CHANGE ∀ MIND

第07話
「沸いて出るゴールド」









             酒場ルイーダ
              電話を受けた鉄也が単身、ルイーダに乗り込む。


マ 「あら、いらっしゃい。(ダミ声)」

鉄 「カウンターで、いいか?」

マ 「風月ちゃんね。」



              鉄也はカウンターの端に座る。


              風月は何気なく前に立ち、餡蜜と言う名のカクテルを出す。

              一息に飲み鉄也は口を開く。


鉄 「おい、何を鑑定するんだ?」
風 「これ・・・・・。」


              差し出したのは金貨(?)どうにも違和感を感じたのである。

風 「ゴールドなんだけど、何か違和感があるの。」

鉄 「ふむ・・・・・。で?どこでコレを?」


              と、小声で詳細を話す。
              デザートカンパニーの事である。


鉄 「デザートカンパニー? どこかで聞いたような・・・・・。」

風 「そうなの?」


              時計を見てハッと、鉄也は携帯を取り出しTVをつける。

鉄 「これだ・・・・・。この通販番組。」



              元・噺家10代目恐怖亭饅頭こと、
              和樫 満次(わがし・みつぐ)25歳が司会を務める
              通販の番組だった。


              小さく少し聞き取りにくいが、風月は耳を近づける。




満 「さてさて、今日の商品もなかなかお買い得ですねっ、燈篭環さん。」



               と、紹介されたのは、燈篭環 真(とうろうかん・まこと)
               その商品を出す会社の幹部である。
               まだ21歳と言う若さながら、不気味なほどに冷静に説明する。


燈 「こちらも我が社の独自のルートで販売経路を持っております。
     24金の首飾りで御座います。」






風 「なんか、胡散臭いね。」
鉄 「まぁ、拙者は芸能人かなんかだと思ってたんだが・・・・・。」


風 「金・・・・・・ねぇ。」
鉄 「ま、この金貨は鑑識に廻す。」


風 「あ、でも一般人には解らないかもよ・・・・・。」
鉄 「能力解析する、能力者が欲しいな・・・・・。」


風 「心当たりなら、あるわよ?」
鉄 「そうなのか?」

風 「脳噛商会って言ったわ。たまにここに来るんだけど。
    DCと同じように黒いスーツの怪しい二人。」
鉄 「怪しい?」


風 「取締りの男の方はとにかく怖い感じ。どっか潜って来たような・・・・・。
    秘書は漆黒の髪と、キレイな肌をしていて・・・・・・。」
鉄 「うむ?






























風 「あんな秘書、私も欲しい・・・・・。」

鉄 「なんの話をしとるんだ・・・・・。」


風 「男の方がタロットを持っていたの。多分、アレが能力に関係してる。
    秘書の方は・・・・・。」












































風 「とにかく・・・・・色気が・・・・・。」

鉄 「オマエ・・・・・オッサンっぽいな。
    脳噛商会か・・・・・。探ってみるか・・・・・。」


             鉄は餡蜜を飲み干すと、金貨をポケットにしまった。











             翌日。

             鉄也は朝から気合いを入れて探していた。




鉄 「って・・・・・。ルイーダの近くにあるんだな・・・・・。」


             特に大きいとも言えない事務所だ。

             2階と、3階は何も無いようだ。



鉄 「國玲、そこで待ってろ。」

凛 「ハイ!!パピィと待ってます。」

鉄 「といいつつ、いつも居ないんだよな・・・・・。」
凛 「が、がんばります。」



             と、入り口の前に女性が座っている。


鉄 「ん?」


             脳噛商会に面接を希望した、入先みちるである。


み 「あ。留守みたいですよー。」

鉄 「君は何をしてるんだ?」

み 「私は今日お昼から面接なので、待ってます。」



             時計を見る鉄也。


鉄 「まだ、8時だぞ・・・・・。」

             留守なら仕方が無いので鉄也は諦めた。


み 「お。ワンちゃんだー。」

凛 「パピィって言うんですよ〜。」


             みちるが頭を撫でると嬉しそうに尻尾を振るパピィ。



鉄 「留守らしい。國玲、帰るぞ。」

凛 「え?あ・・・・ハィ!!」

み 「パピィちゃん、またね〜〜〜♪」



             と、警察署へ戻ろうとする。



鉄 「うーーーむ。デザートカンパニーでも調べるかな。」

凛 「デザカン!?」

鉄 「知ってるのか?」

凛 「ええ、深夜に通販してるじゃないですか〜〜〜〜。
    少々ダイエット食品に興味が・・・・・。」
鉄 「そんなもんに頼ってる時点でダメだろう?」
凛 「はぃ・・・・・。」



