ST:56
「装飾」












             



             その記憶喪失の少女を呼んだ。


フェニ    「えっと、、何か御用でしょうか?」


             フェニックスの羽を首飾りにしている。


マルス   「あれが、フェニックスの羽。。。。。」



アクァス  「担当直入に言おう。人の命を救うために、キミの『フェニックスの羽』が欲しい。」

フェニ   「これをですか・・・・。」


ウルフ   「やはり、大事なものか・・・・・。」

フェニ    「私がこの街で倒れてた時に、この羽を持っていただけだったそうです。。。。。
          私の記憶の戻るきっかけのものかもしれないと。」
メロス   「なるほど、よくみれば装飾がしてあるな・・・・・。
          首から下げていれば、誰か知ってる人がいるかもしれないという事か。」


アクァス  「そうか。さすがにそれを譲ってもらうわけにはいかないな。」


フェニ   「いえ、人の命がかかってるなら。」



マルス   「ちょっと、それ見せてもらえますか?」



             マルスはその羽飾りを手に取った。


マルス   「これ、すごい装飾職人が作ったものかもしれない。。。。。。」

メロス    「なぜだ?」


マルス   「これは、『フェニックスの羽』を薄く、2枚に剥いで作ってある!!
ウルフ   「バ、、、バカな!!見せてくれ!!」



             ウルフもその装飾技術に驚いた。



ウルフ   「おいおい、こんな事ができる職人なんてそうそういないぜ?」
アクァス  「その職人を探せば、何か解るかもな。」


フェニ    「そ、そうなんですか!?それなら、その羽は差し上げてもいいのですが・・・・・・。」

マルス   「でも、、、、、これは2枚のうちの1枚だ。
          このバランスの位置の金具・・・・・。
          これは、イヤリングだったんだね。。。。。」
フェニ    「そうなんですか?」


マルス   「そう考えると、もう一つの羽飾りがあるって事か。
         でも、無くしたかもしれないんだよね。」
フェニ    「そうですね。。。。。」


ウルフ   「なるほど、誰かが拾ったなら、これならどこかで売ってしまうかもしれないと。」
メロス   「ま、買い取った品を見つけるのも至難だが、売った人間なんか覚えてもいないだろうし、
         確実に売ったと決まったわけでもないしな。。。。。」

マルス   「それもあるけど、僕が言いたいのは、
          完全な1枚じゃないから、蘇生の効果は発揮しないってことだよ。」



アクァス   「なるほど。」


メロス    「しかし、その重症のヤツが大丈夫なんだろうな。
          あまり時間も無いんじゃないのか?」

アクァス   「いや、私はその武道家ウォレンには会ったことがないんでな。」



フェニ     「!」



マルス    「あれ?どうかしました?」


フェニ     「え、、、いえ、、、なんでもありません。
           なんだか、今、頭の中に何かが・・・・・・。」

マルス    「やっぱり、この飾りがキーなんだね。」



アクァス   「とりあえず、羽を捜すついでにはなるが、その職人も見つけておこう。」
フェニ     「ありがとうございます。」



メロス    「さて、どうする?」
ウルフ    「盗賊団アジトでも、殲滅して、盗品から探すか?(笑)」
マルス    「物騒だなぁ。。。。。ウルフ兄さんは。」



ウルフ    「ああ、思い出した。」


マルス    「ん?」

ウルフ    「ウォレンって、あいつか・・・・・。
          こないだのトーナメントGVで、あのseven seeの格闘王フォルドを倒したやつか!!」



フェニ     「!」

マルス    「?」



メロス    「なるほど、あの試合でか・・・・・。
          男気溢れるヤツだな・・・・・。」
ウルフ    「よし、見つけてやろうじゃねぇか。」



           あえてアクァスは今瀕死のマリーナの名前を出さなかった。

           同じく生還する『フェニックスの羽』と聞き、自分でもそっちに気が行ってしまった。

           立場上、レンジャーとして動いてる以上はあくまで『羽探索』と言うカタチで関わるしかできなかった。



           そして、どうしても『赤き呪いからの呪縛を逃れる術』が欲しかった。

           たとえ羽が必要でなくとも、羽があればプリッツ達に高度な接触ができる。
           そんな考えが無いとは言えなかった。

           アクァス自身もそんな自分のズルい考えを良くは思ってはいない。


           だが、失ってはいけないものだけは知ってるつもりだった。


アクァス   「フェニックスの羽か。。。。。」

メロス    「アジト行ってみるか?盗賊共なら数枚持ってるんじゃないのか?」
マルス    「盗賊から、盗むの!?」

ウルフ    「違う、奪うんだ(笑)」


マルス    「人道的で無い盗賊からでも、同じことをしたら・・・・・・。」
ウルフ    「マルス、オマエの言い分も解るけどな。世の中キレイ事だけじゃやっていけない。」

マルス    「で、でも!!」


メロス     「よし、ウルフ用意するぞ。」

アクァス    「ついてきてくれるのか?」
メロス     「ああ、レンジャーは迂闊な行動できねぇだろ?(笑)」
アクァス    「ま、、まぁな。」


            立ち尽くすマルス。



ウルフ     「マルス、オマエは留守番でもしていろ。」
マルス     「ウルフ兄さん。。。。。」




            アクァスと、メロス・ウルフが旅立とうとした。

イザベラ    「メロス、気をつけなよ。最近のアジトあんまり良い噂聞かないよ?」
メロス      「盗賊団アジトで良い話がある方がおかしいだろ?」
イザベラ    「そうじゃなくって。。。。。」

ウルフ     「ま、羽だけ見つけたら帰ってくるさ。」


フェニ      「私も連れて行ってもらえませんか?」

メロス      「悪いが、アンタを守る余裕は無いかもしれないぞ?」
フェニ      「大丈夫です。」


イザベラ     「なんだか知らないけど、アーチャーとしてのスキルは結構持ってるみたい。
            多分記憶障害は『自分に関して』なんだろうね。」

ウルフ      「まぁ、大丈夫だろ。所詮コソドロの集まりだしな。」


アクァス     「アーチャーばかりだな。。。。。」






            そして、アクァス・メロス・ウルフ・フェニの4人はハノブからアジトへと
            出発をしていったのだった。。。。。





メロス      「なんか、最近絨毯で飛んでるやつ多いな。」
ウルフ      「スマグか、ロマ村かで売ってるらしいぜ?」

アクァス     「レンジャーでも、支給されるのは数枚だけだがな。」

メロス      「使わないのか?」

アクァス     「あ、ああ・・・・・。」



ウルフ      「ん?なぜだ?」














































アクァス     「酔うんだよ。。。。。。




           それを聞いて少しだけ、フェニが笑ったような気がした。






           そして、4人は盗賊団アジト前まで来たのだった。











           次回へ。

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