CHANGE ∀ MIND

第05話
「忍び寄る爪」









             ケッタモータース・支店工場

              何やら、窓ガラスが割られて居たとの事で警察が来ていた。
              工場長・玉山由智が事情聴取を受けていた。


              一通りの事情を聞き、現場を見渡す。


鉄 「なるほど・・・・・。ご協力ありがとうございました。」
玉 「いえいえ、ご苦労様です。」


鉄 「ま、鉄製品の盗みに入ったが・・・・・思いのほか大物だったと・・・・・。
    って、玄米!!聞いてるのかっ!!」


               と、警部補・鉄漢音鉄也(てっかんのん・てつや)に怒鳴られるのは
               新人巡査・五刻玄馬(ごこく・げんま)21歳である。

玄 「聞いてますっ!!ですが警部補、俺は『玄米』じゃなくて、『玄馬』ですよ。」
鉄 「新米の玄馬で、『玄米』・・・・・。」

玄 「結構むちゃくちゃですね。」
鉄 「國玲はどこいった!?」

玄 「國玲さんは・・・・・。どこでしょう?」



               その頃確か一緒に来たはずの、
               新人婦警・國玲凛華(こくりょう・りんか)24歳は・・・・・。














凛 「わわわわ・・・・ちょっと待ってよ〜〜〜パピィ!!」


               警察犬パピィを追いかけていた。






               うっかりロープを離したら走っていったのである。

凛 「ハァ〜〜〜。やっと捕まえた・・・・って何してるのよ。」


               と、パピィが来たのはタコ焼き屋の前。

凛 「はっ!!ここは、創業400年とも噂の高い『タコ焼きちーち』じゃないですかっ。
     どうやら、その鼻は本物のようですね・・・・・って違う!!」


               パピィにロープを繋げ、工場に向かう。


凛 「あれ?ここ、定休日は無かったはずだよね・・・・・。
    でも、焼いてる匂いはするなあ・・・・・。」


               実はちょっと買い食いしたかった凛華であった。

               勤務中だと言う自覚があるのかは謎だ。




               戻ると、工場の前で鉄也が腕組みをして立って居た。




               なんとなく・・・・・やばい?





鉄 「國玲!!ドコいってたんだ!!」
凛 「す、すみません・・・・・。パピィがちょっと逃げちゃったもんで・・・・・。
    あ、でも警部補の好きな餡蜜缶ジュース見つけちゃいましたよ。」

鉄 「なっ!!ま、、まぁ、いいか。」


玄 「わ、、、國玲さん、賄賂で逮捕しますよ・・・・・。」
凛 「え?(汗)」



               署から近いということで徒歩で来た三人。

鉄 「しかし、金属窃盗が多いな・・・・・。どうせ盗むなら金(きん)でも・・・・・。
    こうあっちこっちやられても正直防ぐのは難しいな・・・・・。
    しかしやらねば・・・・・。あのエリート警部にも・・・・・ぶつぶつ。」
凛 「エリート警部?」

