CHANGE ∀ MIND
第15話
「追跡」
喫茶店『赤紙』
市内の喫茶店で、見積もりなどの打ち合わせをする。
だが、以前店に来た業者が顔を覚えている可能性を考え、
萌は能力の1つで、変身をする。
15分前の話。
萌 「風月ちゃんは、どうするの?」
風 「もう少し・・・・・。」
萌 「折り紙・・・・・・。」
なんと、『面』を折った。
命が吹き込まれ、人の顔になる。
風 「これで、変身完了。あまり表情を作れないが、問題ないだろう。」
萌 「いつも通・・・・・・な・・・なんでも無いよっ♪」
担当らしき人間がやってくる。
萌 「あの人だわ。もう1人は知らないけど・・・・・。」
担当者「近染 拳」(ちかぞめ・けん)
さらに「降内 紗羅」(ふれうち・さら)
拳 「それでは、見積もりの件進めさせてもらいます。」
と、書類を書きながら・・・・・
拳 「えっと、本店と言うのでしょうか?お店はどちらになりますか?」
『支店を出す』と言う設定でいってるので
それを聞いて来たのである。
風 (なぜだ・・・・・自分等が詐欺のくせに詐欺防止なのか?)
萌 「そこに明記してありますよ。」
と言われるが、なぜか拳がそれを読み上げる。
萌 「?」
風 「もしかして、目が・・・・・?」
拳 「そうなんですよ。彼女は目が少し悪いものでして。」
風月は考えていた。
風 (あきらかにおかしい。
なぜこの日のこの場に、盲目である彼女を?
考えろ・・・・・。
起こりうる事を・・・・・・。
耳・・・・・?
ママが前回電話した時の最初の電話の主・・・・・?
もし!仮に声紋を区別できるなら・・・・・。
そのためだけに電話に出ているのなら・・・・・。
ママの声紋は取られてる・・・・・。
この男がそれができるなら、私の声紋は取れている・・・・・。)
紗羅が携帯を取り出した。
風 (萌さんの変身は完全・・・・・・。私は声は無理・・・・・・。
『私は』バレていない・・・・・・。となると、狙いはママ!?
だが、ここで電話を止めさせるのもおかしい・・・・・。
ママ以外が出るか・・・・・。
それともママが・・・・・・。賭けるしかない。)
そこにある電話番号は風月が用意したその日だけの番号である。
転送業者関係を使うと、奴等とどこかで絡み合う場合も考えられ避けた。
そして、細かい対応ができるように、ママと苺に来てもらっている。
と、その電話が鳴り響く。
マ 「あら?意外と早いのね。(ダミ声)」
苺 「ど、、どうします?私が出ますか?」
マ 「そうねぇ・・・・・。(ダミ声)」
少し考え・・・・・。
マ 「あたくしが出ます。(ダミ声)」
轆轤 響(ろくろ・ひびき)
『貴婦人の鸚鵡』(セレブレティ・ヴォイス)
あらゆる声を出せる。声紋も変わる。
マ 「はい、もしもし!(ソプラノ声)」
ただ単純に声を覚えられてたらイヤだなと言うだけの事だったが
結果的にはうまく行った。
酒場『ルイーダ』との関連性を見抜けなかったのか、
そのままの契約となった。
拳 「それでは契約書にもある通り、一部だけ最初にお振込みお願いします。」
風 「解りました。」
どう考えてもおかしな話である。
おそらくバックなどはなく、チンケな集団だろうと風月は予想する。
風 (本部を突き止めれば、こっちのモノ・・・・・。)
もちろん渡した紙も、『折り紙』で作ったのである。
命を宿さずとも、位置は解る。
前回名刺を作ったのと同じである。
打ち合わせが終わってすぐ風月は神経を研ぎ澄ます。
萌 「どしたの?」
風 「仕込んだ『紙の発信機』が射程を超えないように追うわよ。」
萌 「え、今から?」
風 「あたりまえ!!
必ず・・・・・。
ブッ殺す!!」
萌 「は、、はい!!」
風月がドコとともなく歩きだす。
萌も着いて行く。
風 「徒歩なのか・・・・・まさか近場・・・・・。
それはまた堂々とした奴等だな・・・・・。」
その『紙』の行方は、駅の方へと。
風 「電車を使うのか・・・・・。良いのか悪いのか・・・・・。」
萌 「なんで?」
風 「車より追跡はしやすいが、車で足が着く事を恐れてなのか・・・・・?
それほど慎重にするのに、なぜ短期間であの地域を狙うのは
単純に売れ行きの期待できそうな立地だからか・・・・・。」
萌 「風月ちゃん。」
風 「ん?なんだ?」
萌 「いつもそんな感じ?」
風 「何がだ?」
萌 「なんか、殺伐としてるというか、カッコいいし頼れるんだけど。」
風 「ん?」
萌 「疲れない?」
風 「別に。」
萌 「そかそか・・・・・。ごめんね。」
風 「もっと、恋愛話に現をぬかした方がいいか?」
萌 「うーん。ちょっとね・・・・・。」
風 「これでも・・・・・ネイルとか相当凝ってるんだがな・・・・・・。」
小声で呟く風月であった。
いくつかの駅を過ぎ、気配が動き出した。
風 「降りるようだな・・・・・。」
車両は相当離れてるとはいえ、用心して降りる。
二人共変身は解いているが、
偶然発見されてもおかしくないような地域であることを願う。
風 「こ、、ここは『メガ☆ラバ☆ショッピングモール』建設区域・・・・・・。」
萌 「来年オープンの巨大ショッピングセンターね。」
風 「協賛企業にデザートカンパニーがあったような・・・・・。
考え過ぎだろうか・・・・・・。」
この駅で降りるのはさすがに怪しいので此処で断念した。
風 「次の手を考えねばな・・・・・・。」
そして、酒場に戻った二人であった。
マ 「おかえり!!(バリトン声)」
萌 「えっ!?」
風 「なにその声っ!?」
マ 「色々できるから調子に乗って遊んでたら、喉おかしくなったわ・・・・・。(バリトン声)」
苺 「ママ、そんな事ができるんですね。」
マ 「そ、そうね。(ダミ声) あ、戻ったわ。(ダミ声)」
とりあえず、有った状況を説明する。
マ 「なるほどねぇ・・・・・。(ダミ声)」
苺 「なんかよく解らないけど・・・・・。」
風 「大丈夫、次の手を考えてる。」
萌 「そうなんだ。」
風 「考えてるだけなんだけどなあ・・・・・・。(汗)」
続く。