             小さくなる凛華。


鉄 「漢は黙って『アイアンブートキャンプ』。」
凛 「え・・・・・?なんですか?それ。」



鉄 「拙者が作った7日間集中エクササイズだ。」

凛 「警部補自身が作られたのですか・・・・・。」
鉄 「うむ。」


凛 「あ・・・・あは・・・・あはは。」






              ちょっと見てみたい気のした凛華だった・・・・・。


















             脳噛商会
              調べ物から戻った、真菜。

              入り口近くで居眠りしてるみちるを発見。

真 「そこのあなた・・・・・。」

み 「は!!あわわ!!ごめんなさいっ!!
    うわ、何時だろ!!何時だろ!!」

真 「10時24分ですわよ。」

み 「ありがとうございますです!!」


真 「なんでこんな所で寝てるのよ?(笑)」

み 「いえ。ちょっと早起きしすぎただけなんです。」

真 「あれ?もしかして、面接の子?」


               と、言われふと気づく。

み 「脳噛商会の方でした!?」

真 「ええ。うちは二人しか居ないから。私は秘書をやってるけど。」

み 「どーん!!こんな美人秘書が居るなんて・・・・・・。」

真 「あらま。」






               そして、岱も戻る。


岱 「ん?ああ、面接は今日だったか。」

み 「おはようございますです!!」



               昼の予定だったが、とりあえず中に案内される。





岱 「とりあえず、飯食ってからだ。それまで待っていろ。」

真 「出前取るのかしら?」

岱 「そろそろ飽きたけど、まぁ、いいか・・・・・。」




み 「あ、じゃ、私作りますよ〜〜〜♪
    たらこスパなら、すぐ出来ますよっ!!」
真 「あら、うち材料無いけど・・・・・。」


み 「大丈夫ですっ!!ちょうどカバンに入ってるんですっ!!



             本当にカバンから出てくる。


真 「な、、、なんで?」

岱 「ふむ・・・・・。よし、採用だ!!」


真 「あはははは・・・・・・って、えええええ!?」

み 「えっ?」




岱 「とりあえず、雑用しか思いつかないだろう?」
真 「うーん・・・・・。確かに掃除とかしてくれるだけでありがたいけど。」

岱 「とりあえず、雑用だがいいか?」

み 「全然OKです。頑張りますです。」

真 「でも、どうしてうちなんかを?」



             少し悩んで答える。


み 「うーん。なんとなく・・・・・・です。」


岱 「ふむ・・・・・。おい、これが『見える』か?」



             『魔人の千里眼』派生。
             タロットカード『運命の輪』:『ディスティニーリング』

             カードの上に指輪の映像が浮かぶ。
             ただし、能力者にしか見えない。


み 「カードですか?」

岱 「・・・・・。」


             どうやらカードしか見えていないようだ。

             能力を持たないか、まだ覚醒していない。


真 「まぁ、とりあえず。入社おめでとうかな?」
み 「わーぃ!!ありがとうございます!!」


岱 「最初の任務だ・・・・・食事を作れ。」

み 「解りました。えっと・・・・・社長?」

岱 「社長・・・・・・って。」

み 「社長じゃないですか?」


岱 「名前で構わん。『社長』以外なら好きに呼べ。」

み 「解りました。」


真 「私にもそう言ったわね。岱。」



             たまにわざと『社長』と呼んでみせるが、
             冗談か、取引先だけである。
             基本社内では名前で呼んでいる。


             みちるは給仕室へと入っていった。


真 「結構、助かるかも。」

岱 「給料は、適当に決めておけ・・・・・。」
真 「はいはい。」


             と、岱の携帯が鳴った。


岱 「どうした?何か掴めたか?」


             何処からの情報かは知らないが、
             デザートカンパニーに関してであった。

             どうやら、大きな画商やら、美術館や博物館を経営してる会社の系列らしい。

             そして、なぜか『金(ゴールド)』を『金(マネー)』にかえる事があるらしい。



岱 「金(ゴールド)か・・・・・。解った、そのまま調べてくれ。」


真 「あら?解ったの?」

岱 「まだ朧気だがな。DCが何かやってる事は確かだ・・・・・。
    だが、どこを調べればいいのやら・・・・・。」

真 「そうね・・・・・。」









              そして、三者が、『黄金』からまた糸を紡ごうとしている。






              デザートカンパニーの狙いとは?





              続く。

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