CHANGE ∀ MIND

第06話
「辿り着く糸」









             脳噛商会
             時間は、11時辺り。

             時計を見ながら真菜が席を立つ。


真 「そろそろ・・・1時間かしら。」


             真菜はフライパンを握りしめ、岱の部屋へと行く・・・・・。



             と、岱が部屋から出てきた。


真 「あら?自分で起きたの?」

岱 「なにやら、殺気のようなものを感じた気が・・・・・。」
真 「変な夢でも見たんじゃないの?」


             すぐに上着を取り、車のキーを持つ。

岱 「行くぞ。」

真 「ちょっと、私まだご飯食べてないんだけど・・・・・?」

岱 「すぐに終わる。その後好きなだけ頼めばいい。」
真 「ほんと?じゃあ、いいわよ。」




             二人は車に乗る。

             車種はケッタモータース(KM)の『バオウ』。
             なぜかガソリンが少なくなるとパワーを発揮する・・・・・。




             車を走らせて、すぐに何かを感じた。

             岱、真菜共に・・・。


             その不思議な感覚は近づいているかのように
             大きくなってきた・・・・・。



岱 「な、なんだ?地震か?」
真 「何か・・・・・変な・・・・・感じ。」


             
             車を停め、外に出る。

             地響きと共にその感覚はやって来たが、
             そのまま通り過ぎて行った・・・・・。


真 「なんだか、象でも走ってたのかしら?」

岱 「!!」



             岱が異変に気づいた・・・・・。

             車のミラーがもぎ取られていた・・・・・。


岱 「な・・・・・いつの間に?」

             それを見た真菜も、驚愕した。


真 「ね、ねぇ岱。こ・・・・・これ・・・・・怪獣とか恐竜みたいな・・・・・。」

岱 「どんな大胆な『能力』だ・・・・・。」

真 「何かが起こってる事は確かね・・・・・。」




             岱の引いたカードは『力』と『隠者』だった。


岱 「しょうがねぇな・・・・・。確か工場あったよな・・・・・。」



             ケッタモータースへとすぐに向かう。





岱 「ん?誰も居ないのか?」
真 「お昼ご飯じゃないかしら?」


             事務所の扉を開ける。



             ちょうど、蹴田社長と玉山が話してる所だった。


岱 「緊急でミラー直してほしいんだが?」


蹴 「あ、ハイ!!ただいまっ!!」

岱 「ん?蹴田社長・・・・・?」
蹴 「これは、脳噛様。」



             他の従業員が昼飯だと言うので、
             蹴田社長自らが修理をしている。

真 「ごめんなさいね。社長さんにやってもらうなんて。」

蹴 「いえいえ、こんな機会滅多に無いですから。
    私、こういうの好きですから。」



             もぎ取られたミラーを修理しながら。


玉 「もしかして、デザートカンパニーの方ですか?」
真 「デザートカンパニー?」


玉 「ああ、すみません。黒いスーツだったもので・・・・・。」

岱 「デザートカンパニー・・・・・?」

玉 「ええ、最近修理に来た会社の方々なんですけど、
    車好きなんで、工場内を見せて欲しいって。」

真 「私どもは『脳噛商会』ですよ。
     どんなご依頼でも解決させていただきます♪」



             真菜は名刺を渡した。


玉 「おお、取締役の方でしたか。
     謎・・・・・解決・・・・・。」

岱 「社員は二人だけどな・・・・・。」





             突然蹴田の動きが止まる。


蹴 「こ、、、、これは!?」



             車にあった爪痕である。


岱 「ああ・・・・。まぁ、気にしない方がいい。」


蹴 「この『謎』も解決してくれますか・・・・・?」

岱 「謎・・・・・?」



             蹴田、玉山に案内された機械と壁に見える爪痕。


真 「こ、、これは車と同じ・・・・・。」






岱 「うっ・・・・・・・・・・・・。」

蹴 「ど、、どうしました?」



             さっきのタロット『力』と『隠者』を出す。


岱 「見えた・・・・・。真菜!デザートカンパニーを調べろ。」

玉 「デザートカンパニー・・・・・って・・・・・。」
蹴 「この事件・・・・・。確かにあの翌日だ・・・・・。」



岱 「とりあえず、高速で車は修理してくれ。
     解決への道も消えるぞ?」

蹴 「わ、解りました。玉山君、急ぎますよ!!」




真 「現地も調べた方がいいのかしら?」

岱 「ああ、できる所まで行け。」

真 「また、髪の毛斬らなきゃいけないのかしら?」

岱 「トリートメント代くらい、経費で落としてやるよ・・・・・。」
真 「ご飯代もね?」

岱 「解ったから早くしろ。」




             そして真菜はタクシーで事務所へと戻った。





岱 「ん?ルイーダが・・・・・すぐ近くだったのか・・・・・。」

















             酒場ルイーダ
             連日来店する、デザートカンパニー(DC)。

マ 「来てくれるのはいいんだけどねぇ。(ダミ声)」


             ママに苦情を訴えるのは、「漣 苺(さざなみ・いちご)」、「拝神 萌(おがみ・もえ)」

苺 「あの人接客したくない・・・・・。」
萌 「私も・・・・・。なんか態度デカイし。」

マ 「まぁ、気持ちは解るけど、お客様なのよ。(ダミ声)」



風 (あの若さで連日呑み・・・・・。何か大きな資金源・・・・・。となると、DC事態が・・・・?
     でも、そんな企業ならもっと耳に入ってもいいはず・・・・・。そして能力者・・・・・。)



