CHANGE ∀ MIND
第33話
「血の海原」
ガイナガテア・ビル前
『海原を喰う顎』(マリン・ギャングスター)の攻撃を受けている警視庁チーム。
現れた巨大なタコのスミでフロントガラスの視界を遮られた。
鉄 「クソッ!!見えねぇ!!」
鉄也はすぐに窓を開け、前方を確認する。
鉄 「このタコ・・・・・。」
蛙 「車をひっくり返すのか・・・・・?」
運転の定まらないマイクロバスを転覆させるようだ。
凛 「『蒼き閃光の影絵』(シャドウ・ダンス)」
凛華が能力を発動した!!
頭上に青い光の玉が浮かぶ。
凛 「えーっと・・・・・。カニ!?」
海洋生物で、影絵ができるのが、カニしか思いつかなかったようである。
凛 「えーっと・・・・・。少し大きめでっ!!」
光源に近づく事で、影を大きくした。
巨大な影のカニが現れた。
蛙 「なるほど・・・・・。別に海に拘らなくてもいいような・・・。」
凛 「あ・・・・・。」
どうやら映像のような鮫にも、能力同士なら攻撃できるのか?
ひたすらにハサミで、口を突いているが致命傷にはならない。
要 「ん?どうやら、向こうも能力を使っているな・・・。
せめて、見えればいいんだけどな・・・・・。」
自分の操る海洋生物が攻撃されたり、人間に触れていれば解るようである。
ガイナガテア・ビルの屋上から見下ろしている要は
また、新しい攻撃を始める。
ちょうど凛華が居る反対側の窓から何かが飛んで来た!!
蛙 「マ・・・・・マグロ!?」
玄 「うわっ!!マグロだ!!」
マグロが数匹ロケットのように飛んでくる。
窓をブチ破るマグロ。
さらにマグロの弾丸が飛んでくる!!
1匹200・300kgはある弾丸である。
マイクロバスは横転した・・・・・。
鉄 「クッ・・・・・おい、皆大丈夫か!?」
なんとか4人は倒れた車の上に乗った。
鮫を凛華が抑えていたので、喰われずには済んだ・・・・・。
蛙 「どうやら、海の嵩で溺れるとかはないようだね・・・・・。」
鉄 「だが、イヤな予感もする、海には入らない方がいいのかもしれん。」
玄 「これで、俺の存在もバレてますね・・・・・。」
見上げたビルに人影がいる。
これで車内の人数を把握したであろう。
と、凛華のカニが鮫の口内を突き上げた!!
激しくもんどりうつ鮫。
玄 「おお!!やった!!」
凛 「解りました!!口の中が攻撃できるんですよ!!」
蛙 「そういう事か・・・・・。」
鉄 「ならば、拙者の鉄拳も見舞えるか!?」
蛙 「じゃ・・・・・アレに・・・・・。」
指差す先にはさっきのタコが居る。
鉄 「口・・・・・・。ドコだ・・・・・?」
少し逃げようとする鮫!!
トドメを刺そうとする凛華は車から一歩降りる。
蛙 「國玲君!!危険だ!!」
凛 「多分、大丈夫です・・・・・。今周囲に魚は居ません。
すぐ車に戻れます。」
玄 「國玲さん!!後ろの方に鮫が居る!!」
そう、結局1匹倒してもほぼ無限に出てくるのかもしれない。
それでも1匹倒して示す事は大事だと凛華は思った。
玄 「早く!!間に合わないよ!!」
凛華は見事に1匹にトドメを刺して逃げる。
手を伸ばす玄馬。
が、凛華の手が届かない。
玄 「國玲さん!!早く!!」
凛 「あ・・・・・足が!!」
蛙 「しまった・・・・・。海草までも・・・・・。」
凛華の足にワカメだか、藻だかの海草が巻きついている。
どうやら海草までも操れるようだ。
どこからともなく、1mの鋼鉄の定規を取り出す蛙岩。
蛙 「足を掴んでる間は斬れるのか・・・・・。」
口内共々、攻撃をする瞬間は実体化しているような物である。
だが、凛華の足は取れない。
玄 「鮫が!!」
どうにかできないのか、玄馬は思った。
だが、悔しくも解らない世界である「能力」は
そうそう漫画の様には目覚めない!!
気づけば、自分が鮫の口に飛び込んでいた!!
少しだけその顎に耐えてはいた。
玄 「警部!!國玲さんを!!」
海草を斬り、凛華を引っ張る。
気づいた鉄也が走り、鮫に攻撃をしようとする。
が、タコの足が両手に巻きつき思うように動けない。
鮫の顎が閉まっていく。
鋭い歯によって、そのまま玄馬は、黒い塊となって・・・・・・
散った・・・・・。
凛 「うわああああああああああああああああああ!!」
凛華の叫びだけが、その不思議な海原に響いた・・・・・。
鉄 「お、、、おい・・・・・。」
蛙 「なんてことだ・・・・・。」
鉄 「どこかに引き込むとかじゃなかったのか・・・・・。」
蛙 「なんなんだ・・・・・噛み殺す事が目的なのか・・・・・?」
玄馬の千切れた帽子が、海原に浮かぶ。
あまりのショックに凛華はその場に崩れる。
その隙を突かれて、凛華にも鮫が襲い掛かる!!
凛華もまた、鮫に飲み込まれてしまった。
鉄 「!!しまった!!」
蛙 「!!」
だが、何かさっきとは違う。
蛙 「!?」
鉄 「今のは、丸飲みだったな・・・・・。」
蛙 「ですね、血も全く出ていない・・・・・・。凛華さんは連れ去られた・・・・・。
それで間違いないですね。」
鉄 「だが、その分析で行くと、玄米は・・・・・。」
蛙 「・・・・・。」
さらに隙を突かれ、鉄也がタコにひっぱられ、海へと落ちていく。
蛙 「警部補!! しまった・・・・・いったい何をしてるんだ俺は。」
若くして警部になった蛙岩法人、彼の分析力と、判断力は
あらゆる場面で活躍していた。
だが、今回は敵の材料が少なすぎたのか・・・・・。
いまいち調子が出ない。
そして、鉄也はタコに締め付けられて行く。
だが、蛙岩にはそれを助ける『能力』が無い。
そして、辺りの海原が消えていった・・・・・。
元の草の生えた空き地になっている。
少し離れた所で鉄也が倒れている・・・・・。
生死は不明である・・・・・。
その海原の解除は、『上がって来い。』の意味であると理解した。
蛙岩は、ガイナガテア・ビルへと向かった。
この能力者を倒さねば、何も解決はしない・・・・・。
拳を握り締め、ビルを昇った。
続く。
蛙 「次回・・・・・。『禁止』・・・・・。」