CHANGE ∀ MIND
第50話
「引かれ合う」
EVER SNOW
強盗を追いかけるマドカと饅頭。
饅 「なかなか、足が速いな・・・・・。」
マ 「絶対追いついてみせる。」
ちょうど先に見える位置になった。
マドカは口紅を取り出した。
饅 「え?」
『→』に、『−』を付け加えた。
マ 「『人馬の火矢』(じんばのひや)!!」
紅い矢が、強盗の方へと飛ぶ。
背中に直撃を受けた強盗は、熱いと叫びながらもんどりうつ。
マ 「命中。」
饅 「怖っ・・・・・。」
背中のあまりの熱さに火が付いたと勘違いしてる強盗。
ただ、『熱い衝撃』を与える火矢なのである。
強 「お前ら、なんてことしやがる!!」
マ 「強盗風情がよくそんなこと言えるわね?
そういうお金の増やし方は感心できないわ?」
饅 「全くだね。」
マドカにナイフで襲い掛かろうとする。
饅頭の『皿眼(ざらめ)』の盾で防がれた。
強 「な、なんだこりゃ!?」
マ 「こういう馬鹿が能力者じゃなくってよかったわ。」
饅 「だね、どっかの馬鹿企業が増える一方だしね。」
と、わけのわからぬまま、今度は饅頭に殴りかかるが、
饅頭のボディブロー1発で大人しくなった。
饅 「さて、おばあさんに謝罪させてから、警察でも行きますかな。」
数 「能力者同士は引かれ合う・・・・・どこかの有名な漫画にも書いてあったな・・・・・。」
後ろで声がする。
「スネイク」の数熊 重人(かずくま・しげと)、時坂 大蛇(ときさか・おろち)である。
マ 「ああ、さっきスタジオに居た二人ね。」
数 「かわいい姉ちゃんだな。」
マ 「ご心配なく、ルールも守れない馬鹿とは関わりたくないんで。」
饅 (うわ・・・・・。そんなハッキリ言わなくても。)
数 「あまり調子に乗ると、痛い目みるぞ?」
マ 「なんか、セリフが悪役の雑魚のまんまですね?」
数 「この野郎!!」
また、『飴細工(あめざいく)』で腕を作り、ガードに入る。
数熊の能力は水分を吸い取るようなものは、こないだで学習済みだ。
数 「面白い・・・・・少し思い知らせてやるか・・・・・。」
数熊が地面に手を当てた。
アリ地獄の様に、地面が凹みアスファルトが砂のように崩れ去る。
数 「俺の能力は、水分を吸うだけでなく、触れた物を砂のようにしてしまう。」
数熊 重人(かずくま・しげと)
能力名 【渇きの訴え】(オアシス・チェイサー)
時 「足元には気をつけた方がいいぞ?」
マドカは足元を見た、色からするに毒蛇のようなのが居た。
時 「ありとあらゆる毒を持つ蛇を自在に操る・・・・・。」
時坂 大蛇(ときさか・おろち)
能力名 【毒の坩堝】(ポイズン・ヒュドラ)
この場所じゃまずいと、饅頭はすぐ向こうの海岸へと走る。
すぐに追いかけるスネイクの二人。
マ 「・・・・・。」
強 「あんたら・・・・・いったい・・・・・。」
マ 「さっきのおばあさんとこに戻って謝って、自首するの。いい?」
強 「何を馬鹿な・・・・・。」
マ 「いい?」
マドカは、『天秤の爆弾』を小さく地面に書いた。
そして、それを踏んだ。
小さな爆発が起こる。
マ 「世の中、常識じゃ計り知れないものがある。
別にあなたが、私との契約を破るなら、やり方はいくらでもあるわ?
