CHANGE ∀ MIND
第59話
「水面下」
空散寺
先祖代々受け継がれて来たこの寺。
なぜか床下から酒壺がたくさんでてきた。
残念ながら全部カラだった。
どうやら、酒癖の悪さも一族伝わっているようだ。
ウイスキーを瓶で直接呑んでいる空散。
空 「やっぱりビールだな・・・。」
『あ〜ん♪ メール来たわよぉ〜♪』
趣味の悪い着信音が鳴る。
空 「ん・・・・・?」
その内容を見る。
空 「おいおい、敵はデザートカンパニーだけじゃないのか・・・・・?
めんどくさいが・・・・・酒代が出るとあっちゃやるしかねぇな。」
飛び出そうとするが、戻る。
空 「おっと・・・『商売道具』忘れちゃいけねーな。」
鋼鉄の数珠を握りしめ出て行った。
バイクを走らせる空散、テンガロンハットも合わせて、
誰が住職だと思うだろう。
交差点の辺りで車を潜り抜けていく二人乗りのスクーターが居た。
見るからに頭の悪そうなやつらである。
信号をも無視し、横断歩道に差し掛かる。
小学生の女の子にスクーターが迫る!!
空 「『流鏑馬(やぶさめ)』!!」
発生した磁力に引き付けられ、鋼鉄の数珠がバラバラにスクーターへと飛ぶ。
鋼鉄の雨はスクーターに打撃を与える
乗っていた2人は思わず転倒する。
女の子には影響は無かったが驚いたらしく泣いている。
空 「いけねーな。女を泣かす奴はよ・・・・・。
その子だって、未来のレディだぜ?」
無論、そんな声は届いていない。
2人は痛い痛いと叫んでいる。
転倒で骨折でもしたようだ。
空 「男は・・・・・・・・・・・・・・・どうでもいいか。」
そのまま鼻歌交じりでバイクを進ませた。
本職とは別に明らかに何かを探っていた。
誰かに雇われているような感じである。
空 「ただでさえDCの数の多さには手を焼いてるんだなあ・・・・・。
ああ、また研究所でも調べに行くか・・・・・。
あそこは美人の研究員多いが・・・・・出入り禁止喰らったんだった・・・・・。」
もちろん何かを探ったからとか、不法侵入ではなく。
ナンパしたからである。
空 「モテる男はツライな・・・・・。」
と、適当に走っていると、私立ブレード学園前である。
ふと、下校の生徒を眺めていると、金髪の子が居た。
アイフィ=カルティア=ガックスヘッジである。
空 「へぇ、和の象徴のようなこの学園に留学生か・・・・・。
まさか、ハラキリ・ゲイシャ・ヒッコシノサカイとか言うんじゃないよな・・・・・。」
バイクの速度を遅くし、アイの横を走る。
空 「YO!!何処から来たんだい?」
速攻話しかけるのも空散流。
ア 「なんだ、このおぢさん。」
空 「お・・・・・おじさん?」
ア 「おぢさん。」
空 「お兄さん?」
ア 「おぢさん。」
空 「・・・・・。」
ア 「怪しいおぢさん。」
空 「怪しくない・・・・・。」
ア 「ロ・・・・・。」
空 「違うっ!!その金髪に見とれただけさ。」
ア 「そうですか。頑張って下さいネ。」
スタスタと歩くアイ。
イカ焼きの屋台に目が留まる。
空 「イカ焼、食べる?」
「うん。食べるぅ!!」
と、元気イッパイ夢イッパイな・・・・・ミナ。
ミ 「あーたーしーもー食ーべーるー!!」
空 「あれ?ミナちゃんじゃないか?」
ミ 「うっわ。きもっ!!ストーカー!?」
空 「いやいやいやいやいや。メガラバで会ったじゃないか。
もう、運命だね・・・・・。」
ミ 「とりあえず、あたしはイカ焼きを奢られる運命を感じた。」
50個買わされた空散。
空 「食欲があるって事は・・・・・い、良い事だ。」
横でもっちゃもっちゃ食べてるミナ。
ミ 「居る?1個。」
と、アイに差し出す。
空 「1個かよ・・・・・。(笑)」
