
架 「今日は調子いいな?最高記録でも狙うか?」
真 「いえいえいえ、そんな。」
香穂は店内の替え玉記録を見て吹いた。
1位:『85玉』桂木
2位:『70玉』砂流
3位:『60玉』:曽根
香 「めっちゃ有名そうな人、抜いてるんですけど・・・・・。」
架 「いや、しかしアレだな。
チョコマカうるさい蠅は、飛んでるのを捕まえようたって、そうはいかねぇよな。」
香 「!!単純にそうよね・・・・・。」
真 「あ・・・・・作戦浮かんじゃった。」
香 「あら、ウチもやで。うふふふふ。」
と、丼のスープを全部飲み干す真菜。
香 「お?行きますか?」
真 「チャーハン大盛りでっ!!」
香 「え・・・・ちょ・・・・・っと・・・・・。」
その後、香穂の作戦は簡単な事だった。
社長が居ない事を逆手に取った。
水で走る車『スオウ』の欠陥データ云々の話を
自分が持っていると言うデータを、あの世界に置いてきたのである。
そう、KM社PCサーバ内。
真菜の考えでは、ロイヤルは社長を『殺さなかった』
つまり、生きて戻る事も想定内。
ならば時間稼ぎのはずであり、KM社の監視をする事を『止めない』
そして、あの軍勢が見回っていると知れる、もう1人。
そう、『不思議な蒼い電脳世界』(サイバー・サブマリン)の使い手
コンビニシャンパーニの杏山羊梓(きやぎ・あずさ)である。
梓曰く、時々コンビニの外も見たが、軍人が居たから止めたと。
香 「くぅ〜。脳噛商会の秘書はキレ者やでっ。」
だが、穂の身に危険が及ぶのも当然である。
だがここは現実世界である。
真菜とみちるが交代で護衛する事にしたのである。
み 「香穂さんも大企業の秘書なんだから、ボディガードを雇った方がいいよ?」
香 「って、脳噛商会はどんな武闘派やねん!!」
そして、彼らロイヤルが動き出すのに時間はかからなかった・・・・・。
続く。
おまけ。
真 「あ・・・・・。1位が92玉になってる・・・・・。
本当に人間なのかしら・・・・・。」
こ 「あ、真菜さんも充分すごいと思いますよ・・・・・?」
後ろでアンパンを食べながらのぞみが言う。
の 「お姉ちゃん、それ遠まわしに「人間じゃない」って言ってるよん。」
こ 「えっ・・・・・そ、そんな意味じゃ・・・・・・。」
り 「だいたいアンタも、アンパン何個食べるのよ?」
の 「アンパンってさ・・・・・このつぶつぶのゴマみたいなとこおいしいよねぇ。」
こ 「アンコはポイントじゃないんですか・・・・・。」