この爆弾を仕掛けさせてもらうわよ。」
強盗の背中に書いた。
とは言えど、実際はなんでもない模様を書いただけであった。
それでも、脅しには充分だったようだ。
マドカはすぐに饅頭を追った。
饅頭は、身体に砂糖を纏っているらしい。
元々の砂浜が、さらに能力で砂塵と化す。
饅 「厄介な能力だな・・・・・。」
だが実は自分も砂に紛れる能力だということを計算に入れてた。
ばら撒いた砂糖は、一応センサーのようになる。
きっと、あいつの毒蛇は砂の中に隠れて攻撃してくるはずだ。
マドカも海岸に降り立った。
マ 「思う存分、戦っちゃいますけど?」
饅 「いいんじゃないかな?コイツら、ちょっと懲らしめないと調子に乗るよ。」
もちろんスネイクの二人にも聞こえている。
数 「なかなかの冗談だな。」
マドカが来たので饅頭は小さな砂糖の板を渡す。
地面が砂であるので、『書けない』からである。
マ 「さて・・・・・・・・・!!」
攻撃を開始しようとしたマドカに異変が起きた。
なんと砂の中からいきなり現れた毒蛇が足に噛み付いたのである。
マ 「う・・・・・。」
時 「さて、どの蛇が何の毒を持ってるか、そこまでは把握してないんだよな。」
饅 「マドカさん!!」
数 「おっと、オマエの相手はこっちだぜ。」
地面が少し崩れ去り、段差と成る。
饅 「別に足場なんていくらでもできるんだよ。
『砂投機備(さとうきび)』!!」
地面から、白い植物が生えてきた。
みるみるうちに、生い茂り、その丈夫な茎は足場としては充分だった。
饅 「別に最初から砂浜だろうと、関係ないしね。」
数 「なるほど・・・・・。その『白い砂』が能力か・・・・・。」
饅 「普通の植物と違って、干上がらせる事もできないと思うけど?」
数 「勘違いするな・・・・・なんでも砂に変えられる。
つまり、ただの砂にできるんだよ!!」
また次の一瞬で、その植物さえも白い砂になった。
足場がなくなり、バランスを崩す饅頭に掴みかかる。
数 「ハッハッハ!!直接、オマエも砂にしてやるよ!!」
が、すでに数熊の両側には、『皿眼』で作った砂糖のブロックができていた。
数 「こいつ・・・・・砂になる前に・・・・自分で解除したのか!?」
わざと隙を作って間合いを詰めた。
その巨大なブロックで、数熊を挟み潰す!!
饅 「ジャンククラッシュってとこか。」
一方マドカは、眩暈に襲われていた。
時 「即死の毒じゃなくてよかったな。」
マ 「ああ・・・・・。眼が・・・・・。」
『人馬の火矢』を飛ばすが当たらない。
時 「なるほど、『熱い線』の能力か・・・・・。」
【真紅の暴君】(バーニング・エンペラー)の能力も見切られているようだ。
時 「触れなきゃ大したことも無いか。」
それでもマドカは板に色々書いた。
『m』と『ノ』のような記号を。
マ 「『処女の抱擁』(しょじょのほうよう)!!
これで、徐々に温度を・・・・・。」
時 「小声でつぶやいても、足元の蛇が聞いて俺に伝えてくれるんだよ。
その板の温度をドンドン上げて蛇を焼き殺そうとでも?」
結局、その場に崩れ去り、板は虚しく辺りに散らばった。
饅頭はマドカの方へと向かう。
砂糖のブロックで階段を作れば移動はわけなかった。
饅 「マドカさーん。」
時 「邪魔はさせない・・・・・。」
地響きがしたような気がした・・・・・。
その数秒後に目を疑うくらいの巨大な蛇が地面から出現したのである。
饅 「や・・・・・ヤマタノオロチ・・・・・・。」
時 「ご名答。」
予想以上の敵の大きさにただあっけに取られてるだけであった。
続く。
蹴 「と、仕事とは言え単身日本を離れた私の出番はどうなるのだ・・・・・。」
と、携帯が鳴る。
香 『大丈夫やでー、社長。通信だけはウチが居る限り途切れへんで。
どんどん中継したるさかい、敵に襲われまくってーな。』
蹴 「え・・・・・。海外にも居るのか・・・・・。」
香 『はいはい、そんな不安の中、次のタイトルどーぞ。」
蹴 「ああ、なんのオチもなく、普通に・・・・・。」
香 『次回・・・・・「叫びの轟く海岸」。ご期待やでーーーっ。」
蹴 「しかも、言われたし・・・・・。」