ST:71
「正しき誤り!?」











              
              プリッツが見た、母であろうテイマー。




プリッツ 「お母ちゃん!!私だよう!!」


              その肩を掴んだ。

              だが、明らかに母の様子はおかしかった。




プリッツ 「あああ・・・・・・。」

ルドルフ 「どうしたああああああああ!!」



              そしてウォレンも覗き込んだ。




















プリッツ 「死んでるよね・・・・・。」

ルドルフ 「ああ・・・・・。相当昔からな・・・・・。」


プリッツ 「まさかっ!!」



             プリッツは振り返った。

             吹き飛ばされてたネクロマンサーにまだ息があると知っていた。

プリッツ 「テイマーとペットなんかじゃなかった・・・・・。」





             ネクロマンサーには中に実体があったのである。





シーマ  「なるほど・・・・・。コイツが黒幕のようね?」

アシャン 「命への冒涜・・・・・。」


プリッツ 「なんで?なんでなのよ・・・・・・。」








              プリッツは目に涙をためた・・・・・。



              そして問い詰めた。

















































プリッツ 「なんでなのよ・・・・・・お父ちゃん!!





ウォレン 「な、、、なんだと!?」

フレイオ 「父親・・・・・?」





              そのネクロマンサーこそ、プリッツ父親スコーンだった。



プリッツ 「なんでなの?お父ちゃんも、死んでるの?????違うよね。」





              兜を脱いだネクロマンサーが立った。



スコーン 「プリッツ・・・・・。」

プリッツ 「お父ちゃん・・・・・どうして居なくなったの!!
        お母ちゃんを治しに行ったんだよね?」

スコーン 「ああ・・・・・。そのつもりだった・・・・・。
        私の命に代えてでも助けたかった。」

プリッツ 「じゃあ、どうして!!」




              そしてスコーンは過去の出来事を話した。


              その旅の途中であった。
              あらゆる生命の源になりうる『レッドストーン』の話を聞いた。

              無論、良い噂、悪い噂両方である。



              その旅のすえ、やっと見つける事ができたのである。



              だが、その赤石自体に潜む魔物のせいで瀕死の重傷を負ってしまったのである。


     
              本来使うはずだった、赤石の魔力をプディはスコーンの怪我を治すのに使ったのである。



プリッツ 「じゃあ、それでお母ちゃんは死んでしまったの・・・・・。」

スコーン 「ああ、そうだ・・・・・。私の怪我を治すために・・・・・。
        だが、そして私は目覚めてしまった・・・・・。この呪いの力に。」


プリッツ 「え?」

スコーン 「赤石が大量にあれば、死者すら蘇らせる秘術に・・・・・。」

プリッツ 「そんなのおかしいよ!! 私だって、お母ちゃんには生きてて欲しいよ!!
        でも、そんなの命の冒涜だよ!!」

スコーン 「ああ、解っていた。そして、そんな事をしてもアイツは喜ばないと。」

プリッツ 「じゃあ、なぜ!?」




スコーン 「それでも・・・・・・。」











               スコーンは死んでいるプディを抱えた。



スコーン 「それでも私には必要だった・・・・・。
        たとえ、それが刹那の時間でも・・・・・。
        たとえ、それが生命への冒涜でも・・・・・。

        たとえ、それが全世界へ悪影響を及ぼすとしても・・・・・。



        私はプディに会いたかった・・・・・。」


プリッツ 「お父ちゃん・・・・・それは!!」



スコーン 「間違っている事も重々承知!!
        私が行ってる秘術で、何人もの犠牲者が出た事も事実。

         それでも、私は満足だった・・・・・。」


プリッツ 「お父ちゃん・・・・・・。」








スコーン 「そして、最後に娘の顔も見れた・・・・・・。
        済まなかったな・・・・・こんな馬鹿な親父になって・・・・・。



        すまなかった・・・・・。」




              そして、スコーンはプディを抱いたまま、奥へと行った。


              その向こうには激流の水路が待ち受けている。


プリッツ 「お父ちゃん!!待ってよ!!」


スコーン 「許せ・・・・・プリッツェル・・・・・。
         友人にも誇れぬ父で済まなかった・・・・・。」

プリッツ 「お父ちゃん!!だめ!!しんじゃだめだよっ!!」




スコーン 「いずれは朽ちる命・・・・・。
         私も所詮、赤石に捕らわれた愚かな冒険者・・・・・。
 
         これ以上、生き恥を晒す事も無い。

         最後に会えたのが、おまえで良かった・・・・・。


         もう、思い残す事は何も無い・・・・・。」



プリッツ 「だめだよっ!!」



              必死で走って捕まえようとするプリッツ!!



              だが、次の瞬間に父の姿は無かった。




              ただ、水路の激流が、全てを飲み込んでいた。











プリッツ 「お父ちゃん・・・・・・。」






アシャン 「・・・・・・。」













             プリッツの泣き声が少しやんだ所でフレイオは肩をかし、
             六人は水路を戻って行った。



ウォレン 「この水路の魔物も・・・・・その研究の成れの果てか・・・・・。」

ルドルフ 「ふむ・・・・・。」






シーマ  「ねぇ・・・・プリッツのお父さん・・・・・間違ってたって思う?」

プリッツ 「ぇ?」

シーマ  「確かに、『正しい』とは言い切れなかったけど・・・・・。
        それでも居て欲しい存在って、私は解る気がする・・・・・。」


アシャン 「解らない部分は、アタシにもあるかもね・・・・・。
        自分の大事な存在と、世界を天秤にかけてしまうって、
        間違ってるって言えるとは限らないんじゃないか?」

ルドルフ 「ただ、あれは蘇生ではなかったな・・・・・。厳密には。」

ウォレン 「本当は・・・・・完全な蘇生を望んだってだけだろうな・・・・・。
        俺にも答えは出せんよ・・・・・。」



プリッツ 「難しいなあ・・・・・。でも、お父ちゃんのお母ちゃんへの愛情は
        解った気がする・・・・・。」



アシャン 「それで・・・・いいんじゃないか?」






フレイオ 「愛情・・・・・・かぁ。」




             元々魔物だったフレイオにはまだ理解をしたとは言いがたいが、
             今、自分のなくしたくないものがあると言う事は自分でも解っていた。








             後味のなんとも言えない地下水路の出来事は、

             そのまま激流の轟音がかき消していった・・・・・。



















              続く、次回。











































おまけ。



プリッツ 「(´・ω・`)・・・・・。」

フレイオ 「プリッツ・・・・・。」




ウォレン 「さすがに今日はそっとしておいてやれ・・・・・。」



フレイオ 「そうだね・・・・・。」

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