CHANGE ∀ MIND

第04話
「EVER SNOW」









             晴れたある日、二人の女性が食事をしていた。

             バンド『EVER SNOW』の
             ボーカル:諏訪雲 白奈(通称スワン)
             と、キーボード:羽桔 沙夜(通称サヤ)だった。

             実はメインメンバーがずっと二人だったのだが、
             毎回ヘルプでドラムなどを入れてるのもキツくなったのである。


             ちなみにメジャーデビューはしてないが、
             充分、曲は売れているのである。


ス 「どこかに居ないかなぁ・・・。」
サ 「そうですね・・・・・。でも、一緒にやっていきたいって思える人がいいですねぇ。」
ス 「それは最低条件だよね・・・。経験あれば助かるけど。」

             

サ 「最近、仕事ばかりだから、気晴らしにカラオケ行きません?」
ス 「そうね。たまにはいいかもね。」



             二人は食事を終え、カラオケに行く事にした。









             すぐ近くのカラオケ屋に行く。
             だが、日曜日と言う事で昼にも関わらず満員なのだろう。

             店員の、「猫野 まどか」がひたすらに謝っている。

マ 「ごめんなさい。只今満員なんですっ!!」

サ 「そんなに謝らなくても店員さんが悪いんじゃないし・・・・・。」
マ 「ごめんなさい。」



             ロビーの横で鼻歌交じりに妙なエクササイズを踊ってる女性が一人。

             彼女も順番待ちなんだろうか?

             彼女の名は「雪眞 美奈」(ゆきま・みな)
             一人カラオケをヤル気満々のようだ。


美 「♪〜♪〜気持ち〜伝え〜るこの歌〜〜〜で〜〜〜♪」

サ 「どうします?待ちます?」
ス 「そうね、特にする事もないし。」


             と、踊る美奈の横の椅子に腰掛ける二人。

             サヤはこんな場所で踊る彼女を不思議がったが、
             音楽が好きなんだな・・・と納得させていた。



             満員ではあるが、注文もなければ、片付けもなければ
             特にやることのなかったマドカ。


             ふと、スワンとサヤを見て・・・首を傾げる。


マ 「あれ?????もしかしてっ!!EVER SNOW・・・・・。」



             そう言われ、二人がドキッとする。

ス 「ほら・・・サヤちゃんが変装しないから・・・・・。」
サ 「スワンさんのサングラスも逆に怪しいですよぅ・・・・・。」

マ 「ほ・・・・・本物だ・・・・・!!」


             と、二人の前に行くマドカを見ていた、美奈。


美 「ああああああああああああああああああああああああ!!」


             気づいた様子。


美 「本物だ〜〜〜〜〜!!」

ス 「し〜〜〜〜〜っ!!」

             と、ちょうど部屋が空く時間となった。

             知らせるアラームがマドカを呼ぶ。


             少しして、会計に来る客。


             ちょっと顔を背けるスワンとサヤ。


ス 「い、意外に知られてるのね・・・・・。」
サ 「結構・・・・・CDは出してますけどね・・・・・。」



             会計を済ませ、片付け終了を確認。
             リモコン、おしぼりを持ち、

マ 「次のお待ちの「雪眞様」〜〜〜〜。」
美 「ハイ!ハイ!」



             と、案内され、部屋に向かう・・・・・・。


美 「あのっ、もしよかったらアタシと一緒に歌いませんかっ!!」


             遠くから振り返り訴える美奈。


サ 「えっ?」
ス 「私たち?」

美 「以外に誰がっ!!」



ス 「うーん・・・・・。まぁ、いっか?」
サ 「だね。」

美 「やっほーぃ!!」


             微妙な流れで、一緒に歌う事になった3人。

             ちょっとマドカが羨ましそうなのは秘密である。


             入るなり自分の歌う曲の番号を速攻いれる美奈。

美 「ふんふんふ〜ん♪」

             そして、曲目の書かれた本を二人に渡す。

美 「さぁ、どんどん歌って頂戴!!あ、持ち歌はダメだからね♪
    CDで死ぬほど聴いたからね〜〜〜♪」
サ 「あは♪」


ス 「そうね。何かはっちゃけるような歌が良いかな。」





             しばらくして、スワンが歌っていた時の事だった。

             いつもなんでも無いスワンの歌の、所々に何か感じるサヤ。

サ (ん?な、、なんだろう?この感じ・・・・・。)

