CHANGE ∀ MIND
第41話
「血で血を洗う」
脳噛商会・ビル屋上
数本の手術用のメスを握る竜。
盾で守る真。
対峙する桜と岱。
真菜は自分の足と、みちるを止血している。
アイはただ離れた位置で見てるだけであった。
桜 「あれだけ放ったメスが・・・どこにも無いわ。」
岱 「アイツの手のメスにも、血は無い・・・・・。」
竜 「血ィィィは・・・・・イイよなあァァァ・・・・・。」
そのまま単騎で走り来る!!
岱 「相当な自信だな・・・・・。」
兵士の鎧と槍を持つ桜と、刀を持つ岱が前に出る。
走りながら、メスを連続で発射する。
その数十のメスをいったい何処に隠している・・・
いや・・・・・発生させているとしたら?
その考えに結びつくのが普通である。
接近戦・・・
とくに防御を持たない竜がなぜ二人の攻撃を受けているのか?
槍や刀を防ぐ音は金属音。
高速のメス捌き???
真菜は『診て』いた。
菜 「ステッチモード!!(縫合) マミー!!(捕縛)」
真菜の伸ばす黒糸が、竜の腕を締め上げる!!
竜 「チッ・・・・・鬱陶しい女はキライなんだがな。」
菜 「あら、奇遇ね。私もアナタみたいな頭悪そうな男はキライなの。」
メスが、黒糸を斬り落とす。
真菜の糸は、竜の腕に絡まったままだった。
その一瞬を付き、岱の刀が竜の足を捕らえる。
またも鈍い金属音。
岱 「あの男と同じ能力・・・・・か?」
あの男とは、身体を鋼鉄に変える能力『闘いの挽歌』(メン・ソウル)の鉄也の事である。
竜 「残念だったな・・・・・俺はオマエらには負けねぇんだよ!!ヒャッヒャッヒャッ!!」
短刀(ドス)が出現し、下腹を刺す。
岱 「この野郎・・・・・。」
ア 「あ・・・・・!! パ・・・パパ!!」
岱 「桜・・・・・・。」
倒れる岱は、血まみれの手を桜に伸ばす。
桜 「岱!!」
その不思議な光景は、真菜の思考を誘った。
共に戦っていた、あの男が・・・・・。
他人に「まるで命乞い」をするかのように手を伸ばすだろうか?
まさか、あの二人は姉弟ではなく?????
違う・・・・・。
と、なると自分の考えが正解であると。
竜 「次はオマエだ!!」
桜を蹴り飛ばし、真菜の眼前に。
何も持ってない掌を翳す。
竜 「ん!?」
手からメスが飛び出すはずだった・・・・・・。
竜の表情はそんな感じだった・・・・・。
やっと竜の腕を締め上げる黒糸が、止血をしたのである。
菜 「残念ね、アナタの能力は見切ったわ。」
竜 「なんだと?」
菜 「血液を刃物、もしくは金属に変える能力。」
竜 「さすがだな。」
菜 「アナタの腕の血色を見れば解るわ。 どうやって補っているかは解らないけど。」
竜 「さすがはナース・・・・・ってか?ヒャッヒャッヒャッ!!」
菜 (コイツ・・・・・私たちを「知っている。」・・・・・・。)
次の瞬間、真菜に蹴りが決まる。
どうやら能力無しでも、充分戦えるようだ。
真 「これが・・・・・闘い慣れた能力者なのか・・・・・。」
真は盾の後ろで、みちるを隠し、今は倒れた岱を引っ張っている。
なぜ、敵であるはずの脳噛商会を助けてるのか?
