CHANGE ∀ MIND

第16話
「絡み合う糸」









             酒場『ルイーダ』のビルの1F


              工事は別の会社に頼んで無事に始まった。

              廻りの状況を考えて、コンビニにすることが決まった。




             脳噛商会のビルの3F
              
              風月は悩んでいた。

              通常工事より安い分、頭金を貰う業者。

              無論その頭金を盗んで逃げるわけだが、
              無理矢理後払いにするのもおかしいし、もう遅い。


風 「ああ、ダメだ・・・・・。アジトを叩くしかないのか・・・・・。
    『メガ☆ラバ☆ショッピングモール』の開発地域に入れないものか・・・・・。」



              そのビルの階段を下りていく。


風 「脳噛商会か・・・・・。」



              ちょうど扉を開けて、岱が出て来る。
              一人の女性と共に。











              ゴチ。






              見事、風月の頭に扉がヒット。

















            脳噛商会

岱 「済まなかった・・・・・。」

風 「あ、いえ、私もボーッとしてたので。」

岱 「上の階は何も無いから、気にせず行動していたものでな。」




             と、怪我の治療を終えた真菜。

真 「大丈夫、ちょっと斬ってるだけよ。」

岱 「済まなかった。女性に傷を付けるなど具の骨頂。
    この借りはなんとしてでも返す。
    私にできる事なら、なんでも言ってくれ。」

風 「んじゃ・・・・・『メガ☆ラバ』への侵入・・・・・・。なんちゃって。」


岱 「ん?オマエも『メガ☆ラバ』へ行きたいのか?」
風 「オマエ『も』?」

岱 「いや、今ちょうど、こっちも色々あってな。」


             一緒に居た女性が口を開く。


  「あ、話しても構いませんよ。」




             その女性は『劇団バベル』の会長 矢尾南 啓弧(やおな・けいこ)

             来月オープンする『メガ☆ラバ』のオープニングイベントとしての
             催しを頼まれた、劇団である。


             だが、最近団員の様子がおかしかったりするのである。

             その『メガ☆ラバ』内に用意された特別の練習ステージで。


風 「おかしいとは・・・?」

啓 「いえ、まるで操られてる様な感じなんです。」



             ちょうど啓弧の携帯が鳴る。

啓 「あ、す、すみません。」

岱 「出ても構わない。」




             少し離れて携帯を取る。



啓 「なんですって!?」


             何かの驚愕の後、話を聞いてる啓弧。





啓 「すみません。」


岱 「どうした?」

啓 「その、様子のおかしかった人たちの口座が全額下ろされてると。」

風 「え?」
岱 「下ろされた時の・・・・・。」

啓 「ええ、防犯カメラの映像は・・・・・・・。




     本人だったと。」


岱 「傀儡か・・・・・?」
風 「ま、十中八九操り系能力者ね・・・・・。」


岱 「って、オマエもか。」
風 「そして、アナタもね。」
啓 「?????」



            それを見てた真菜も、頷く。

            真菜には能力者を見抜く力があるようだ。

            サイレンモード(警告) 『アイズ』:能力者が近くに居ると髪へ信号が走る。 

            少し拗ねた表情のみちるも居た。



風 「矢尾南さん、この2人に見覚えは?」


            と、写真を見せる。もちろん、近染拳と降内紗羅の2人である。

啓 「あ・・・・・。たまにお弁当とか差し入れてくれる人です。
     確か内装か何かの業者さんって聞いてます。」

風 「野郎・・・・・・内装も一応やってたのか・・・・・。」

            カードを2枚引いた岱。


岱 「フン・・・・・。『月』と『皇帝』か・・・・・。
     何か騙されたか・・・・・・?」



             軽く状況を説明する風月。

             その状況を把握して、含み笑いをする岱。



岱 「クソマズイ信念の凡愚が、また居たか・・・・・。
     面白い、オマエもやるか? えーっと・・・・・。」
風 「花鳥風月(かちょう・ふづき)・・・・・。風月で構わない。」

岱 「我が名は、脳噛岱。岱で構わない。」



             風月も軽く笑みを浮かべる。


風 「面白くなりそうな予感がする。」

岱 「奇遇だな。」




啓 「あの・・・・・どうしたらいいのでしょう?」


岱 「現場に行くしかないのか?」

啓 「劇団の団員くらいしか、入れてもらえませんが・・・・・。」


風 「ずっと変身するのも難しい・・・・・。
     アナタはあまりにも違和感があるし。」
岱 「どういう意味だ・・・・・。」




             と、後ろからやってくるみちる。


み 「私行きます!!新人って事でどうです?」
啓 「そうですね、年齢的にも大丈夫かと思いますが・・・・・・。
     なんか危険な感じがするんですけど・・・・・。」


真 「だから、ウチに依頼しに来たんじゃなくて?」
啓 「そ、そうですけど・・・・・。」



岱 「・・・・・・。よし、みちる行け。 事細かに状況は説明しろ。」
み 「ど、どうやって!?」

真 「私のインジェクション・フェアリーで盗聴するわ。」
み 「なるほど。」


岱 「我等は近くで車で待機するか・・・・・。風月行くか?」
風 「顔が割れてるから、変装して行くわ。」







             5人は車に乗る。



風 「な、なぜ私が荷物の場所に!?」

岱 「その箱に隠れて窓から外を見ておけ。」


             後部座席に岱と真菜は座る。



啓 「入先さん、よろしくです。」
み 「はいよっ☆」


             みちるは車を運転する。



み 「うーん。バオウも良いけど、今度ケッタモータースから発売するのも良いよ?」

真 「あら、そうなの?」



             みちるがTVを付けたらちょうどCMがやっていた。


み 「あ、コレコレ。」








   『重力を無視したような、なめらかな走り!! 新機構ワンウェイホイールロックシステム搭載!!
      ケッタモータース 『グラビレイ』 新登場!!』


岱 「また、儲かりそうだな・・・・・・。社長さんよ。」




             と、すぐに車をコンビニで止めるみちる。



み 「ん???あれ????まだ、工事中だった!?」


             そう、他でもないルイーダの1Fである。
             コンビニ『シャンパーニ』の看板が掲揚されている。


み 「ちぇっ、まだだった。」


風 「ここがウチのコンビニになるんだけどね。」

岱 「なるほど・・・・・。」





風 「あいつ等・・・・・絶対許さない!!」

真 「こ、、怖っ。」


             と、見に来ていた萌が居た。


萌 「あれ?風月ちゃん?どしたの?箱なんかに入って・・・・・。
     なんか拉致されてるっぽいけど。(笑)」

風 「あいつ等ブッちめに行く。」
萌 「えっ、んじゃ私も行くよ!!」



岱 「おいおい・・・・・。」



萌 「一緒に後ろ〜♪」



             萌は強引に風月と一緒に箱の中に。


萌 「なんか、オモシロっ♪」




岱 「って、お荷物になるだけじゃないのか?」


風 「ああ、『大丈夫』よ。」



             その『大丈夫』の意味はもちろん解っていた。


             ただ、啓弧だけは首を傾げていた。
















み 「絶対・・・・・私もあの高みに・・・・・・。」






             気合い充分のみちるの運転で、車は『メガ☆ラバ』へと向かった。























              続く。

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