美 「はいはいはいはい!サヤさんも歌うのーっ!!」



             その調子で2時間が過ぎる。

             飲み物を持ってきたのは、マドカだった。
             特に対応は普通だが、明らかに羨ましそう。


美 「ねぇねぇ、お姉さん仕事いつ終わるの?」

マ 「私ですか?あと10分ほどで帰りますが?」

美 「んじゃ、待ってるからね♪」

マ 「えっ?」


美 「別に終わったならいいでしょ?こんな空間滅多に味わえないよっ!!」
マ 「あ、はい!」


ス 「待ってるよっ!!」
サ 「待ってますよ〜。」

マ 「ありがとうございます!!」



              そして、20分後に申し訳なさそうに入ってくるマドカ。

マ 「あ、あのっ、よろしくお願いしますっ!!」





              そのままのノリで、さらに1時間が過ぎる。

              マドカは『EVER SNOW』の歌を間近で聴けて嬉しそうである。
              美奈は、その空間まるごと楽しんでるようである。

              結構マイクを離さなかったりする。



マ 「私、歌がヘタでごめんなさい・・・・・。」


サ 「そんな事ないと思うけどなあ。」

ス 「言葉一つ一つに想いが乗ってる気がするかな。」
マ 「この歌、好きなんですよ〜♪」



美 「ノリですよ、ノリ。(笑)」



               タイプは違えど、皆歌を楽しんでいた。





               そんな楽しい時間も過ぎていった。



サ 「うわ・・・8時間も居たんだ・・・・・。」

               もう空は暗い。

美 「あわわ・・・・・なんか巻き込んでごべんなざい・・・・・。」
ス 「ううん、すっごく楽しかった!!」
サ 「うんうん。最高だったよ〜。良かったらまた行きましょう〜〜〜。」

マ 「私はご一緒できただけで感激です。」









                そして、次の歯車のかみ合いは、

                そんなに遠くない日だった・・・・・。






                こないだ携帯番号を交換していて、
                美奈がまたカラオケに呼ばれたのである。


                マドカのシフトに合わせてである。


                そして、今日は最初の曲が『EVER SNOW』の持ち歌である。

                目の前で聴けた事に感動するマドカと美奈。


美 「すごぃ・・・・・プロってすごぃ・・・・・。」
マ 「ああ、私涙出てきました・・・・・。」

ス 「実質二人でやってる事が多かったからね。」
サ 「そうですね・・・・・。バックヴォーカルも私だけですし。」


美 「何か、もったいないなあ・・・・・。」
マ 「そうですね、固定メンバーは入れたりしないんですか?」



                少し、スワンは笑って答える。

ス 「うん、そのうち入れるつもり。」

サ 「えっ!!」


                驚いたのはサヤだった。

サ 「そうなの!?」

ス 「あ、いや、見つけてもすぐOKとかじゃないでしょ?
     やりたい人見つけてから、色々合わせてみて判断しなきゃ。
     その行動に移すって事だよ。」
サ 「ああ、そっか〜。」






                そしてすぐ。


ス 「ねぇ、二人共・・・・・。一緒にやらない?」


マ 「えっ?」
美 「えええええええええええええええ?」

サ 「なるほど・・・・。」



                そんな突拍子も無い誘いに驚く二人。


マ 「そ、、そんな私なんかに・・・・・。」

美 「アタシの美貌ならいいかもだけど(嘘)・・・・・って・・・・・ホントに?」



ス 「私は一緒にやったら面白いかなって・・・・・。」
サ 「うんうん。なんか「合う」よね。」


マ 「私もですか?美奈さんは上手だと思いますけど・・・・・。」



サ 「マドカさんの歌は、確かに声量も少ないけど、何か伝わる物がある。」
ス 「そうね。美奈ちゃんは、ちょっと歌いなれてる分良いとこもあるけど、悪いとこもある。」

美 「ほぇー。」



ス 「とりあえず、一回でもいいから一緒にやってみない?」

美 「あたしはやるよっ!!こんなチャンス絶対一生無いもん!!」
マ 「え・・・・・えーっと。」

美 「別に正式メンバーになれじゃないよ〜、あの『EVER SNOW』と
     一緒に歌えるんだよ?????」
マ 「そ、、そうですね。や、、、やってみます!!」



                良い返事に喜ぶ二人。
                そして、名刺のような物を渡して、日時を伝えた。



マ 「わ・・・わ・・・・ありがとうございます。必ず行きます。」
美 「アタシも全ての用事よりも優先するぅ!!(笑)」












                少しだけでも、何かが変わる気がする・・・・・。














                ただ、そう思っただけだった。








                色は集まり、交じり合い、深まって行く・・・・・。










                スワンと、サヤの中にも新しい道が生まれた。


                そして、覚醒めたのは・・・・・それだけではなかった・・・・・。


















                続く。

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