             少し考え、風月がママに言う。

風 「私がつきます・・・・・。」




             それを聞いてホッとする苺と萌。


             風月が注文品を持っていく。
             メルと呼ばれた女、「城戸 芽瑠(きど・める)」は携帯らしき物をいじってる。

             踏ん反り返る男、「富虎 砂縛(とみとら・さばく)」
             皆から「バク」と呼ばれてる。

             「参 由香(まいり・ゆか)」は、持参したペットボトルを転がしている。

             「室樽 梨夢(むろたる・りむ)」は、金色のコインを積んで遊んでいる。




風 (な・・・・なんだこいつら・・・・・殴りたい・・・・・。)

バ 「おい、女。とにかく高い酒をもってこい。」

風 (なんてか・・・・・『それが偉い』と勘違いした、ガキのような頼み方ね・・・・・。)


            少し笑いを堪え、風月はボトルを持ってくる。

風 「お持ちしました。」

バ 「呑んでもいいぞ?」

風 (フッ・・・・・子供のくせに・・・・・。)


            ガキっぷりに笑いを堪えるので必死ながらも。

風 「あら、私、底無しですから・・・・・。」

リ 「そうなんだ〜。バク、勝負しちゃえー。」
メ 「アッハッハッハ。おもしろ〜ぃ。」


風 (勘弁してよ・・・・・何処が面白いんだか・・・・・。)



バ 「ほら、呑めよ。」


            と、「度数の高い酒はウォッカ」という子供の知識で出したウォッカ。

            だが、さすがの風月もこれを一気に全部呑んだら無事では済まない。


風 「仕方ないな・・・・・。」


            と、折り紙で作った小さな『枡』を口の中に隠す。

            その『枡』が酒をどんどん吸い込んでいく。



            花鳥 風月(かちょう・ふづき)
            能力名 『創造する光と闇』 (ソリッド・ファンタジスタ)
            折り紙で折ったものに命を吹き込む。
            白と黒の2種類の紙があるようだ。

           

風 「ごちそうさまでした。」

バ 「なかなか、面白いな・・・・・。」




            まさか、バレた?

            風月はそう思ったが、微妙な様子。

            できれば、この4人の能力も把握しておきたい所だが・・・・・。



風 (それぞれの持ち物・・・・・ペットボトル・・・・・携帯・・・・・コイン?)



            見回す風月を変に思ったのだろうか?

バ 「どうした?何か珍しいものでもあったのか?」

風 「あ、いえ、金貨を初めて見たものですから・・・・・。」



            咄嗟に答える風月。

            そう言われ、リムは少し不思議そうな顔をしてたが、
            その金貨を風月に投げた。


リ 「チップ・・・・・あげるよ。」

風 「え?こんな高い物をですか?」

リ 「んー、まぁ、本物の金ってわけでも・・・・・。」
バ 「リム・・・・・。余計な事を言うな・・・・・。」


             リムの話を途切めた。


リ 「はーーーーぃ。」


             少し膨れてリムは黙った。


風 (どういう事だ・・・・・。金を精巧に作る技術って事なのか・・・・・?
    これを私に渡してもバレないとでも・・・・・?)




             途中で、タバコの包み紙と自分のマインドの両方で折鶴を折った。
             鶴にはあえて命は吹き込まなかった。


             そのうち、マインドで折った鶴の存在を目で追った者が能力者。
             そう、『能力者にしか見えない鶴』を折ることも可能なのである。
             それが『黒い紙』で折った方である。
             
             以前、トイレにこっそり置いていたのも、黒い紙の折鶴である。


             結局の今日解った事は・・・・・。






風 (コイツら・・・・・ウザイ・・・・・。)

             と、いった所だろう。


             そして、閉店後にロクロママに4人の詳細を伝える。


マ 「そう・・・・・。じゃあ、『あの能力』ではないのね・・・・・。(ダミ声)」
風 「ええ、でも、何かよからぬ事を考えてるような気がする。」

マ 「それは解るわ・・・・・。(ダミ声)」




             風月はその後、電話をかけた。






風 『あ、私だけど?ちょっと鑑定して欲しい物があるんだけどな・・・・・。』















             そしてまた一夜明けていくのであった・・・・・。


























             脳噛商会
             自室で寝てしまった真菜。

             岱は一人、その調べて来た書類を見ている。



岱 「写真を見る限りじゃ、ペットボトルくらいしか解らないか・・・・・。」



             太陽が顔を出す頃、窓の外を見る。



             ふと、机に視線を戻すと2枚の領収書が。



岱 「女ってのはどうして、髪にそこまで金をかけるもんなんだ・・・・・。」







             美容室での、許可したトリートメント代である。

岱 「ま、あの髪なら構わんか・・・・・。」




             もう一つの出前の領収書を見る。

































岱 「26万円・・・・・!?どれだけ食べたんだ・・・・・アイツ。」
























             ちょうどその頃に、風月の電話を受けたのが鉄也だった。

鉄 「ああ、解った。今夜、そっちへ行く。」



凛 「ん?あれ?警部補・・・・・もしかして奥さんですか?」

鉄 「な!?拙者にそんなものはおらん。」

凛 「あらっ。」


             数秒考えて、鉄也は言う。


鉄 「國玲、玄米共々今夜空いてないか?」



凛 「えーっと、今日は同期の杏ちゃんとご飯の約束が・・・・・。」


鉄 「うーむ、そうか・・・・・。」


             


             ルイーダ・脳噛商会・警視庁がそれぞれの方向から


             デザートカンパニーに辿り着いて行く・・・・・。







             続く。

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