CHANGE ∀ MIND

第54話
「ロイヤルの罠」









            電脳世界

             KM社前。

             ファイアーウォールをも破る勢いの、大哉文人率いる『蹂躙する兵士たち』

             詳しくは解らないが、ライフルやバズーカすら装備している様子。


燕  「敵の数は、百と言った所か。」
獅  「久々に消し飛ばしてやるぜ。」



             獅子が空中に翻り、軍隊の中へ飛び込んだ。


             銃で同士討ちするわけにも行かず、軍隊は少し戸惑った。




文  『おっと、まさかショートレンジ(近距離)で来るとはね・・・・・。
       全軍、散開して、狙え!!』


             兵がそれぞれ、獅子を中心にその直径を広げる。


獅  「一人づつ、殺ればいいだけだろ?」


             獅子が兵隊に切り込む。

             個人戦闘能力は明らかに、燕・獅子のが上である。


             軽快に兵隊を斬る獅子を遠くから射撃する兵もいる。
             狙撃兵である。


獅  「そのような鉄の玉、見切れないとでも思ったか?」




             別の数人が、KM社内部を目指す。

             ファイアウォールの切れ目に立ちはだかり、兵を斬る燕。




香  『単純な陽動作戦やね。裏側から侵入するつもりやな・・・・・。
       「紅蜂(べにばち)」!! 燕の裏側へ廻って!!』


             桃色の装束の忍者が出現して、指示に従う。


香  『クッ・・・さすがに、同時に3人を行動させるのは、キツイな・・・。』




             さらに、『電界の庭番衆』は、個々の武器である、手裏剣と刀しか持っておらず
             他の武器を導入する事はできない。

             だが、『蹂躙する兵隊たち』は、能力者の望む装備で電脳世界に来れるのである。



             現代兵器の重火器が、忍び達を襲う。

             3体で応戦するが、手が足りるわけもない。


香  『雷迅の術でもやるしかないのか・・・・・。』



             燕が当たり一面を包む『雷迅の術』を使った。

             何体かの軍人が崩れ落ちていく。





文  『へぇ、ジャミングやら、電波障害やら色々できるようだね。
     この忍者さんは・・・・・でも、問題はそこじゃない。』





             何かの異変に紅蜂が何かに気付いた時は遅かった。






紅  「主人!!敵の目的は他にあったものと思われますが・・・・・。」
香  『なんやて!? めちゃくちゃ正面突破な意志を感じたのに。』


             単純な陽動作戦であった。

             裏を守る紅蜂を表に廻したため、裏を攻め込まれたらしい。



香  『結局、表を守らなくてもそのまま力づくってわけね・・・・・。やられたわ。
      手抜き陽動には見えないワケやわ・・・・・。完全に負けやな・・・・・。』





             KM社の内部情報の何かを取られたようである。

香  『あかん・・・・・とりあえず、社長に連絡しないと。』




             必要なデータだけ盗み出したら、一斉に撤退する軍隊。

文  『一丁あがり。全軍撤退。』
エ  『なんだかよく解らないが、鮮やかなもんだな・・・・・。俺にはサッパリだ。』




燕  「不覚・・・・・。我、力及ばじ・・・・・。」

香  『やられた物はしゃーないやん!!すぐに何を取られたか調べて!!』
紅  「御意。」

獅  「畜生!!主人!!俺の能力上昇はできないのか!?」
香  『あー、もー、うるさいなあ。ウチの能力じゃここが限界よ!!』


             忍者と喧嘩もできる香穂だった。





             蹴田社長と電話が繋がる。


香  『社長、申し訳ないです。突然ですが、やられました。』
蹴  『えーっと、何をですか?』

香  『それがですね・・・金額とか数字的な物でなくて・・・・・・。』



             調べあげられた部屋を紅蜂が解析した。




香  『社長の日程です!!もしかして、社長自身が狙われてるのでは!?』
蹴  『そ、それは困りましたね。予定を変更して、今すぐ日本に向かいましょう。』
香  『くれぐれも気をつけてください。』




             蹴田社長を狙うとするなら、誘拐か殺害か!?


