CHANGE ∀ MIND
第44話
「英雄伝A」
特撮・現場付近
様筬が攻撃を続けるにあたり、手を向けた。
指の先が拳銃のようになっている。
一 「な・・・・・なんだありゃ・・・・・。」
ロ 「超能力の一部だと思って・・・。」
様筬の能力は拳銃!?
それにしては、弾丸のように強力ではない・・・・・。
空気弾なのだろうか?
ダメージがそこまで大きくないために、
盾となった一の『サムライガー』の衣装がどんどん破れてなくなっていく。
一 「くっ・・・この野郎・・・・・。」
康 「うわあああ・・・サムライガーが・・・・・。」
ロ (泣きたいのは私ですわっ。(ダミ思))
一 「変身が解けてしまったようだな・・・・・。」
それでも康一の中の夢を壊したくはなかった。
普段自分の持つ木刀と違い、その辺にある撮影用の道具では
一の剣術には使えなかった。
一 「柔術でも、習っとくべきだったか・・・・・。」
様筬に掴みかかろうと走る一。
様 「道具は・・・・・片付けておいた方がいいぞ?」
なぜか足元にあった針金を手に取った。
様 「合体・・・・・。」
手にあったはずの針金が消え、代わりにエアガンらしきものが地面に落ちた。
一 「な・・・なんだ?」
様筬の左手が伸びてくる。
その左手を見て驚いた・・・・・針金でできていた。
様筬 乾取(さまおさ けんじゅ)
能力名 『戦神合体』(グラップラー・コンバイン)
手にした物の能力を取り込む。
様 「気にするな、どうせ死に行く者だ・・・・・。」
一に伸びた針金作りの手が分解され絡みつく。
そのまま縛り上げられる。
一 「うわああああああああ!!な・・・なんだこれは・・・。
こ、これが『マインド』か・・・・・。」
ロ 「前に話した事があるでしょ!!(ダミ声)」
以前に話をした時は、全く信じていなかった一だった。
生徒の中にも不思議な能力のようなものを見た時もあったが、
こうも自分が体験するはめになるとは思わなかった。
ロ 「コウちゃん!!助けを呼ん・・・・・。」
こんな状況だが、悩んだ。
息子の中でこの英雄の敗北は有りなのか・・・・・?
もちろんそんな事を言ってる場合では無い事は解っていた。
それでも、『絶対に負けてはならない存在。』も居ると言う事。
ロ 「どうすれば・・・・・。」
苺 「ママーーーーッ!!」
と、苺が息を切らして走って来た。
様 「またギャラリーが増えたか・・・・・。」
針金で巻かれた一をブン投げる。
一 「ううううううう・・・・・。」
康 「サムライガー!!」
咄嗟に駆け寄る親子、だが針金がほどけるわけでもない。
苺 「ママ!!」
ロ 「来てくれたのね!?」
苺 「なんとなく、おかしいなって思ったから。
萌ちゃんは、お酒呑んで寝てるから。」
と、苺は右手で一に絡む針金に触れて、左手で落ちてる木の枝を拾った。
苺 「なんとなく・・・・・状況は読めたんだけどね。」
一に絡んでいた針金がポロポロと零れ落ちる。
『木の枝』だったはずの物が地面にゴトンと落ちた。
一 「き、君も能力者だと言うのか?」
苺 「う〜ん、私は戦闘能力じゃ無いんですけどね・・・・・。」
漣 苺(さざなみ いちご)
能力名『天地の掌』(スカイハイ・アンダーグランド)
右手と左手の『数値』を入れ替える。
右手の針金の『硬度』と、左手の木の枝の『硬度』を入れ替えたのである。
苺 「とりあえず、ハッタリにはなると思うけど、そっからどうしよう・・・・・。」
もう一度、『鉄の棒』となった木の枝を拾い、もう片手にママのスカーフを取った。
また今度も『硬度』の数値を入れ替えた。
瞬く間にスカーフが鋼鉄となる。
とりあえず、盾にしておく。