などという疑問すら浮かばなかった。
桜 「こいつ・・・・・。」
身を翻し、再び立ち上がろうとする桜。
が、ヒザが崩れ落ちる。
竜 「ああ、鎧なんだ、いくらでも隙間があるんだよなあ・・・・・。
例え、そんなガチガチの鎧でもな・・・・・。」
桜 「クッ・・・・・。」
自分でも知っている欠点を指摘され破れる屈辱。
そして、鎧の中を流れる・・・・・「違和感」
桜 「まさか・・・・・。」
竜 「ヒャッヒャッヒャッヒャッ!!そうさ、俺は触れているなら誰の血液でも金属に変えられる!!」
桜の鎧の中を流れる血液が・・・・・鉄条網になった。
桜 「あああああああああああっ!!」
真 「教授!!」
菜 「さて・・・・・・困ったわね・・・・・DCさん。」
そう、現時点で動けるのは、真菜と真だけであった。
真 「こ・・・・これは。」
口には出せないが、真の使用カードも残り一枚。
属性に沿えばある程度オールマイティではあるが・・・・・。
『王宮』の属性から何を生み出すか。
竜 「なんだこの糸は・・・・・取れねぇじゃねぇか・・・・・。」
真菜のもう一つの読みは、『腕』である。
腕や手、指から血を噴出はできる。
そして、手で触れた物にも能力は通じる。
だが、腕だけなのである。
緊縛した腕の黒糸は解れる事もなく食い込んでいる。
菜 「やるしかないのね・・・・・。」
真菜の黒糸が自分を刺す。
菜 「ウッ・・・・・・。
インジェクションモード!!(注射)
シュタイン!!(投薬)」
痛み止めか、点滴か、それは真菜にしか解らないが、
自分が充分に動けるだけの事はした。
菜 「アナタはまだ自分で戦えるわよね?」
真 「あ・・・ああ。」
真菜の十指から、黒糸が伸びる。
菜 「オペレーションモード!!(手術) スパイダー!!(蜘蛛の巣)」
黒糸が網目のように交差する。
それがいくつも重なり壁となる。
単純ではあるが、今は『打撃』しかない竜には充分だった。
菜 「ちょ、ちょっとアナタ、なんとかしなさいよ?」
真 「し、しかし・・・・・。」
竜 「ハァーーーーッ!!」
その単純な目の前の剛力な男は、筋肉の膨張で腕の黒糸を弾き飛ばした!!
菜 「あ・・・・・。」
竜 「さて・・・・・採血の時間は終わったかなぁ・・・・・?
ヒャッヒャッヒャッヒャッ、今度は・・・・・俺が手術してやるよ?」
血の流れの戻った腕を伝わり、掌でまたメスとなった。
菜 「万事休す・・・・・。」
瞬く間に蜘蛛の巣が斬り落とされていく。
咄嗟な状況に慣れていない真ではあったが、
一つだけ浮かんだ・・・・・。
真 「同じカードはできないが・・・・・一度限りだからこそ・・・・・なんでもできる。
『王宮魔法使いのポーション』を攻撃表示!!」
ローブを来た魔法使いが出現した。
手には、赤いポーションの瓶を持ってる。
菜 「賭けてみるわよ?」
真菜の黒糸が、そのポーションを吸う。
菜 「インジェクションモード!!(注射) シュタイン!!(投薬)」
そのポーションを竜の腕に刺す。
竜 「何を足掻いてやがる!!」
掌より数十のメスが発射される。
が、真菜にはなぜかダメージは無い。
菜 「あ・・・・あれ?」
真は散々にメスを浴びる。
真 「な・・・・なぜ・・・・・!?」
と、一瞬真菜の前で何かが一瞬光って、消えた。
岱 「こ・・・・・効果は・・・・・数秒だけなんでな・・・・・。」
みちるへの致命打を防いでいたのも、
『吊られた男』のカード 『犠牲の鏡』(サクリファイス・ミラー)の効果である。
菜 「そ、それって・・・・・。」
岱 「気をつけろ・・・・・我等の血すら・・・・・武器にされる・・・・・。」
対象の人物へのダメージを自分へと反射する能力である。
菜 「なぜ・・・・・。」
岱 「フン・・・・・肌が傷ついたと、医療費を経費にするだろうしな・・・・・。」
真菜は竜へと向かう。
菜 「こんな時に冗談を・・・・・それに、もう充分・・・・・。傷だらけですからっ!!」
至近距離からの攻撃が始まる。
竜 「最後だ・・・・・ナースさんよぉ。」
掌からメスが発射される!!
が、十数本で止まる・・・・・・。
真 「『王宮魔法使いのポーション』は、流れる血液を止める魔法の秘薬。」
竜 「な・・・なんだその、その場限りの能力は!?」
真 「その場限りだからこそ・・・・・なんでもできる。」
もう何も能力の残ってない真は、竜に体当たりをし、体勢を崩した。
真 「トドメを・・・・・。」
真菜が最後の攻撃へと向かった!!
続く。
ケ 「いやはや・・・戦闘タイプの方々は大変ですね。」
香 「社長も充分やったと思うけどなぁ・・・・・。」
ミ 「あーーーたーーーしーーーーもーーーー出ーーーーたーーーーーい!!」
マ 「だからって、こんなとこに出なくても・・・・・。」
それでも控えめなスワンとサヤも居るのだった。
ス 「うーん、もっと前に出ないとダメかな?」
サ 「なのですかねぇ・・・・・。」
マ 「とか言って、スワンさんの能力は『敵を磔にして火炙りにする能力』とかかも。」
サ 「え・・・・・うそっ!?」
ス 「だったら・・・・・・どうする?」
ミ 「ビクッ。」
マ 「ビクッ。」