             このアクセスした敵の足取りを追う。

             それこそ、いつもやってる事なのに、
             それすら阻まれる自分の不甲斐なさに呆れる。


香  「私の能力は、この程度なの・・・・・?」









             USA
             急いでタクシーを飛ばした蹴田社長。

             すぐさま空港へと向かう。


蹴  「念には念を入れて、変装でもした方が・・・・・。」


             が、自分の所持する携帯GPSから察知されてるとは気付かなかった。


             特に誰に見つかるわけでもなく、飛行機に乗る事ができた。


蹴  「あとは、ハイジャックでも無い限りは・・・・・。」



             と、縁起でも無い事を口にした瞬間だった。


             飛行機の真ん中の空間が歪み、扉が現れた。



エ   「グディーブニン。ミスター蹴田。」


             エース・スペードルである。


蹴   「能力者!?」


             驚愕するクルーと乗客。


エ   「おっと・・・・・。」

             エースは1人のキャビンアテンダントを捕まえる。


エ   「いいかいレディ?たった一人の乗客に用があるだけだ。
       君達は『何もするな。』 そうすれば、乗客や航空機には何もしない。OK?」


             CAは納得したのか、機内放送で乗客を落ち着かせた。



蹴   「この高度、この速度の場所にこれるのか・・・・・。」

エ   「ああ、俺の『鍵と錠』(ロック・イン・ザ・キングダム)には、たやすい事さ。」




             指にひっかけた鍵をクルクル廻す。

             その『鍵』は、あらゆる場所への扉を開く能力である。


エ   「で、こっちが『錠』だ。」


             今度は蹴田の右手と左手を重ねた。



蹴   「こ、これは!?」


             なんと、右手と左手を、南京錠で繋ぎ合わせてあった。
             おそらく手錠代わりであろう。



エ   「ついてきて貰うぜ?ミスター蹴田。」
蹴   「断ったら・・・・・。」

エ   「世界のKM社、社長は無関係の乗客の命を見捨てはしない・・・・・だろ?」
蹴   「解った。この飛行機の乗客には何もしないでくれ。」



エ   「じゃあ、この扉から移動してもらうぜ。」



              エースの廻した鍵で扉が現れた。

              蹴田とエースはその扉の中へ消えていった。



              去り際に、何か英語か何かでエースが叫んだ。

              おそらく、『この出来事は忘れろ。』の類であろう。






              蹴田の移動した先はセスナくらいの小型飛行機の中だった。


エ   「ただいま。」

              パイロットは突然エースが消えたり、現れたりしたので驚いている様子だった。


エ   「驚いてないで、最初に行った場所へ行けばいい。
       それ相当の報酬は貰っただろう?」
P   「わ、解った。」




蹴   「何が望みだ?」
エ   「簡単な事、これから今後商談で出てくるあの情報だ。」

蹴   「何・・・・・?」
エ   「開発したんだろ?水で走る車を。」

蹴   「な・・・・・なぜそれを!?」
エ   「ウチに優秀な奴がいるんでな。」


              水を燃料に走るという新時代の車『スオウ』の情報が目当てだったようだ。

蹴   「あらゆる電子関係にデータは残してはいないはずだが・・・・・。」
エ   「ああ、だからアンタをさらいに来た。」


              蹴田をボディチェックする。

              1冊のノートを肌身離さず持っていた。


エ   「いまいち中身見ても解らないが、コレがそうなのか?」
蹴   「さあな・・・・・。」


              蹴田を殴るエース。


エ   「あんまり手荒なマネはしたくないんだが。
       ウチの社長は怖いんでな。」



              と、飛行機の後ろの方に行くエース。
              何かで仲間に連絡を取っているらしい。



エ   「ああ、多分このノートだと思うんだがな。
       持って行ってもいいが、この距離でやっちまうと、戻れないぜ?
       ああ、とりあえず画像1枚送るぞ。」



              と、その会話で何かが予想できた。



蹴   (なるほど、あの『鍵』の扉は無制限ではなく、長距離だと何度もできないのか・・・?
       それとも飛行機だからなのか・・・・・。)







              その時、何かのチャイムの様なものが流れた。










             ピンポロパ〜ン













             続く。











































おまけ。


香  「えーっと、今の状況でどうパワーアップできる?」

燕  「そうだな、四人目の忍びが出せるくらいだな。」

香  「どうやったら、ウチの能力は進化するんだろう・・・・・。」

燕  「もっと、時代劇を見ればいいのではないか?」












香  「燕(つばくろ)・・・・・自分が観たいだけちゃうん?

燕  「気のせいであろう。」


















マ  「あら・・・・・KM社は、お話相手が居る能力なのね・・・・・。(ダミ声)」

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