様 「ほぅ、よく解らないが能力者か・・・・・。」
それを見た一が、自分の手袋を指差した。
手袋を硬くしろと言う事がすぐに解った。
一の手に右手を触れ、左手で落ちている石を拾う。
手袋がズシリと重くなったのを一は感じた。
再度その手で殴りに向かう。
様筬もまたこちらに向かっていた。
様 「同じ『腕』に在る能力か・・・・・。
だが私のように戦闘慣れは全くしてないようだな。」
様筬はライターを手にした。
次の瞬間は片手が機械の様になっていた。
もちろんライターである。
噴き出す轟炎が4人を襲う。
息子を庇うママ。
苺 (うわ・・・・。炎は『掴めない』な・・・・・。)
炎に伏せた瞬間であった。
様筬の拳が一と苺に炸裂する。
日頃、鍛えているはずのない苺は、しゃがみこむ。
苺 「ゴホゴホゴホッ、うっわ・・・・レディに手をあげるなんて・・・・・。」
様 「ゴミに性別など関係無い。」
一 「貴様っ!!」
石化した手袋で殴るが、ライターと化した腕で防がれる。
様 「使える能力ならまだしも・・・・・役に立たんな。」
ロ (使える能力なら・・・・・?(ダミ思))
その言葉に疑問を持つが、容赦なく様筬の蹴りが決まる。
ロ 「うわっ。(ダミ声)」
康 「ママーーーッ!!」
身体を燃やしながらも、様筬に掴みかかる一。
それでも戦闘経験に凄まじいほどの差を感じる。
せめて剣術であれば、多少なり太刀打ちできたかもしれない・・・・・。
一 「剣さえあれば・・・・・。」
苺 「ちょっと・・・・そういう事は早くいいなさいよ・・・・・。」
足元の石を拾い、地面に散った針金の長めの物を拾う。
そして、『長さ』の数値を入れ替えた。
苺 「重いかもしれないけど、頑張んなさいよっ!!」
一 「恩に着る。」
石の剣を手にしてからは、様筬を攻撃を防ぎきれずに居た。
様 「なるほどな、剣術はできるわけか・・・・・。
『剣』の能力にでも目覚めれば、使えるんだがな・・・・・。」
防戦一方の様筬ではあったが、顔は笑っている。
様 「絶対なる戦闘経験は、そんなものじゃ埋まらない。」
ライターともう片方の腕が、カッターの様に変化していた。
わき腹を斬られる一。
一 「グッ・・・・・。」
様 「所詮試合用とは言え、剣道や柔道などの段は相当持っているんでな。」
と、様筬を叩く。
康一だった。
康 「このやろー!!」
ロ 「コ、コウちゃん!!危ないよ!!」
康 「サムライガーの武器はすごいんだぞ!!」
一の渡した刀で叩いていた。
すぐに引き戻そうとするママを再び蹴る様筬。
ロ 「うわあっ!!(ダミ叫)」
康 「ママは・・・・・僕が守るんだ!!」
康一の振った刀が、爆発を呼ぶ。
予定外の攻撃に隙をつかれた様筬。
一 「な・・・・・なぜだ?」
苺 「何、今の?」
マ 「ま、まさか、コウちゃんが能力に・・・・・!?」
康 「変身!!サムライガー!!」
康一が刀を抜いた!!
ナリは小さいが紛れも無くサムライガーに変身した。
ロ 「えええええええええええ!?」
様 「ほぅ、これは面白い・・・・・。英雄への、正義への信念か!?」
轆轤 康一(ろくろ こういち)
能力名 『奇跡の英雄』(ミラクル・ヒーロー)
サムライガーに変身できる。
康 「かくごーーーーーっ!!」
刀を振りかざし、小さな英雄は悪に向かって行った!!
続く。
鉄 「おお、最年少の勇者誕生か!?」
玄 「子供のほうが純粋だからねぇ。」
凛 「良いですよねっ!!特撮って!!」
玄 「え・・・・・?」
凛 「私も変身したいっ!!」
蛙 「ノリ的に・・・・・戦隊モノだろうか・・・・・?」
凛 「って事で、次回、変身した康一君の戦闘!?
『英雄伝B』でっ!!」