玄 「警部は警部補より若くして警部になった皮肉を込めて言ってるんだと思うよ。」



鉄 「おまえら・・・・・。それを口に出して言うな・・・・・。」
凛 「あ、警部!!おはようございます。」

鉄 「な、、なにいいいいいいいい!!警部っ、おはようござ・・・・・・ん?」


凛 「う、嘘です・・・・・。」

鉄 「國玲・・・・・ちょっと来い。」

凛 「い、いやです・・・・・。」

              パピィを引っ張って逃げる凛華であった。




玄 「よしっ!!俺も目指すは警視総監かっ!!」










             と、鉄也たちの帰った後の工場で、工場員の一人が玉山に
             少し暗そうな表情で伝える。


員 「工場長・・・・・このガラスの傷というか・・・・。」
玉 「ああ・・・・・やっぱりそう見える?」

員 「恐竜みたいな爪痕・・・・・ってまさか・・・・・ねぇ。」

玉 「偶然付いたんだろうな・・・・・。多分。」

員 「こっち・・・・・噛み付いたような痕も・・・・・そう見えるだけですよね。」

玉 「だと・・・・思いたい・・・・・。」













              黒須署

鉄 「暑いっ、喉が渇くなーっ。」

玄 「餡蜜飲むから余計に・・・・・。」



             と、鉄也を呼ぶのは警部・蛙岩法人(かえるいわ・ほうと)26歳。

             鉄曰くエリート警部。


蛙 「鉄漢音警部補、ちょっといいかな?」
鉄 「はっ、只今!!警部!!」


             別室に呼ばれる鉄。


蛙 「最近、車など大型の物も盗まれる事件が多い。
     どれも金属窃盗かと思われる。」
鉄 「拙者もそう思ってますが。」

蛙 「十中八九・・・・・。【能力者】かと。」
鉄 「と、言う事は我々の担当になりますな?」

蛙 「そうだな・・・・・。で、あの新人二人で良かったのかと・・・。」
鉄 「拙者のセンサーが何やら。それに試験もパスしたわけですし。」

蛙 「その辺は任せる。」
鉄 「応!!」






              試験の際に、能力者を見切る何かがあったのだろうか?

              どうやら、凛華・玄馬をそこに配属したのは鉄也の仕業のようだ・・・・・。





              そして、会話から蛙警部と、鉄也も能力者のようだ・・・・・。



              と、鉄也の携帯が鳴る。


鉄 「もしもし、拙者だ。どうした?」














              酒場ルイーダ
マ 「風月ちゃん?(ダミ声)」

風 「あ、すみませんママ。ちょっと緊急の電話が・・・・・。」

マ 「それはいいのよ。何か怪しい客がいるのよ。(ダミ声)」
風 「怪しい?????」



             ロクロママの言うテーブルには、黒いスーツを来た四人。

             だが、まだ若い。

             20代前半だと思われる。


か 「あの歳で・・・・・あんなにボトルを・・・・・。」

マ 「それも別にいいのよ・・・・・。ただ・・・・・。(ダミ声)」



             ママはくしゃくしゃになった折鶴を見せた。

マ 「洗面所に置いてあったコレ・・・・・。潰されてるの。(ダミ声)」








風 「能力者か・・・・・。」
マ 「みたいね・・・・・。」

風 「その鶴は・・・・・男子トイレ・・・・・。
    あの4人で男は1人・・・・・。」




マ 「デザートカンパニーとか名乗ってたわ・・・・・。(ダミ声)」

風 「デザートカンパニー(DC)・・・・・?何屋さん?」
マ 「なんでも屋・・・・・かしら?(ダミ声)」


風 「なんでも屋・・・・・黒服・・・・・。」








             黒服のDC4人。

             富虎 砂縛(とみとら さばく)
             城戸 芽瑠(きど める)
             参 由香 (まいり ゆか)
             室樽 梨夢 (むろたる りむ)

             全員20〜25辺りと思われる、今時の若者で一蹴されそうな4人。

             富虎はどうにもナマイキそうな奴だと、風月は思った・・・・・。



















             脳噛商会
真 「ただいま。」

岱 「ああ。」


真 「あら?食事まだだったの?」
岱 「色々調べ物があってな。」

真 「またカップメン?身体に悪いわよ?」
岱 「めんどくせぇ・・・・・。


             真は菜机の上の書類に気づく。

真 「なにこれ?履歴書・・・・・・?『入先みちる』・・・・・21歳・・・・。若いわね・・・・・。」


岱 「どこでウチを知ったのか知らんが・・・・・入社希望ってな。」

真 「ふーーーん。入れるんだ?」


             ちょっと真菜の視線が痛い。


岱 「まだ何も決めてはおらん。私とオマエの二人しかいないんだ。
    私だけで決めてもよくないだろ。」
真 「別にいいけど・・・・・。
     あら?その箸、使ってくれてるのね?」


             と、岱が今使ってるちょっと細めの木製の箸。

             以前、真菜が外国旅行行った時の土産である。

岱 「たまたまだろ・・・・・。」



真 「目の前に割り箸はあるんだけどな・・・・・。」



             食べ終わった容器をゴミ箱に投げ、箸を洗う。





岱 「せっかくの『信念』だからな・・・・・。
     また、来週、その女が面接に来るはずだ、オマエも『見極めてくれ』。」
真 「はぃはぃ。」

岱 「少し寝る・・・・・。1時間で起こしてくれ。」

真 「ちょ・・・・・私はアナタの奥さんじゃなくってよ?」



岱 「業務命令だ・・・・・。」







             自分の部屋へと行く岱。

             大きくため息をつき、真菜は履歴書を見た。




真 「能力者同士は魅かれあう・・・・・のはセオリーよね・・・・・。」









             そして、紅茶のための湯を沸かしに行ったのであった・・・・・。

















             続く。

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