ア 「食べるぅ。」
ミ 「何よう何よう?この夢イッパイのイカ焼きを前に元気無いな。」
ア 「パパがさらわれたの。しくしくしく・・・・・。」
ミ 「え?もっちゃもっちゃもっちゃ。」
空 「さらわれた?????」
ア 「うん・・・・・。『ロイヤル』って奴らに。」
空 「ロ・・・・ロイヤル!?」
さっきの電話で聞いた、新しい敵の通称だったのである。
ミ (ど・・・・・どこのケーキ屋なんだろう・・・・・。)
少し事情を話すアイ。
ふと、その状況からなんとなくイメージの浮かぶ空散。
空 「もしかして・・・・・黒服の性格悪い男か?(笑)」
ア 「悪くないもん。」
空 「俺より年下で・・・・・高校生の娘・・・・・?」
ミ 「え?オッサン四十路やん?」
空 「まだ、三十路っ!!」
ミ 「どっちでもいいけどさ。」
ある程度のメモを取り、さらに・・・・・。
空 「もし、またそいつらが襲ったら、この俺・・・・・・。」
と、ミナが前に割り込んでいる。
ミ 「そん時は、このミナさんにまっかせなさい。」
ア 「うん・・・・・。」
空 「えー・・・・・。ここはかっこよく俺が決める所じゃ?」
ミ 「格好がすでに変だもん。
それに比べてこっちの子の、カバンのキーホルダー・・・・・。」
ア 「あ、解ります?」
なんだか、2人の好きなアーティストのライブ限定品らしい。
よくは解らないが、空散の出番がまるで無い事は解った。
空 「ま・・・いいか・・・・・。」
ションボリとバイクに跨る空散。
空 「とりあえず・・・・・探すものは解った。」
ミ 「オッサーーーーン!!」
空 「まだ、三十路!!」
ミ 「三十路はオッサンやん。」
空 「ええええええええええ。」
ミ 「なんか凶悪そうだから、ピンチになったら呼んでいい?」
空 「もちろんだよ!!だからアドレス教えて?」
ミ 「あ、うん。ウチのマネージャーのね。」
空 「え?マネージャー美人?」
ミ 「う・・・・・うん。甘いもの大好きで、いつも砂糖とか持ち歩いてるけど。」
*饅頭
空 「解った。やっぱ有名人は緊急時連絡取りにくい時ありそうだし。」
ミ 「そーゆーことにしといて。」
とある場所にバイクを飛ばす。
闇の情報管理とでも言うか、情報屋の所である。
空 「フフフ・・・。また、行く口実が増えたぜ。」
喫茶店「赤紙」の近くの公園で接触する事となった。
情報屋『蓮河寧音』(はすがわ・ねね)
空 「寧音ちゃーーーーーん。」
寧 「えっと、何の用件?」
空 「そうせかさなくても・・・・・。」
寧 「何が聞きたいの?」
空 「キミの愛の言葉・・・・・。」
空散のボディに拳が決まる。
空 「うぐっ・・・・・。」
寧 「寧音急いでるの。」
空 「うううう・・・・・。ロ、ロイヤルについて・・・・・。」
寧 「全国有数のケーキショップ?」
空 「だとしたら、キミに頼むと思うかい?」
寧 「・・・・・。この情報に関しては、多額の報酬と時間を貰うわ。」
空 「身体で払うよ。」
寧 「じゃ、腎臓貰おうかな。」
空 「!!そ、そうきたか・・・・・。」
寧 「承ったわ。それじゃ。」
すぐにバイクで立ち去ろうとする寧音。
空 「これから、夜景の見える・・・・・ってもう居ない・・・・・。」
空散がロイヤルに向けて調査を開始した。
続く。
おまけ
饅頭 「・・・・・。」
サ 「どしたの?」
饅頭 「なんか、知らない人から愛の告白来てるんだけど・・・・・。」
ス 「悪戯メールじゃないのかしら?」
饅頭 「でも、『ミナちゃんに聞いた。』とか・・・・・。」
サ 「なんか、よく解らないね・・・・・。」
饅頭 「なんか・・・・・うなされそうだなあ・・・・・。」